第十三話 「辺境の地」
国王から領地を賜ったルナたち三姉妹は、王都に滞在することなく、すぐに故郷へと向かうことにした。
カインは、ルナたちに別れを告げ、銀翼団の任務に戻っていった。
「ルナ、フィオナ、ミリア。……また会おう」
カインの言葉に、ルナたちはうなずいた。
「はい! 今度は、もっと胸を張って、カインさんに会えるように、頑張ります!」
ミリアが、元気よく答える。
カインは、そんなミリアの頭を優しく撫で、微笑んだ。
三姉妹は、馬車を借り、故郷の村へと向かった。
道中、ルナは、国王から賜った領地の地図を広げた。
「この地図によると、私たちの領地は、ここね」
ルナが指差したのは、故郷の村のさらに奥にある、誰も近寄らない、不毛の地だった。
「……え、ここ? 何もなさそうだけど?」
フィオナが、不安そうに尋ねる。
「そうね。……でも、ここを、私たちが豊かな土地にするのよ」
ルナは、そう言って、決意を新たにした。
数日後。
三姉妹は、故郷の村に到着した。
村人たちは、三姉妹の帰りを喜び、盛大な歓迎会を開いてくれた。
ルナたちは、村人たちに、国王から領地を賜ったことを報告した。
村人たちは、ルナたちの偉業を称え、歓声を上げた。
「ルナたちなら、きっとこの村を、もっと豊かな土地にしてくれる!」
「ああ! 私たちは、ルナたちを信じているぞ!」
村人たちの期待の声に、三姉妹は、改めて自分たちの使命の重さを感じた。
その夜。
三姉妹は、自分たちの領地をどうするか、話し合っていた。
「まずは、どんな作物を育てられるか、調べてみないとね」
ルナが言う。
「それなら、あたしが森の奥を探検してくるよ!」
フィオナが、元気よく答える。
「私も、何か役に立ちたいな……。薬草とか、何か生えてないかな?」
ミリアが、そっとつぶやく。
三姉妹は、それぞれの得意分野を活かして、故郷を豊かにすることを誓った。
翌朝。
ルナたちは、自分たちの領地へと向かった。
領地は、岩がごろごろと転がり、痩せた土地が広がっていた。
森は、魔物が生息しているため、誰も近づかない。
ルナたちは、まず、森の魔物を討伐することにした。
「ミリア、フィオ。気を付けて」
「うん!」
「任せて!」
ルナの合図で、三姉妹は、森の奥へと進んでいった。
森の中は、薄暗く、不気味な雰囲気が漂っている。
ルナたちは、魔物の気配を探りながら、慎重に進んでいった。
その時、前方から、唸り声が聞こえてきた。
現れたのは、巨大な猪の魔物、ボアキングだった。
ボアキングは、鋭い牙を剥き出しにして、ルナたちに突進してきた。
「フィオ!」
ルナの合図で、フィオナは、大剣を構え、ボアキングの突進を受け止めた。
「ぐぅぅ……!」
フィオナは、ボアキングの力に押し負けそうになる。
「ミリア! 援護!」
ルナが叫ぶと、ミリアは、弓を引き絞り、ボアキングの目に矢を放った。
矢は、ボアキングの目に突き刺さり、ボアキングは、苦悶の叫びを上げた。
その隙を突き、ルナは、魔法を放つ。
「〈サンダー・ランス〉!」
雷の槍が、ボアキングの頭に突き刺さり、ボアキングは、地面に倒れ込んだ。
三姉妹は、協力して、ボアキングを討伐した。
しかし、森の中には、他にも多くの魔物がいる。
ルナたちは、気を緩めることなく、さらに森の奥へと進んでいった。
その日の夕方。
ルナたちは、森の奥で、古い遺跡を見つけた。
遺跡は、石造りで、苔むしているが、まだ原型を留めている。
「ねぇ、ルナ姉。この遺跡、なんだろう?」
ミリアが、目を輝かせて尋ねる。
ルナは、遺跡の壁に描かれている模様を見て、驚きの声を上げた。
「……これ、古代文字だわ!」
ルナは、以前、王都の図書館で読んだ本に、この文字が載っていたことを思い出した。
「この遺跡は……この土地を豊かにする方法が書かれている、古代の文献かもしれないわ!」
ルナの言葉に、フィオナとミリアは、希望に満ちた表情を浮かべた。
三姉妹は、故郷を豊かにするという、新たな目標に向かって、一歩踏み出した。
それは、ただの冒険者ではなく、一人の領主として、故郷を救うための、壮大な物語の始まりだった。




