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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
二章 新たな種族とメグルの夢
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絶対絶命、ってやつですね?(他人事)

「そなた、人間で間違いないな?」


そう口火を切ったのは、鬼人族のドルブさん。

その体から放たれる威圧感は、僕に一切の嘘を許さないと言っているように感じる。

だから、正直に答える。元々そのつもりだったし…嘘じゃないよ? ここで「悪魔です」とか言ってみたら見逃されたりしないかなーなんて考えてないよ?


と、思考の海に逃げたくなる自分の意思を押さえつけて口を開く。


「はい、その通りです…」


「では問答無用で処刑だろう? こんな場を設けるまでもない」


そう言って腰を浮かせようとするドルブさんに僕は慌てて言う。


「僕は、()()()ですが」


この迷い人という称号が、人間独自の物だったら僕の命はここで尽きるだろう。

果たして言語も、文化も違うであろう魔族領に迷い人という概念があるだろうか。いや、ない確率の方が高い。


そう思いながら返答を待つ。怖くて顔が上げられない。

さぁ、迷い人は魔族さんにも通じるような肩書なのでしょうか!?


「嘘だな」


「…へっ?」


「どうせ、あさましい人間が生きるために咄嗟についた嘘だろうと言っているのだ」


ちゃんと通じたのはいいとして、そう頭ごなしに決めつけるのはやめましょうよ、ドルブさん…

そう思っても、口答えするともう問答無用でこの場が閉じそうな気がするので、口をつぐんでいた僕。

そこへ、救世主による鶴の一言がかかる。ジナルさんだ。


「…証拠はあるのか?」


これ幸いと、僕は言う。


「私のステータスを見ていただければ」


だが、返ってきた反応は予想外の物だった。


「すてぇたす? 何だそれは」


「へっ!?」


「そのような物、どこにあるというのだ。

 そのポケットか? ほら、取り出して見せるがいい…できないなら、おい!」


その掛け声に、今まで人形のように微動だにしていなかった、執行人(命名:僕)が動き出す。

陣族に僕を取り囲み、腕を後ろにねじりあげ、例のブツ(ギロチンとは認めない)の所へ連れて行こうとする。

僕は必死に抵抗しようとするも、自分の非力さを知る結果になり。


そこに、リースの声がかかった。


「少なくとも私は、その人間は一度も嘘をついていないと思うのだ」


「しかし、魔王様…」


「私のユニークスキルを覚えているか? ドルブよ」


「…『誠実な助言者(オラクル)』。『真偽判定』スキルの上位互換です」


「その私が、ステータスは存在し、それを見れば彼が迷い人であることがわかる、と申すのだ。それでもまだ、信じられぬか?」


おぉ、ナイス、リース。

執行人の束縛が緩んだすきに、僕は抜け出して声を上げる。


「僕のことが信用できないというのなら、しばらくの間監視下に置き、その間の行動などを見て処遇を決定していただくというのはどうでしょうか」


「でもぉ、先の大戦で、人間は白旗を上げて攻撃してきたというしねー…」


僕の提案(最高の案だと思う)に、反対の意を示したのはアンビーさん。


「…反対だ。どんな思惑があるか、分からん」


続けてジナルさんも反対に一票。

この流れ、とてつもなくマズい。僕の命の灯に、息吹きかけて消そうとする人がどんどん増えてきた。

…さっきまでドルブさん一人だったのに。


「経過観察とするのも、人間について知るいい機会だと思いますよ?」


これは、リオンさん。

流石です…アニキと呼ばせてください!

心の中で現実逃避、それと同時にリオンさんに猛賛成。

でもこれで、意見を言っていない人はあと一人になった。ミャフェイトンさん、だ。

彼が反対に票を入れたら(多数決という概念があるかは分からないけど)多数派が僕処刑に賛成派になっちゃうので、まずい。


体の震えが止まらなくなってきたので、それと格闘しながら、彼に念力を送る。

…どうか反対してください、僕は大事な大事な生きた人間サンプルです…


それに呼応するように、ミャフェイトンさんが口を開く。

部屋中の注目が彼に集まる。


「私は——」




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