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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
二章 新たな種族とメグルの夢
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イヴリース視点:衝撃



しばらくして、我に返ったメグルが聞いてくる。


「ねえリース、黙ってないでなんか言ってくれ。

 僕、なんか悪いことした?」


「あ・な・た・は・、悪いことはしてないわね」


「じゃあなんで僕が捕まることになってんだよ!?」


その理由は単純明快。

然れども、それが納得できるかは別。

メグルに、それをそのまま伝えていいのかと逡巡する。

そして私は、ありのままを伝えることにした。


「……まあ、しいて言うならあなたが人間だから、かな」


「……人間だから」


そう繰り返して、物思いにふけるメグルは、しばらくして悟ったような顔で聞いてきた。


「ねえリース、僕はどうなるんだ?」


これも、しっかりと伝えなければいけないこと。

ここで、私がはぐらかしてはいけない。

メグルも、なぜ自分が牢に入っているのかに納得したわけが、できる訳がないんだから。


「メグル。

 ……あなたの処分は、三日後に開かれる元老院で決定すると思うわ」


「そうか」


短く言ったメグルは、しかしもう一度聞いてきた。


「…その裁定っていうのはどうなると思う?」


「まだ分からないけど、多分死刑かな…」


「そうか」


さっきと同じ、短い言葉だったけど、私は、格段にその重さが重くなったのを感じた。

そりゃ、急に死刑になるとかって言われても……


「僕はそこで、話すことはできないかな?」


「……難しいと思うわ。

 人間がどんなことをしでかすつもりなのか、何しに来たのか。

 今、それに関してあらぬ憶測が飛び交ってるわ。

 そんな時に、得体のしれない被告人を、国の中枢が集まる元老院に連れていく意味がない。

 みんな、メグルに怯えているのよ」


「……そこを何とか。


 リース。

 頼む、この通りだ。僕に、元老院での発言の機会をくれ。

 

 頼む!」


そう言って、メグルは頭を下げてきた。

……そこまでされたらこっちとしても誠意見せるしかないじゃない。


「……はぁ。仕方ないわね。

 魔王としての権限を使ってでも、発言の機会はあげるわ」


「ありがとう、恩に着るよ」


そう言って、メグルはおもむろに手を伸ばしてきた。

何するつもりかは知らないけど、私とあなたを隔てているその格子に触れたら、魔力を限界まで吸い取られて気絶しちゃう!


「あっ、メグル、格子に触っちゃダメ!」


私の言葉も遅く。

もうメグルは格子に触れてしまっていて、私はメグルが倒れるのを幻視した。


けど………


「「……何も起きない(わね)」」


図らずとも、メグルと声が被る。

メグルがどういう意図でこの発言をしたのかは分からない。でも、おかしいのは事実だ。


「おかしいわね…

 この格子には、瞬間的に触れた人の魔力を限界まで吸い取って気絶させるような魔術が施されてるはずなのに」


そういうと、メグルからは想像の斜め上の答えが返って来た。


「…………それは、かくかくしかじかで僕に魔力がないからかも…」


「はい!?メグル魔力ないの!?

 ってことは、この独房の出入り口の、魔力吸収結界も役に立たない訳!?

 これじゃあここに閉じ込めた意味ないじゃん!?普通に出入り自由ってこと!?」


そういうと、メグルは、魔力吸収結界を通って独房から出てくる。


「メグル、どうしよう!?」


それを見て、私は頭を抱えるしかなかった。

だから、メグルに「えーと……僕って、戻ったほうがいい?」って聞かれてからの記憶があいまいだ。

とりあえず、その後、この前締め上げた鬼人族の人に上へと連れ戻されたことだけは覚えてるけど……




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