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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
二章 新たな種族とメグルの夢
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イヴリース視点:違和感





数奇に満ちた出会いがあることに関係なく、次の朝はやってくる。


「ふあ~ぁ、よく寝た」


朝起きた私は、着替えを済ませてダイニングへと向かう。


「みんなおはよう」


「「おはよう(ございます)、魔王ちゃん(様)」」


いつも通りの挨拶を済ませ、席へ着く。

何時ものことなんだけど、基本的にお肉を使った料理だから、毎日の食事にこれといった目新しさはない。

まあ、美味しいからそれでいいんだけどね。


と思っていると、今日の朝食が運ばれてくる。

コックさん、私が寝てる間にも働いててくれてるのよね、もう足向けて寝られないわ。


「あら?いつもよりも豪華な気がするけどどうしたの?」


内心で感謝をしながら料理に目を向けて、少し気になったことを聞いてみる。


「それは、今日が魔王様のおたん——」


「何でもないわよ、いい食材が手に入ったから」


すると、答えてくれようとした配膳係の人の口をふさいで、何かをごまかすように言うアンビーさん。

あ、アンビーさんっていうのは、気さくな性格な私の乳母さんね。

毎朝魔王ちゃん、って言われるのは思うところがあるけど、何を言っても「いいじゃない、かわいいんだから」で躱されちゃうのよね……


それにしても、何を隠しているのかしら?

頭をひねってみても、心当たりはない。

まあ、心当たりがないってことは、大したことじゃないか私の関わっていないことの話かだろう。

じゃああんまり考えなくても平気かな?


そんな事を考えつつ、完食する。

いつも通り仕事が待ってんだろうなー、そんなことを思いながら席を立ち、執務室へ行こうとしたところで呼び止められる。


「魔王様。先代様からの言付けです。

 今日くらいは俺が代わりを務めてやるから自由に過ごしてくれ、とのことです。」


「あ、……分かったわ」


何でよ?

いつもなら、めんどくさいからお前がやれ、俺は肉体労働の方が向いてるんだ、って言ってくるような人なのに。

どういった風の吹き回しかは知らないけど、厄介ごとのにおいがする……


……まあ、考えてても分からないものは仕方ない。せっかく手に入れた休みだし、久しぶりに街に出てみようかしら。


そんなことを考えつつ、身支度のために自室に向かう。

しばらく服とにらめっこしてから出てきたリースは、魔王城の正門へ向かって歩いていく。


それにしてもこのお城、外観だけは立派なのよね。

真っ黒の見た目にたくさんの尖塔のついた無駄にデカいこのお城。

主にモンスターパレードの時の襲撃から身を守るために、アダマンタイトの外装にしてあるから、黒い外観は仕方ないにしても、この広さじゃねぇ。

魔国の国民全員を収容できるように作ってある、って聞いてるけど、それにしても限度ってものがあるでしょ。

広すぎて、お城の中を歩くだけでも疲れるし、城内は二階を除いて開放してあるのに、ほとんど誰も来ないからはっきり言って持て余してんのよね、この広さと強度だけが取り柄みたいなお城。


そこまで考えて、ようやく正門までたどり着いた。

まったく、ほんっと広いんだから……

そう愚痴を言いたくなる気持ちは抑えて、せっかくの外出なんだから楽しくいこう!


そう思ってたのもつかの間、いざ街に出てみるとだぁれもいなかった。

何で? 今日はなんか、おかしい気がする。というか、絶対おかしい!

アンビーさんもなんか隠してたみたいだし、急に仕事がなくなるし、皆が家にこもってるし。


どう控えめに見ても、これは異常事態よ!?

お城には人がいたんだから、適当な人を捕まえて吐かせるわよ!


そう決意してお城に戻った私は、普段はあまり見かけない鬼人族の人を捕まえて、拘束魔法(チェイン)で締め上げる。


「みんなして何を企んでるの?

 教えなさい!」


「うぐっ!………言えません…先代様のご命令です」


「……」


なに考えてんのよクソ親父! 私をのけ者にすんのはやめなさい!?

もしかして、仕事引き受けたげるって言ってたのはこのせいか!? 有難迷惑だってんだよ!!


心の中で思う存分叫んだあと、できる限り優しい声色を意識して言う。


「教えてくれてありがとう、じゃあほかの人に聞いてみるわ」


「……魔王様が悪魔族の資質に目覚められた…怖え」


「………」


ボゴッ!


すごく何というか、私に似合わない言葉が聞こえた気がしたので、聞き間違いかと思ってつい一発殴っちゃった。

…ピクリとも動かないけど、大丈夫よね?

鬼人族の頑丈さを信じよう。



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