特にやることもなく引きこもってました。
せめて、ここの牢屋の出入り口が鍵で施錠するタイプだったらよかったのかもね。
でももう遅い。
………けど。
「えーと……僕って、戻ったほうがいい?」
リースにそう聞くと、
「多分ね…」
こう返ってきたので、また結界を通って牢屋に入る。
…自分から牢屋に戻った人も珍しい気がするな。
「それにしても、僕をここに入れた時はどうやったの?
コイツが効かないって知らなかったんでしょ?」
「あー、それは。…言っちゃって良いのかなぁ?
まあいいや、ここのスイッチを押すと効果が無くなるようになってるの」
そう言ってリースが、壁のどこかを指差してるけど、ここからじゃ見えないな。
そう思って結界から頭だけを出し、見る。
確かに、そこだけ色が違う。
一つ勉強になったな。次捕まった時のために覚えておこうっと。
まあ意味はないな。だってどうせ、この結界効かないからすぐに逃げられるもんね。
いや〜、魔力がないのも、時には良いものだね。時には。
……今まで魔法が使えなくて大変だったことを思えば、採算合わない気もするな…
にしても、…少し疑問に思ったことがあるので聞いてみる。
「それにしても、リースがここに居ても良いの?
仮にも国王……じゃなかった、魔王様なんでしょ?」
「仮にもとは失礼な。これでも魔王様よ、立派な支配者なの。
私の行動にケチつけられる人なんて、この国にはいないわ! だから大丈夫。
……たぶん」
「た、多分?
その前までは頼りになりそうだったのに、その一言で台無しだよ!
でもまあ、それなら大丈夫かな?」
「うん、大丈夫大丈夫。
それでね、今日おもしろいことがあったんだ。
暇つぶしに聞いてよ」
「何ですかな、お姫様?」
「ん? もしかしてメグル君、私のこと馬鹿にした?
この高尚な女王様の、心遣いを無碍にする気ですか〜?」
「よくわかったな、その通りだよ。
そしてその心遣い、頼んでねえし!?
しかも、お前の話聞くくらいならこの地下牢探検したほうが面白そうだし? 別にいいや」
「なっ!? そんなこと考えてんなら、あんたが逃げ出さないように話し続けてあげるわよ!」
うーん、本当に逃げ出してやろうか…
そんな事を思っていると、階段の方から足音が聞こえてきた。
誰が来るのかは知らないけどやばい、ここで不信感を抱かれるわけにはいかない。
もしも怪しまれたら、見張りがついちゃって自由に出入りできなくなる可能性がある。
そうなったら面白くない!
そうならないためには、いきなり捕まってうなだれてる囚人を演じるのが得策!
そこまで瞬時に考えた僕は、未だ話し続けるリースを無視して独房の隅に行き、うずくまる。
ってかリースの奴、ムキになりすぎてて誰か来たことに気がついてないんじゃないか?
……まあ僕には関係ないことだ。とりあえず放っておこう。
「メグル!? 私をここまで無視するなんて良い度胸じゃないの!
って聞いてんの!? ねえ!」
「魔王様?
遅いからと様子を見にきてみれば! こんな所で! 囚人と! 何無駄話してんですか! お陰でこっちはケーキが食べれないんですよ!
俺の甘いもの愛を舐めないでください!
早く戻ってくること!」
そう言って降りてきた男の人………って、あれ料理長さんじゃん。それであんなに情熱を込めてやってたのか………に怒られて、渋々上へと引き摺られていくリース。
あれ? あいつ、誰にも行動制限されないんじゃなかったの?
意外と魔王の威光ってしょぼいのか。
……まあいいや。
さっきも言ったけど、僕には関係ない事だし。
とりあえず裁判の日まで大人しくしてよう。
そして、変わらない石壁を見つめたり、時々やって来ては連れ戻されるリースと話したりしている内に三日が立ち。
ついに僕は、裁判の日を迎えた。
更新が遅れてすみません。
またこのようなことがあるかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。




