お腹がすきました。
自分の悲運を呪うのは後にして。
身分証を作るためには冒険者ギルドか商業ギルドに行くといいらしい。
でも僕は、商人になるつもりもないしカッコイイから冒険者ギルド一択でしょ。
同郷のオタクで、迷わず商業ギルドに入ってくやつがいたら見てみたいね。
ギルドを探すために改めて街を見まわしてみたけど、町並みは中世ヨーロッパみたい。
意外と人も多くて、活気もある町だね。
そんな中、いい匂いがしてきたので僕の足は勝手にそっちに引っ張られる。
一日中森ん中歩き続けてたらそりゃお腹もすくよね。
お昼にはちょっと、いや、だいぶ早いけどまあいいか。
で、看板もよく読まずに入っていった店は、
「商業ギルドへようこそ」
はい、商業ギルドでした。
誰だよ、迷わず商業ギルドに入ってくやつがいたら見てみたいねなんて言ったやつ。
顔見てみたいよ、鏡でも使わなきゃ絶対見れないけど。ひと安心だ。
それにしても誰だよ、商業ギルドでいー匂いのもの売り出しやがった奴。
おかげでお腹が満たせるからまあいいけどさ。
僕が黙ってるとギルドのお姉さんが声をかけてきてくれた。
「どうしましたか?何か御用ですか?」
「すごいいい匂いがしたから来てみたんですけど、これ何の匂いですか?」
「ああ、うちのギルドの商品で、シチューっていうの。新メニューなんだけど、食べていく?」
「ぜひください!」
まあね、空きっ腹にシチューは暴力的ですよ。というよりもはや暴力ですよ。
もうほかの選択肢は消え失せて、食べる一択しかなくなったからね、うん。
ここにきて大好物のシチューが食べられるなんてホントにラッキーだ。
ギルドに併設されたレストランみたいな所でシチューを食べながら商談しているらしい商人たちの話
(個室もあるらしいけど追加料金がいるんだって。)
に耳を傾けてたら色々分かったよ。
まず貨幣価値だけど、日本円で表すと
鉄貨一枚が十円
銅貨一枚が百円、
銀貨一枚が千円、
金貨一枚が一万円位みたい。
後はもっと大きい価値を持つ貨幣もあるらしいけど僕には関係ない話だ。
大金持ちになりたいなー。冒険者になったら魔物とか狩りまくって、なれないかな。
後は最近、魔物たちが増えてきてるらしい。
僕は一日歩いてゴブリン一匹と、あとスライムはいっぱいいたけど元々そんなもんだろうからな。
別にそんなに大変な異変じゃないんじゃ?と思うけど、そのせいで流通が滞ってるらしい。
ギルドにこんなレストランみたいな所ができたのも流通が滞って、儲けが減ったからみたいだ。
たしかに商談とかにもピッタリだからね…
僕に盗み聞きされてるけど。
この世界、プライバシーが甘いなぁ。
食べ終わったから情報収集という名の盗み聞きもそろそろ終えて、出るか。
味はちょっと薄いような気もしたけどまあ満足、食べてよかったと思ってたら代金が金貨一枚!
なんでも塩が高いんだって。納得。
代金を払おうとしたらその横にB5サイズくらいの紙がいっぱい置いてあるのに気がついた。
「これ、なんですか?」
「?、ああ、地図ですよ」
「2種類あるのはなんか違うんですか?」
「こっちが街の中の地図で、こっちがローアン王国の地図です」
「ローアン王国?」
「お客様、ご存知ないのですか?この街が所属する王国の名がローアン王国ですよ」
「へー。ちなみにこの街ってなんて名前なんですか?」
「ふふっ、それを知りたければ地図をお買い上げ頂ければと」
さすが商業ギルドの人だ、抜け目ない。
……買うか、地図。
「地図2枚ともください」
「お買い上げありがとうございます。お食事代も含めて金貨1枚と銀貨が4枚になります」
「地図高っ!?1枚で銀貨2枚ですか」
「いえ、そうではなくて。王国の地図の方は先人たちが命をかけて作った地図ですから、銀貨3枚となっているんです」
地図、そう考えると高いってわけじゃないんだな。
作ってくれた人たちに感謝しつつ代金を払おうと、財布を取り出した。
代金分のお金を探して財布の中を見たけど、なんか違う。
ちょっと考えて思い当たった。
財布の中が異常に広い!
手のひらサイズのお財布に、片手がスッポリ入るのは違和感半端ない!!
マジックバッグとは違って、中が真っ黒くなないけど、明らかに内容量が多くなってる。
なんでだ?




