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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
二章 新たな種族とメグルの夢
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ケーキがデカすぎました。

「あの、そんなに悲観することないですよ……多分」


僕が言った瞬間、皆の目がこっちに向いた。

いや、怖いって。亡霊みたいな落ち窪んだ目が一斉にこっち向くなんてもはやホラーじゃん。

無人のお城より魔物の森より、こっちの方が怖いわ!


一身に向けられる目に恐れおののきながらも、ケーキへと歩いていく。

さて、こんな時に使えるものと言えば、皆もわかったよね?


そうそうあれだよ。頼れる味方、スモールライト!

いやちゃうわい!僕はド〇えもんではありません。そんなもの持ってません。


マジックバッグですよ、マジックバッグ。これがあれば最強なのですよ。

全く、こんなもの持ってるとは僕も運がいい。


……あっ、口調とかが変になってるのは別に、こんな視線が怖いわけじゃないからね。

ただ、さっきのコントみたいな景色見て、自分でもやってみたくなっただけだからね。


誰に言ってるのかもわからないような言い訳を脳内で繰り広げつつ、ケーキのもとに到達。

そしてマジックバッグに入れようとして、……。


いや待てよ、これ、どうやって入れればいいんだ?

今まで、マジックバッグに何か物を入れるときは、入れたい物を持ってマジックバッグに入れてたんだ。

でもこのケーキ、誰がどう見ても持てなくね?


しかも、よく考えたら入るのか問題もあるんだよな……

今まで袋の口より大きいものを入れたことなんてないから不安になって来たぞ。

しかもマジックバッグに、こんなデカいものが入らない可能性も無きにしも非ず……


…………。


「なんと、最後の最後で落とし穴が……」


ガクッ。


うん。僕は、今この瞬間ほど、ほかの人と心が一つになってるのを感じたことはない。

あーあ、これが前向きな意味での心が一つになるだったらいいのに。

しかも、落とし穴がただの落とし穴じゃなくて三重の仕掛けが施されてるタイプのやつなのね。

脱出が超難しいやつ。

もうこうなったらマジックバッグ作戦、諦めるか……


万事休す……。


そう思っていると、誰かが言った。


「じゃあもう、この扉壊しちゃう?」


「「「賛成だな(です)(ね)」」」


「「「「ぜっったいだめ。お城が崩れるかもしれないじゃない(か)」」」」


おっ、……ああ、そっか。

いい案だと思ったんだけどな。でも確かに反論はド正論。扉壊したらお城崩れるかもね。

何せこの城石造りだから、バランス崩して崩壊してもおかしくはないよね。

同じ理由で、天井ぶち抜くのもだめか。


もっといい案ないのかな?


そう思って頭をひねって、知恵も絞るけど全くいい考えが浮かばない。

どうやっても失敗する気がする。


この貧弱な頭から、最後の一滴に至るまで知恵を絞りつくした。

でも全く現実的じゃない考えばっかが浮かんでくる。


ひとっつもいい考えがない。

マジックバッグという名の頼みの綱が切れた時点でもう諦めるべきだったのかな……


……ん?いや、待てよ。

僕はバカだ。………こんなことにも気が付かないなんて…


そしてあまつさえ絶望してた自分が悲しくなってきた……。



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