お城の中に入りました。
「男は度胸!ここまで来て、退いてはならん、メグル!」
そう言って、勝手に回れ右をしそうな足に発破をかける。
……いやー、それにしても怖いものは怖いんだって!
ゆめ!?ねえこれ、ゆめ!?
ゆめだよね!!?
その考えに縋りつきたいとこだけど。
……でも、そう考えてる時点で、夢じゃないことは明白なんだよなー。
誰もいないお城と城下町とか、最早ホラーとおり笑えて来るね。
…ああ、もう!
「誰かいてくれよ、ホントに!」
そうつぶやいて、意を決してお城の中に足を踏み入れる。
入った先は大広間になっていて、天井からはシャンデリアがぶら下がっている。
城内は、清潔に保たれている感じがする。
……これは、どう考えても誰かいるな。
もしくは、今の今まで、誰かがいたのか。
そう思って、自分の考えに背筋が戦慄する。
今も、誰かいますように。
そう願って、一階の部屋を一つ一つ見て回るけど、だーれもいない。
一々豪華な応接間っぽいところに、よくわからない部屋。
トイレでさえも、ピカピカに磨かれていた。
食堂かな?ここは。シャンデリアがぶら下がってて、無駄に大きな椅子があって、無駄に長いテーブルがある。
うん、ここはきっと食堂だわ。
そしてこっちは、礼拝堂か。
庭のはずれとかにあるようなイメージだたけど、よく考えたらこのお城、すぐ外が民家になってたな。
そりゃそんなイメージを達成するのは無理だ。
そんなことを考えながら進んでいくと、一回りしてきちゃった。
じゃあ残すは上の階……
今度こそ、誰かいますように!
そう祈りながら、映画にでも出てきそうな階段を上る。
そして二階に行き……
こっちも人の気配はゼロかい!
仕方なく、端から順に部屋を見ていく。
ビリヤードみたいのがある。
遊戯室かな?、ここは。
次の部屋には天蓋付きのベッドが置かれていたり、他の部屋にはお風呂があったり。
一階に比べて、若干プライベートな感じだな。
これなら、この階には誰かいても不思議はない。
そう期待を膨らませつつ、いくつか目の扉を開けた時。
誰かと目が合った。
速攻でドアを閉める。
そして、もう一回開けると、ものすごい力で部屋の中に引きずり込まれた。
「何すんだ!」
「それはこっちのセリフよ!
魔王たる私を部屋に閉じ込めて、一体何するつもり、な…の……?…」
初めは勢い込んで喋ってたけど、だんだんと勢いがなくなってって、ついには口をつぐんでしまった声の主。
僕には、見えない。
なぜなら腕をつかまれて、うつぶせのまま身動きを封じられてるからね。
「………人、間…?
ここにはいないはずなのに……」
その言葉と共に、その人が飛びすっさった気配がして、手が自由になる。
「いてててて…」
そう言いながら起き上がった僕は、ソファを盾に恐る恐るこっちを見ている少女と目が合った。
歳は、同じくらい。
ルビーのような瞳に、絹のような髪。
神様が力を入れて特別に作ったのではないかというほどの、美少女。
でも、何より目を引くのが、その背中に生えた翼。そして、頭の二本の角。
「あ……悪魔…?」
そう、その少女は、悪魔のような体の特徴を持っていた。




