表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
二章 新たな種族とメグルの夢
51/72

裏側:お城の街

お城の街、裏側




「今日は魔王様の誕生日。年に一度の誕生日だ。みんな受かれてんなー。

 でも、それもそうか。あのかわいい魔王様の誕生日ともなれば、皆気合も入るってもんか。

 …かくいう俺も昨日飲みすぎて二日酔い気味。ふあ~あ。やばいトイレ。って、トイレ街中にしかないじゃないか。急がなきゃ!」


誰にともなくそう言って、門番がトイレに行く。

その直後。

門番がトイレへ行くために開け放った門に向かって、歩いてくる人影が一つ。

メグルである。


「……あれ?誰もいないな。不用心過ぎないか?

 でもまあ…誰もいないし、勝手に入っていいんだよね………」


そう呟き、家々の立ち並ぶ、街の中へ勝手に入っていった。


そのころ、とある一軒家の中では。


「今日は、魔王様の誕生パーティーだ。

 魔王様も食べる料理を、皆で持ち寄る伝統だからな、腕によりをかけていっぱいご飯を作るぞ!」


「りょうかい、パパ!

 でも、ママはどこ行っちゃったの?」


「ママはな、魔王城へ、大事なお仕事をしに行ったんだよ。いまごろは、特大ケーキを作ってると思う。去年は俺がその役だったし。

 だけど、今日の夜か、明日の朝には帰ってくると思うぞ」


そう言って、親子は仲睦まじく料理を作り始めた。


魔王様の誕生パーティーでは、街の人が自分たちで一品ずつ料理を持ち寄ることになっている。

それをみんなで食べるのだから、近所の人たちのためにも、手は抜けない。

皆、一心不乱に食材と向き合っている。


窓の外、大通りをふらふらと歩いてくる者には、気づかないほどに——


「……でも、誰もいない………」


メグルはそう呟き、そのままお城の方に歩いていく。



そのころ。お城の地下にある、厨房では。


「おいみんな、こっちだ!大広間の飾り付けが間に合ってねえ!」


「大広間は後だ、後!最悪、パーティー中にやればいい。

 魔王様、パーティー中は大通りに出て、料理を食べてるはずだ」


「こっちのケーキの材料を運ぶのも手伝ってくれ!」


「誰か手、空いてる?」


「いや!みんな忙しすぎて無理だ!」


「魔王様のサプライズのために、町中から動けるやつを全員集めたってのに」


「もっと呼んできますか?」


「ダメよ。そんなことしたら、この後のパーティーの料理を作って並べる人が足りなくなるわ」


「あー魔王様がこっち来ちゃう!だれか気をそらして!サプライズが台無しになる!」


「俺が行く!なんか理由付けて部屋に返すから、皿洗いやっててくれ!

 すぐ戻る!!」


「ああっ!パーティー用に大通りに並べるテーブルとテーブルクロス、忘れてた!誰か物置からとってきて」


「後でも行けるか?

 それ、人手が必要だろ。今取られたらかなりきつくなる!」


「いや、もう運ばないと間に合わない!」


「じゃあ私たちが行くわ」


「待った!ついでにお城の門、開けといてくれ!この後、物出し入れするなら今のうちに」


「了解!」



と、こんなようにてんやわんやの大騒ぎ。


と、そんな中やって来たメグル。


「……いや、人はいるはずさ!いなかったら…その時はその時だ!!煮るなり焼くなり、好きにしてもらおうじゃないか!!」


独り言がいささか多い気もするが、名誉のために流してあげよう。


そして何を思ったか、振り返りながら——


「やっぱ無理!」


震えた声で言う。

そして、メグルが振り返っている間にお城の門が開け放たれ、立っていた門番も、人手不足解消のため連れていかれる。


「よし、行くか!」


そして決心を固め、城に近づいていったメグルが見た物は、開け放たれた門と、無人の城だった。


運がいいのか悪いのか、それは本人にも分らない。

でも、この偶然が、のちに世界を大きく変えていく——

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ