やっと街が見つかりました。足が棒になりました。
やっと人の痕跡を見つけたよ。
異世界に来たんだったら、やっぱりまずは街に向かわないとね。
水は汲めたけど食べるものもないし、何より安心して寝たい。
それに今の僕が持ってる武器らしきものといえば木の棒だけだからな…
しかも僕には魔法が使えないのが痛い。
魔法の件は諦めてないけど、少なくとも剣かなんか、まともな武器が欲しいっていうのが本音だ。
そんなことを考えながら街道に出て、しばらく歩いていくんだけど、今日はずっと歩き続けてるからもう足が悲鳴上げてるよ。膝は痛いし足の裏はしびれてきたし。まともな運動したことがない僕みたいな陰キャにとっては地獄だよ。
ああ、やっと街が見えてきた。疲れた。
やっぱり魔物とか出るからか、立派な壁でぐるっと囲まれてるんだね。
街に入るには門をくぐらなきゃいけないみたいだけど、それがまた立派なんだよね…
門の前に立ってる門番さんに挨拶したら、通行証はあるかと言われた。
通行証ね。あるわけないじゃん。意味も分からないままにこっちに来ちゃったんだから。
職業迷い人の僕にそれを聞いちゃう?って感じだよ。
「通行証はないんですけど、それでも入ることってできますか?」
「んー。だったら銀貨3枚で仮通行証を発行できるぞ。どうする?」
やばい。よく考えたらお金持ってないや。
むこうのお金じゃだめだよね…と思いながら財布を取り出して中身を見てびっくり。
中身が知らない硬貨ばっかりになってるし。
通学カバンが巾着袋になってた時も思ったけど、わざわざ中身鞄のを移し替えたり財布のお金をすり替えたりって、どんだけ暇なのよ神様?
しかも、こんなに世話焼いてくれるならスキルをくれたってよかったじゃない。
それになんでこっちに来ちゃったのか教えてくれてもよかったよね?ねえ。
聞いてますかー、神様?
・・・全然反応ないや。
まあいっか、とりあえずお金がもらえたことに感謝して。
財布の中に入ってるのは金、銀、銅の三種類の硬貨。
ってことはこれが銀貨かな?
「はい、銀貨三枚。これって銀貨ですよね?」
「面白いこと言うやつだな。…これは鉄貨って言ってな、一番安い貨幣だよ」
「えっ?じゃあ銀貨どれですか?」
「ん?お前さんこの国のやつじゃなかったのか。冗談のつもりでいったんだがな、すまんすまん。それが銀貨だよ」
面白くもなんともない冗談を言うのはやめてほしい。
入れないかと思って焦ったじゃないか。
門番のおじさんの仕打ちに憤慨して、門を通ろうとしたら腕をつかまれた。
「なんですか?」
「ほれ、仮通行証まだ渡してないのに入ろうとすんじゃねえ。俺がどやされるだろうが」
「そうですか、勝手に怒られてください。」
「嘘ついたことに関しては謝るよ。で、この仮通行証なんだがな、三日以内に身分証作って返してくれ。身分証は冒険者ギルドか商業ギルドで作れるぞ。」
「分かりました。」
ギルド!異世界に来たら真っ先にやりたいことの一つ!
でも、僕魔法が使えないから実質やりたいことが一つしかない…
悲し。




