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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
一章 異世界転移と同族のいる街
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やっと森を抜けました。

「ふぁ〜あ。

 おはようございます。っとおわぁ危ね」


起きて、寝ぼけ眼をこすりながら体を起こすと、落ちそうになって慌てて木の幹にしがみつく。


あれ?僕は何でこんなとこにいるんだ?

……そうか、昨日遭難して、魔物を避けるために木に登って寝たんだっけ。

そしてその状況で熟睡できる僕の神経のずぶとさと言ったら…


はッ、そうだ。

よく考えたら、もっと上の方まで登ったら遠くが見えるじゃないか。

そしたたらどっちに行けばいいのかわかる!


そう考えて、木のもっと上のほうまで登る。

そしてそのてっぺんから見えた景色は、


………うん。森。全方位森だね。

僕は昨日一日でどこまで森の奥深くまで迷い込んだわけ?


果たして、どんだけ歩いたらこの森から出られるのやら………

でも取り合えず、この高くて今にも折れそうな木の先端から降りなければ。

歩く以前に心臓を動かすことすら難しいことになってしまう。


そう思って、慎重に素早く木から降りる。


ふう、怖かった。


ではまず、朝ご飯を食べて。


行く方向を決めるために棒を立てて、手を離す。こっちに進むべきなんだな。

それでは出発するとしますか。


そして、今日こそはトレントが見つかるといいな。


トレントは、人が通りかかったら襲い掛かってくるらしい。

だったらどこにいるのかに気を配らなくても大丈夫だ。

相手から来てくれるなんて、それほど楽なことはないからな。欲を言うと、ついでに自滅してくれればいいんだが。


そんなことを考えながら歩いていると、印をつけ忘れていたことを思い出した。

昨日もこれを忘れたことで迷ったんだから、しっかり木の幹とかに傷をつけて印にしとかないと。


「危ない危ない、また迷うとこだった」


もう手遅れのような気もするけど、ないよりはましでしょ。

そう思ってマジックバッグからナイフを取り出し、自分の来た方向がわかるようにする。


そうやって進んでいくと、異常に堅い木を切りつけてしまった。

と思ったら、その木が崩れ落ちた。


どうもその木が、トレントだったらしい。

紛らわしい奴め。ちゃんと攻撃して来いよバカ。

危うく見落とすところだったじゃないか。


それにしても、人が通りかかったら襲ってくるんじゃなかったのかよ。

全く……しっかりしてくれよ。主に僕のために。

______________________________________


魔の森、トレント


今日もまた、いつもの場所で獲物が来るのを待ち構えている。

最近はほとんど獲物が来なくて、だいぶ痩せて幹が締まってきてしまった。


こうなると、体が硬くて動きにくいから早く獲物を食べなければ。

何か通りかからないだろうか。

もし今日一日待って通りかからないようであれば、この狩場を移すことも考えるべきか。


ガサッ


ん?何か物音が伝わって来たぞ。

これは明らかに、自然の音ではない。

では、これは待望の獲物が来たということなのか!


どんな種類なのだろう?オークか、ブラッドベアか?サイクロプスでもいいな。


そう期待に胸を膨らませて、魔力感知を発動する。

魔力感知は俺たちトレントの種族スキルだ。

これで獲物の位置を捕捉して、一番近い距離に来た瞬間食らう。それが俺たちの十八番。


だが、スキルを発動した瞬間に違和感に襲われた。

周りに、()()()()()()()()()()()のだ。


まさか、そういう特性を持つユニークか?

いや、あり得ない。生物である限り、常に微量の魔力を周りに垂れ流しているはずなんだ。

何らかの特性の影響だったとしても、捉えられないはずがない。

もっと集中して、魔力を捉——


そこまで考えた時、自分の半身の感覚がなくなり、視界が暗転した。



そして二度と、このトレントが意識を取り戻すことはなかった。


______________________________________


それにしても、意外とあっけなかったな。

もっと戦闘になるかと思ってたのに、このトレント、居眠りでもしていたのだろうか?


だったらラッキー。何にしても、体力を消耗せずにクエストをこなせたんだし喜ばなきゃな。


ただでさえいつまで歩けば森が終わるのか分からなくてネガティブ思考になりかけてるんだから、少しでも明るい話題を見つけなきゃ。


そう思って、僕はトレントをマジックバッグに仕舞ってから歩き出した。



こんな感じで、昼は自分を励ましつつ歩き、夜が来たら木の上に登って寝、朝になったらまた歩き出すという生活をすること3週間。


流石に森の中の景色に飽きてきて、マジックバッグの中の水の量が心もとなくなってきたころ。


僕の目は、森の外に広がる草原を捉えた。

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