スライムはゴブリンよりも強いと知りました。
メグルが寝てしまったころ。
「よし、これからゴブリンを討伐しに行くぞ」
「分かってるわよ。相変わらずうるさいわね、アバントは」
「まあまあ。そんなこと言わずにね?ほら、リーダー落ち込んじゃったよ」
とあるパーティーがメグルのいる森へと入っていった。
・
・
・
「ふう、これでほとんどいなくなったかな」
「ああ、さすがにこれだけ倒せば十分だろう。それにしてもさすがだな、夜動きが鈍ってるうちに、ゴブリンを魔物除けで一か所に集めてまとめて討伐するなんて。思いつかなかったぞ」
「リーダー、労うんなら言葉じゃなくて食べ物と酒でよろしく」
_______________________________________
………………、…、はっ!
やばいいつの間にかねてたどうしよう体全部ある?
手は?
動く!
よかった、足もある。
少なくとも足があるんだったら幽霊ではなさそうだな。
よかった、生きてるよ。変な体勢で寝てたから体中が痛いけど。
あ、焚き火が消えてる。
寝てる間に、魔物に食べられたりしなくてよかったー。
よし、今日は明るいうちに森を抜けられるように頑張って歩くぞ。
そう決意しながら昨日残しておいたおにぎりを食べる。
食べ終わったら焚き火の後に砂をかけて、火事にならないようにする。火はもう消えてるけど一応ね。
そしたら荷物を入れた巾着袋をもって、忘れ物がないか確認して。
あとは頼りないけど護身用に棒をもってっと。
しゅっぱーつ。
どっちに行ったら町があるかとかは全くわかんないけど、なんとなくこっちのような気がする。
それに、昨日はあまり森の中を歩き回らなかったからな。
何があるか楽しみだ。
ちょっとゴブリンは怖いけど、ステータスの運が∞だから、それを信じてみることにした。
・
・
・
大した出来事もなく二時間くらい歩いていると、つまんなくなってきた。
最初の方こそ小鳥の姿を見つけたり、木々のざわめきを聞いたりしてたけど、ずっと同じような景色だから飽きてきて、今はゴブリンが出てほしいとさえ思ってる。
・
・
・
四時間ぐらい歩いてるはずなんだけど、まったく森の出口が見つからない。
ペットボトルの水はとっくに飲み干しちゃったのに、のども乾いたし疲れたな…
川かなんか流れてないのかなあ。
そんなことを思いながらももう少し進んでいくと、音が変わった気がした。
そして木々の間からきらきらとした水面が見えてきた。川だ!
そしてその対岸は草原になってる。
やっと森から抜けられたよ。ばんざい。
とりあえずのどを潤して、それからペットボトルに水を汲んで、ちょっと休憩。
川をなんとなく見ててふと思う。そういえば現実で川なんか見たの、初めてかもしれない、と。
だから僕は浅はかにも、休憩を終えて川をそのまま渡りだした。
そして案の定コケに足を滑らせてそのまま流されかける。
運よく突き出ていた木の枝にしがみついて渡り切ったけど、もうこんな経験はこりごりだと思った。
そして荒くなった呼吸を整えて、一歩踏み出したところで何かを踏んずけた感触がある。
恐る恐る足元を見ると、スライムだ。
なんだーと思ったのもつかの間、靴が溶けてきてることに気がつく。
慌てて靴をスライムからはがして、はがして…全くはがれねえ。
どうしよう、こいつ。触れないから棒でとろうとしたのにくっついてやがる。
しょうがないので川に戻って靴を水につけて、川底の石で無理やり引きはがす。
あーあ、靴がびちょびちょだ。こいつ、つっこんで来て自爆したあのゴブリンよりも厄介じゃん。
だれだよ、スライムは最弱の魔物って言ったやつ。
靴を溶かそうとしてくるわ全く取れないわ、もう散々だよ。
この靴、高かったんだぞ。
スライム君に弁償してもらいたいんだけどうすればいいんだろう。
靴が濡れてて歩きにくいけど、このスライムのいる草原で寝るほうが嫌だから、我慢して歩く。
スライム君、僕は学習したからね。
もう靴溶かされてたまるか!
絶対スライムなんか踏まないように避けて歩いていく。
それにしてもスライム多くねえか?
こういうものなのかな?
一陣の風が吹く。
それにつられて顔を上げると、道がもうすぐそこにある!
今まで足元ばっかり見てて気が付かなかった。




