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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
一章 異世界転移と同族のいる街
36/72

巻き藁を斬りました。


その日、腰に刀を下げて宿に帰った。



そしたら、なんかラオバンさんとミラさんと、あと…あ、アバントさんだ。

(ソウレンさんもだし、なんか四文字の名前の人が多いから、名前覚えにくいんだよな)

その3人が手ぐすね引いて待ち構えていた。


「新しいトランプのゲームあるか?一晩やって、神経衰弱飽きちまった」


そういうわけで、ババ抜きを教えて、上へ。

だって、やったってどうせ、勝ちまくるだけだもん。

運が良すぎるとつまらないのよ、運ゲーって。




そして次の日から、真剣を持っての特訓が始まった。


「違う、刃が立ってない!」

「力で切るな、刀に身を任せるんだ。スッと刃が入る感覚だ!」

「空振り!間合いが変わったのは分かるがそれじゃあだめだ」


僕が今向かい合っているのは、ソウレンさんではなく、巻き藁。

今日知ったことだけど、これの強度は人の胴体と同じくらいらしい。


それに対して何度も切りかかっているんだけど、すぐに刃が止まっちゃう。

それは、剣筋に対して刀の刃の向きが曲がっているからだ。頭ではわかるのに、それを修正するのが意外と難しい。木刀でやっていた時とはまた違った難しさだ。少なくとも、刃の向きなんて気にしていなかった。


「質より量だ、習うより慣れろ!!」


ソウレンさんの一喝で、あれこれ考えるのはやめる。

頭の中を空にして、刀に任せてスッと刃が入る感覚―。


ザクッ、ドシャ


刀に抵抗がなくなったな、と思うと、巻き藁が両断されていた。

でも、まだ一回目だ。がむしゃらに振ってるうちに切れただけ。この感覚を身につけなきゃ。

そう考えて、その横の新しい巻き藁を切る。

さっきみたいに。……刃が滑る感じに……


ズッ、ドシャ


「よし!」


次。


スッ、ドシャ


次。


スパッ


次。…はもうなかった。


「メグル、すごいじゃないか。正直言って、ここまで早く切れるようになるとは思ってなかったぞ。

 お前には天賦の才があるんだな」


「はい!」(やった、嬉しい、褒められた!)


ソウレンさんに褒められた。こんなはっきりと言われたのは初めてじゃないか?

心の中で小躍りしてたら、次のソウレンさんの言葉で落とし穴に突き落とされた。


「じゃあ次だ。俺と斬り結ぼうぜ」


「はい?」(何言ってんの、このひと?)



「刀が曲がったり欠けたりすると困るから、俺が手慰みに打ったカタナを貸してやる。カタナと言っても形だけだがな」


「はい」(何でソウレンさん刀打てんだよ)


「じゃあ取ってくるから待ってろ」


「はい……」(取ってこなくていいです……)


無理でしょ。段階飛ばしすぎだってのに。

アホ!鬼!人外!


「……」


心の中で思ってただけなのに、何だろうこの絶対零度の視線は……。命の危険を感じる。

取り敢えず心の中で謝っておいた。

『ごめんなさいこのクソや…オホン』


そしてソウレンさんが持ってきたのは、『伏魔』と同じくらいの長さの刀だったけど……

明らかにこっちの方が光が鈍いんだよね。研ぎが足りてないんだろうか?


「お前はそれ、俺は刃引きしたカタナを使う。

 お前ごときには当たんねえから安心して来い」


まあいいや(よくないけど)、これメインで使うわけでもないんだし(『伏魔』刃こぼれしたら、直るんだろうか)とりあえずは(まだ刃こぼれしてないから)大丈夫なはず


「メグル、来ないんならこっちから行くぞー!」


ソウレンさんの声が聞こえたと思ったら、目の前にカタナが!


慌て振ったら、運よくそれてくれたけど、直撃してたらどうなってたことか…危なかった。


「もっと行くぞー。

 あと、カタナは攻撃を受けるとすぐ曲がったり欠けたりするから気をつけろ」


その声と共に、斬撃が休み無く来る。

しかも的確に刀で受けたくなるような軌道で。

技術もバケモンかよ。


そう考えながら斬って、斬って、斬って、叩いて、空振りして、ソウレンさんのカタナが体に当たって、吹っ飛ばされる。

慌てて受け身を取ったところで、背中から地面にたたきつけられる。痛って~。


ソウレンさんは、その間に開始位置に戻る。


「まだまだやるぞ、こんなんでへばんな」


なんだと!?これ以上やられてたまるか、もう息も絶え絶えだよ。

しかもさっき一撃入れられた肩が痛え。


「ソウレンさん、さすがに無茶です、できません」


「何言ってやがる、ホーンラビットなんかすごいスピードで突っ込んでくるんだぞ、これくらい何とかしろ」


「………」


あ~、もう!やればいいんでしょ、やれば!



そして吹っ飛ばされること4回、ソウレンさんに文句を言って撃沈すること8回。

カタナがかすること12回。


やっとお昼の時間になった、嬉しい。

でも体中が痛いから、ホントにこれもう、虐待だと思う。

ソウレンさんにそう言ったら、「虐待ってなんだ?初めて聞くぞ」って笑顔で言い放ちやがった。今ほど日本とこっちの世界の文化の違いに戦慄したことはないね。

ひどい。


少し憤慨しながらお昼を食べ終わる。少しでも早く帰って、ベッドに寝っ転がりたいと思って、即宿へ帰る。

トランプをする元気も起きず、部屋に上がってステータスを開いてみると……


【 体 力 】 80/250


…よし、寝よう。そして全身全霊をかけて回復しよう。


お休みなさい。

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