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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
一章 異世界転移と同族のいる街
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日本刀を手に入れました。

「『のかなぁ?』って言われても、ソウレンさんにわからないのに僕にわかるはずないじゃないですか」


と、いいつつ、実は心当たりがないわけでもない。


『あらあら、そんなに落ち込まないで。魔力がないって、いいこともあるのよ。

 例えば魔法陣型のトラップは、魔力を感知して発動するから、あなたはそういうものには引っかからないわ。

 あと、探知魔法(サーチ)にもかからなくなる。索敵にかからないって、実は大きなアドバンテージよ』


何時だか会った薬屋さんの言葉だ。

ソウレンさんは気配がないって言っていた。

でももし、探知魔法(サーチ)が探知するものが、()()()()()()()()()()()

魔力がなければ探知魔法には引っかからない。

ということは気配とは…

『体から微量に漏れる魔力』の事なのでは?


と、こんなことを考えたりもするものの、所詮は机上の空論だから、これ以上考えても詮無いことだ。


僕が押し黙って考えていたのをどうとったのか、ソウレンさんは結論を出す。


「それもそうか……

 剣の成長も早かったし、そういう才がお前にはあるってことなんだろうな、きっと」


「そうですよ」


「まあいい。メグル、ちょっとついてこい」


「何でですか?」


「いいから、来い」


急に真面目モードに入ったソウレンさんの有無を言わさぬ口調に、黙ってついていく。

そして来たのは、武器屋の店内の、応接室みたいなところだ。

僕は座らされて、ソウレンさんは部屋の外へ出て行ってしまった。


そして戻って来た時には、その手に一振りの刀を持っていた。


「メグル、おめでとう。これは『刀術』発現のお祝いだ」


「ありがとうございます」


「銘は『斬魔』、昔俺の使っていたカタナだ。品質は保証する」


「え!?こんなの貰っちゃっていいんですか?」


「お守りの意味も込めてな。

 ……カタナにとっても使われた方がいいだろうさ」


「ありがとうございます」


ソウレンさんの気持ちに、ジーンとなっていると、ソウレンさんが「ただ、」と話し始めた。


「ただ、それは、カタナだ。れっきとした刃物だ。

 今まで持っていた、木刀とは違う。

 その気になれば人も殺せる。

 お前が今、手に持っているモノは、言うなれば命を奪うために作られたモノなんだよ」


そう言われて、僕にはこの刀が何倍も重くなったように感じられた。

今その気になれば、たやすく命を奪える。

そう思うと、これは触れてはいけないもののような気がしてきた。


僕はきっと、刀を持つことの意味がわかっていなかったんだ。

だから刀に憧れて、それを持つことを目指して。

そして今、実際に手に持った時にその重さに打ちひしがれている。


こんな僕に、刀を持つ資格なんてあるのか……


「でも、そうじゃない。それだけじゃないんだ。

 カタナが純粋に、命を奪うためだけにあるんだとしたら、そんなにきれいに見える訳がないんだ。 

 それなのに、カタナは人を引き付ける。現に、お前もカタナに憧れていただろ?

 何でだと思う?

 ……それはな、カタナが、人を守るために作られたものだからだ」


そう思ったけれど、続くソウレンさんの言葉に、衝撃を受けたような気がした。


「人を、守る?」


「そうだ。

 この『カタナ』は、極東の島に住む老人が、この国に漂着した時に伝わったらしい。

 それを初めて見たこの国の人が、こう聞いた。

『なんでその剣には、刃が片方にしかないんだ?』

 と。それに対して老人は、こう言ったそうだ。

『両刃の剣では、守りたいものをも傷つけかねん。

 刀は、守るための刃だから、そんなことがないように片刃になっておるんじゃ』」


「…………」


「こんな話もある。

 老人から刀を買おうとした商人がいた。だが、いくら金を積んでも買い取ることは叶わなかった。

 そのあと老人は、カタナを売った。とある駆け出しの冒険者に、二束三文の値で。

 何故か、と理由を尋ねられた老人は、

『あの刀の銘は、『斬魔』。

 悪しき魔物を斬り、大切なものを守れるようにと願い、この名をつけた。

 銘は、刀に名をつけるもの。

 名付け親である俺たちは、それに責任を持つ必要がある。

 刀を只の殺人道具としないために、銘をつけるんだよ。

 とはいえ、刀がどう使われるかは、最後は使い手にゆだねられる。

 刀を人切りのために使うも、誰かを守るために使うも、使い手次第ってわけさ。

 だから、渡す相手はしっかりと見極めなければいけない』

と、こう答えたそうだ」


「え……。じゃあ今、僕が持っているのって」


「そうだ、今の話に出てきたカタナだ。”とある冒険者”が老人から買ったものだ。

 俺は、メグルの事を見極めて、渡すに値すると判断した。お前であれば、使い道を間違えないだろう」


それを聞いて、刀を持つことに抵抗がなくなっていくのを感じた。

「刀を人切りのために使うも、誰かを守るために使うも、使い手次第」なんだ。

まだこれを持つのは怖いけれど、覚悟は決まった。

僕は、みんなを守るために刀を振る。

みんなの幸せのために、平和な生活のために。

この先どうなるかはわからないけれど、そう、決意した。


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