気配がありませんでした。
ソウレンさんが見せてきた紙にはこう書いてあった。
《ステータス》
【 名 前 】 メグル アイバ
【 性 別 】 男
【 年 齢 】 17歳0ヶ月
【 職 業 】 迷い人(異世界人)(転職不可)
【 犯罪歴 】 なし
【 レベル 】 1(MAX)
【 体 力 】 250/250
【 魔 力 】 0/0
【物理攻撃力】 95
【魔法攻撃力】 0
【物理防御力】 56
【魔法防御力】 0
【 精神力 】 54
【 筋 力 】 62
【 俊敏性 】 70
【 回 避 】 76
【 反 射 】 68
【 知 力 】 182
【 思考力 】 149
【 器 用 】 104
【 運 】 ∞(測定不能)
【 スキル 】 言語理解(消費魔力:0)(ユニークスキル)
【 武 技 】 刀術 気配断ち?
【 称 号 】 剣聖の弟子
【 その他 】 能力把握(天恵)
「そうか、メグルのステータスが見れる力はこの能力把握ってやつか」
ソウレンさんは何かを呟いてから顔を上げ、説明してくれた。
「俺はユニークスキル『鑑定』を持っている。
同じような効果のある魔道具が冒険者ギルドにはあるけれど、それもまた表示のされ方がこれとは少し違う」
「へ~。すごいですね!」
「おい。目をキラキラさせてっけど、自分のステータスを見られるってかなり痛手なんだぞ」
「何でですか?」
そう言われても、全くデメリットを考えつかない。
むしろ、自分の能力を知ることができていいのでは?とさえ思える。
「考えてもみろ、これを見られるってことは、自分の弱点がさらされるってことだ。
しかも、職業から名前から犯罪歴まで見られんだぞ。
現に俺だって、今お前が17歳だってことに驚いている」
「童顔ですみませんね…」
「……いや、そんな落ち込むな。童顔でもいいことあるって。きっと、多分。
ほら、小さい子だと思われて手加減されたりとかな」
「今まで手加減してたんですか!?」
「おうモチロン。
それよりメグル、お前迷い人で魔力0で知力・思考力・器用が常人離れしてる上に運が測定不能って、なんの冗談だ」
「さあ?
迷い人なのは前にギルドに行ったときに伝わってると思ったんですが」
「ああ、それはな。迷い人が来たって大騒ぎだったからな。
しかもそいつには魔力も武技もないと来た。それじゃあすぐ死ぬだろ、冒険者にはできないわな」
「そうっすかい」
「で?魔力0で知力・思考力・器用が常人離れしてる上に運が測定不能って、なんの冗談だ」
「魔力がないのは多分、この世界で生まれた人ではないからだと思います。
で、知力、思考力がいいのは前にいた世界で勉強してたからですかね」
まあもっとも、勉強してたのは学校に行かなきゃなんなかったからで。
決して自分からじゃないんだけど黙っておこう。
「そうか。お前、見かけによらずまじめだったんだな」
「ソウデスネー」
見かけによらずってなんだ、見かけによらずって。
「じゃあ、運が測定不能って、なんの冗談だ」
「知らないです」
知らないものは知らないって答えるしかないよね。
どうあれ、なんで運がこんなことになってんのかはこっちが知りたいくらいだ。
「そうか。じゃあ次。
剣聖の弟子っていうのはなんだい?俺は弟子と認めた覚えもなければ剣聖と呼ばせたこともないんだが」
「ソウレンさん?なんで笑顔で持ってた羽ペンを粉々にしてるんですか?」
(比喩じゃないからね、ホントに粉になってるからね、羽ペンが!)
「さあな?」
身の危険を感じて、慌てて弁明をする。
「それに、このステータスは僕が作ったんじゃないじゃないですか」
「そうだな、うん」
まだ目が怖いよ、ソウレンさん。
「これは、ステータスが悪いんですよ。
僕はステータスをソウレンさんに見せただけだし神に誓ってステータスをいじったこともありません。」
「そうだな…」
「だから、このステータスを作った神様が悪いんです」
「そうだな!許すまじ、神様…
なんで手の届かないところにいるんだ、俺の敵……」
よし、うまく責任転嫁できたぞ。
こうしてメグルの命は守られたのであった。セーフ。まじで命が危なかった……
相手が神様だと知って急になんか燃え尽きたソウレンさんに、聞きたいことがあったんだ。
「刀術はなんとなくわかるんですけど、気配断ちって何ですか?
そんなものを習得した覚えはなくて」
「気配断ちか。
うーん。いや、心当たりはあるんだけど…」
「なんですか?」
「うまく説明できないんだが……
見えない動きってのは二種類あってな。
一つ目は目が追い付かないレベルまで加速して、素早さで見えなくなるもの。
そしてもう一つが『見えてても反応できないもの』だ。
お前の動きは後者だな。
攻撃するときの殺気みたいなのが無いっていうか、自然体のまま違和感なく動くっていうか。
正しい体の使い方と姿勢、重心の移動が身に付いたこと。あと筋肉が付いたことで、足音が消えて、無駄な空気の揺らぎが消えて、より捉えにくくなっている…のかなぁ?」




