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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
一章 異世界転移と同族のいる街
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ステータスにはありませんでしたが。

そして一番言いたいのは、


何で武技が未だにとれてねえんだよ!


これだけ頑張ったんだぞ、三か月だぞ?

それでだめって、どんだけスパルタなん?


……いや待てよ、剣道で、初段から二段に上がるには一年の鍛錬が必要だってどっかで聞いたぞ。

ってことは、あと半年以上も頑張んなきゃいけないのか?

大変だなー。(他人事)

いやいや、そんな訳……大変だなー。(毎日ソウレンさんにボコされんのか)


ソウレンさん、カウンターばっかやってくるからそんな威力ないかと思うじゃん。

でもそれ大きな間違いで、僕の力を利用して振ったりしてくるんだよ、ただでさえ固くて重い木刀を!

一回まともにわき腹に食らって、悶絶したのを覚えてる。

それから極力回避するように心がけてるんだけど、つい大きくよけすぎちゃうんだよね。

でもそうすると、隙ができたり反撃のチャンスを逃したりしちゃう。

紙一重で避けんのが理想なんだけど、それがムズいんだ、めっちゃ。


あ!、だから防御が上がってたのかな?

避けることを防御って言っていいのかが甚だ疑問だけど……

ホントに、ステータスの表示の判断基準が謎すぎる。


そんなことを考えてたら、ミラさんがご飯を運んできてくれたので、スキルボードをいったんたたんで手を合わせる。


「いただきます」


やっぱり、甘いもんったらないね。主においしいって方の意味で。

今日のおやつ(そんな文化があるのか知らんけど)に食べたパンケーキはぜいたく品だったんだな。


そして完食。


「ご馳走さまでした」


そう言うと目ざとく…いや、耳ざとく聞きつけたラオバンさんがやってきて、


「全員が食い終わったらまたさっきのやるぞ、だからちょっと待ってろ」


「はいはい」


そしてカードを広げて待ってると、知らない人がこっちをのぞき込んで来たので一緒にやることに。


ルールを説明して一戦やってると、ミラさんもやってきた。

ミラさんと知らないおじさんの二人にはちょっと待っててもらって、僕の圧勝でゲームを終わらせる。


そのままの流れで四人でやることになった。


「よおアバント、久しぶりだな。

 今日は酒飲んでないんだな、珍しい」


「別に珍しくもねえよ、ただ飲む気にならなかっただけだ」


ラオバンさんがその人と親しそうに話し始めたので、ミラさんに「誰ですか?」と聞いてみた。


「あれはアバント。冒険者で、『蒼のたてがみ』ってパーティーのリーダー。

 …………別に珍しくもねえ、って本人は言ってるけど、酒豪だからお酒飲まない日は年に数回よ」


「っておい、ミラ、てめえ聞こえてんぞ」


「あら失礼。でも事実でしょ」


「そうだな、俺も(今回ばかしは)ミラに同意する」


かっこの中をボソッと呟いて、ミラさんににらまれるラオバンさん。


「なんだよ…まあいい、もう一回やるぞ」


そして始まった神経衰弱。

ここまでくると、僕はもう楽しくなくなってくる。

テキトーに引いたら必ずペアが出ちゃうんだもん。あれって、どこにあるかって探して当たるかどうかのドキドキを楽しむもんでしょ。

それが必ずペアになるってなったらどうよ、つまんなくて。


さっきまでは勝利の快感でごまかしてたけど、必ず勝つ勝負って面白くないわ。

だから今は、一人で「できるだけペアを作らないようにしようゲーム」やってんの。


ほんとに、運が良すぎるってのも考えもんよ。


四人で二戦やって、もう本格的につまんなくなったので、決着がついたタイミングで戦線離脱することに。


「じゃあ皆さん、僕もう眠くなってきたので寝ます。

 それは使ってていいので」


そう言って部屋に戻る。


で、寝る。

明日もきっと、代り映えのしない日だろうな。

誕生日も来年まで来ないし。


で、次の日。


起きる。

朝ごはんを食べる。

ソウレンさんのところへ行く。

ランニングする。

ボコされる。  ←日本でやったらアウトだぞ!

昼食をとる。

武技の習得が発覚する……武技の習得が発覚する?


何でこんなことになったかというと。


昼食(という名の屋台のサンドイッチ。買ったの三か月前なのにまったく腐らないし温かいまま)を食べながらソウレンさんと話してた。


「ソウレンさん、僕、いつになったら武技を習得できますか?」


「さあな、習得できるまでの期間は人によるからな…」


「そうですか」


「でも、お前は筋もいいし、そろそろ取れててもおかしくはないぞ。

 あとメグル、ずっと武技武技言ってるが、お前が習得できる可能性のあるのは武技の中でも『刀術』だろうな」


「……どっちにしても、昨日宿で見たけど、ステータス画面にはなんもなかったですよ」


「……?

 聞き違いか?今なんて言った?」


「昨日見たけど、ステータス画面にはなかったですよって」


「........................................何?」


「ソウレンさん?おーい。どーしましたか?」


駄目だこりゃ。完璧にフリーズした。

なんかそんなショッキングなこと言ったっけ。

はっ、まさか、武技…じゃなかった、『刀術』がないのがそんなにダメだったんだろうか?


「ステータスを見ることができんのは、ギルドにある魔道具か俺だけのはずなのに。

 ギルドの魔道具の製造法は秘匿してた、漏れるはずがない。

 盗まれたって報告もない。ってことは」


なんかつぶやきだした。知らない人が見たら完全に不審者だわ。

知ってる僕からしても不審者だもの。

……武技がないこと、怒られるかな。


「………メグル。まさかお前、ステータスが見えんのか?そういうスキルを持ってんだな?」


んん?今考えてたのはそのことなんだ?

どうして武技が取れてないのか、とか、そういうことじゃなくてそっち?


「見えます」


「そうか。俺のステータスは見えるか?」


頭を抱えたソウレンさんが言った。


ソウレンさんのステータスか。

そういえば他人のを見ようとしたことなんてなかったな。


「ちょっと待ってください、『ステータスオープン』」


ダメだ、自分のステータスだけが見えるな。


「だめです、見えないみたいですね」


「そうか。それは良かった」


「何でですか?」


「ステータスってのは個人情報の塊なんだ。

 …絶対口外しないから、紙に書きだしてもらうことってできるか?」


「いいですよ」


自分のステータス画面をみえるままに書き出す。


こう見るといかに自分が成長してないかがよくわかるわ。

悲しいことに、魔力なんて0のままだし。


「ふむ、そうか。

 それがメグルには見えてるんだな?」


ほっ、と息を吐き、幾分気を緩めたソウレンさんが聞いてくる。


「?、ええ」


「俺の知ってるステータスとは見え方が違うようだな。

 お前のステータス、見ていいか?」


「別に減るもんじゃないしいいですけど」


そう言うと、ソウレンさんが何かを紙に書き出す。


それは、僕に見えてるものよりも幾分詳細なステータスだった。


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