負けそうです。
「おお!!!」
冒険者たちの声がギルドを震わし、それぞれギルマスの指示に従って持ち場へと散っていく。
「俺は…」
どこへ行けばいいんだ?と横のルークに聞こうと思ったらもういなくなってる。
周りを見渡すと、いつの間にかギルマスと一緒に作戦の立案と指示を出してんじゃねえか。
優秀なのは知ってたけど、あいつ実はただもんじゃねえんじゃ…
仕方がないので周りの剣士に配置を聞き、門に向かう。
俺たち剣士は門の外に配置され、それを守るようにタンクなどの盾職が。
城壁の上には弓を扱える人や魔術師が、それぞれ配置につく形だ。
普段は街の治安維持を担当している衛兵も、弓で援護したり俺たちと一緒に剣をもって戦う手はずになっている。
俺が今向かってんのは東門。一番”魔窟”に近く、被害が大きくなると予想される場所だ。
みんな、ギルマスの目が届かないところに来たからか、好き勝手言ってる。
「おい、ギルマスあんなこと言ってたけど、確証はあんのかよ」
「ほんとだよ、来なかったらどうするんだ」
「でも、来ない方がいいとは思うよ…」
「そんなこと言ったって、せっかく待ってんだから……」
ドドドドドドドドド
遠くから地鳴りがする。
土埃が立っているのも見えてきた。
「モンスターが押し寄せてきたぞ!」
城壁の鐘楼に登った冒険者が叫ぶ。モンスターパレードが始まった。悪夢の襲来だ。
もう少し近づいてきて、モンスターがはっきりと見えるようになってくるようになると、ユニークも多く混じっていることがわかる。
それにしても、地平線を埋め尽くすように迫ってきてるんだがこれ、捌ききれるか?
いや、やるしかない。もしできなかったなら、それが意味するものは死だ。
そして、一斉に魔術や弓が放たれ、戦闘が始まった。
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ギルド内、ルーク
「モンスターが来ました!ものすごい数です!」
伝令が駆けこんできた。そうか。危なかったな、冒険者を集めるという判断が一瞬でも遅ければこの町は終わっていたかもしれない。
「もう配置にはついているか?」
ギルマスの鋭い言葉が飛ぶ。
「はっ、既に」
「ならばすぐに戻り、戦況を見極めろ。このMPポーションも全部もっていけ」
伝令が去った後、ギルマスが聞いてくる。
「いいのか?こんな大量にポーションを持ち出して。領主様の許可とってないだろ?」
「問題ない。何かあれば父上には私の名を出せ」
「了解。流石に次期領主様は懐の大きさが違うな」
「今回防衛に失敗すれば、立場なんか関係なくモンスターどもに嬲られるだけだからな。
あと敬語使え」
「まぁまぁ、良いじゃないか、そんな事言ってる場合じゃないだろ?」
「……………」
こいつ……それ持ち出されちゃ反論できん。
とりあえずソウレンは気になるけどまあ平気だろ。本人に自覚はないようだけど、あいつもかなり強いからな。
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フッ!
気合を入れてカタナを一閃。
殴りかかろうと腕を振り上げたままの格好でコボルトが倒れる。
振り向きざまにレッドウルフに一撃をお見舞いし、その後ろにいたもう一匹の頭も落とす。
仲間に攻撃を仕掛けようとしていたオークを両断しようとしたところで、カタナが止まる。
オークの首の中ほどで動かなくなっちまった。
その巨体を蹴り飛ばし、とびかかって来た何かに突きを放つ。
カタナの切れ味が鈍って来たな。本当は血糊をふき取りたいけどそうはさせてくんねえよな。
あたり一面に広がるモンスターの海を見てそう思う。
かなり倒して、もうここが丘のようになってるんだが全く減った気がしない。
少しなら刺突だけでしのげるかもしれんが、このままじゃ負ける。
何かないか?
モンスターを突き刺しながらあたりを見回した俺の目に飛び込んできたのは、鈍く輝く長剣だった。
「すまん、借りるぞ」
おそらくもう死んでしまったであろう持ち主にそう言い、カタナを鞘に納めながら最小限の動きで拾いあげる。
長剣は得意じゃねえんだが、そんなことは言ってられねえ。
背中を見せたことで群がって来たモンスターどもを蹴散らしながらほかの冒険者を探す。
戦ってるやつらの人数が、目算でもう半分になっている。
このままじゃこの町は落とされるぞ。どうする?ルーク。
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「東門、MPポーションが切れました。門の外は混戦状態で、弓隊はうまく機能していません」
「南側はモンスターの数が想定より多く、持ってあと20分!」
「東側の城壁をモンスターが上ってきています。弓や魔法で対処していますが積み重なった死骸はどうしようもなく……」
伝令から続々報告が入ってくる。正直言ってこの数は想定外。
モンスターパレードの発覚が遅かっただけじゃなく、前代未聞の数のモンスターが押し寄せてきている。
どうすればいい?どうすれば……
そうだ!
「ギルマス!」
思いついた作戦を説明する。
「………それは失敗したら…いや、やろう!どちらにしろこのままではこの街がモンスターに飲み込まれる」




