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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
一章 異世界転移と同族のいる街
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モンスターパレードが起こったそうです。

「この魔石ですが、こちらで買い取「ちょっと待ってください!!」」


無事に鑑定を終え、いつも通り報酬をもらって魔石を売ろうとしたところに、奥から血相を変えた職員が出てきて、受付嬢に何やら耳打ちをする。


「なっ!?

 少々事情が変わりました。こちらで買い取らせていただきます」


受付嬢が、かなり慌てた様子で声を荒げてから、こちらに向き直ってそんなことをいう。


「おいおい。俺たちが売らないと言ったらどうするんだ?」


その代わり身に、ちょっと冗談のつもりで聞いてみたんだが…


「これは強制です。もし断ればそれなりのペナルティーが下ると思っていただいて」


思ったより真面目に、しかも重大なことを言われたぞ。

これやばくねえか?何が起きてるんだ?


「そうかい。で、何が起きてるんだい?そんなに取り乱して」


「今はお答えできません」


そっから二言三言、手を変え品を変え尋ねてみたんだが「お答えできません」の一点張りだった。

ホントに、何が起きてんだ?




そんなことがありつつも、討伐報奨金と魔石の代金をもらってギルドを出る。


「ユニークオーガの魔石、思ったより高く売れたな」


「だなー」


「今までの報酬、大分溜まって来たよな」


「うーん…」


「…………おいルーク、さっきからなんか上の空だがなんかあったか?」


「ん?

 ああ、幾らユニークとはいえ、所詮オーガだろ?相場の倍で売れるってのはなんか妙じゃないか?

 ギルドのやつらも、妙に慌ててたし……」


「そうだな。それは俺も気になってた。

 何か大ごとに巻きこなれなければいいが……」


そう、さっきの魔石は特に質が良いという訳でもないのに金貨4枚、相場の倍で売れたんだ。

しかも、受付嬢も規則を持ち出してまで必死に買取ろうとしてたし。

なんかあったとしか考えようがないんだが……


「まあ、分からないものは考えても仕方ないだろ」


「まあな…」


いつもはここで飲み屋によってから帰るんだが、なんとなく酒を飲む気分にはなれなかったので、今日はここで別れることにした。


「じゃあな!」


「ああ……」


ルークと別れて歩く事しばらく。

不意に、街中に魔法で拡声された声が響く。


『冒険者ギルドです。モンスターパレードの兆候を確認しました。

 街の中にいる冒険者は至急、ギルドに集まってください。

 市民の皆様は外出をせず、家でモンスターの襲撃に備えてください。繰り返します。モンスターパレードの兆候をー』


放送を聞いて、即座に俺は駆け出す。

モンスターパレードだと!?

それは大変なことじゃねえか!


……で、モンスターパレードってなんだ?


ちょうど顔を青ざめさせたルークと合流できたので、聞いてみる。

こいつ、平民とは思えないくらい博学なんだ。

時たま、どこで仕入れたんだそんな話、と思うこともあるほどだからな。

(この前なんて酒が入って、領主の女の好みについて語りだしやがったよ。)

だから、辞書代わりに使うにはちょうどいい。


「ソウレンてめえ、そんなことも知らなかったのかよ。こんなの常識だろ?」


……この嫌味がなければ。


「モンスターパレードってのはな、モンスターが異常発生する現象の事だ。基本的には数百年に一度起こる。原因は分からない。

 前回起こったのは約240年前で、そん時はこの街の冒険者の、五分の一が犠牲になってる」


「そんな重大なことなのか、モンスターパレードってのは。

 だがよ、この街でそんな被害が出るんだったらほかの街とかは大丈夫なのか?

 ここより冒険者は少ないだろ?」


「全く…この状況になっても他人の心配かよ。お前は変わらねえというかなんというか。

 他の街はここより”魔窟”から遠いからあまり被害がないんだと。だから今は、この街の心配をしろ」


「ああ、分かった」


そんな話をしている間に、ギルドに到着する。

ギルド内は、もう先に来ていた人たちでいっぱいだった。

奥にだれか出てきたぞ。あ、ギルマスだ。


「今から説明をする。聞け!」


ギルマスがしゃべり始めるとざわざわしていたギルド内が静まり返った。


「知っていると思うが、先程モンスターパレードの兆候が確認された。

 オーガの魔石に含まれる魔力量が通常の値をはるかに超え、その色は漆黒になっていた」


これを聞いた冒険者達に衝撃が走り、あちこちでささやき合う声が聞こえた。

それに乗じて俺も、気になったことをルークに聞く。


「なあ、ギルマスが話してんのって俺たちの討伐したあのユニークオーガの事だろ?

 あれ、色以外にそんなにおかしいところがあったか?」


「はあ…ほんっとお前無知だな……」


「しょうがないだろ、俺はもともと孤児だったんだから」


ムッとする俺に構わずルークは説明をする。

……でも、今ここにいる冒険者たちのほとんどが理解してんだよなぁ。俺の聞いた事。


「魔石は、それに含まれる魔力の量が多くなればなるほど黒に近づいていく。

 で、今回取ってきた魔石は漆黒だったろ?つまりそれほど強大な魔力を持ってるってことだ。

 もちろんそれを有していたあのオーガもな」


「……俺たち、すごいもの倒しちゃったんだな」


「ほんとに。ただ肌が黒いユニークだと思ってたら魔石まで黒いんだからな。

 そしてそれが分かった時、渡り合っていたお前には本当に尊敬したぜ」


「いや、でもとどめを刺したのはルークだろ?」


「……そういうことにしておこう。でもソウレン、お前そろそろ自分の強さを自覚しろ」


そこまで話したとき、今まで聞き流してたギルマスの声が一層大きくなった。


「ーよって、これから陣を組み、モンスターどもを迎え撃つ!」

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