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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
一章 異世界転移と同族のいる街
24/73

オーガを討伐したそうです。

「まずは俺が魔法を打って先手を取るからその後は頼む」


「おう」


ただでさえ才能のあるルークの放つ魔法は、経験を積むにつれてより強力になってきている。まずはそれを放ち、次に俺が接近して混乱しているところのとどめを刺す。

いつもやっている必勝法であり、王道だ。


風刃魔法(ウィンドカッター)


ルークが魔法を放つのを待って俺も飛び出す。

よし、急所に当たった!いくらユニークオーガといえども、それなりの深手を与えることはできただろう。

そう確信して突っ込む。狙うはその首一つ!


「ガウゥゥゥウ」


魔法は基本、当たると魔力の残滓が煙のようになる。

だから、当たったかどうかがわかりやすい一方で敵のダメージや攻撃が見えないこともある。


だから俺は、煙の中から伸びてくる腕への反応が一瞬、遅れてしまった。

ただのオーガの腕力でさえ、まともに食らえば即死級の攻撃となる。

ましてそれが、ユニークであればなおさらだ。


最も気を抜いてはいけない場面で、俺は油断していた。

ルークの魔法が急所に当たったからと言って、それが効いているとは限らない!

そのことに気が付いたのは、カタナで奴の腕を受け止めてからだった。


ユニークオーガの腕力はすさまじく、俺は防御したにもかかわらず洞窟の壁まで吹き飛ばされた。


「ソウレン!」


とっさに受け身を取って起き上がる。

そして俺が目にしたものは全く傷ついていないオーガの頭部だった。


「なっ!?おいルーク、当たってたよな!?」


「ああ。確かに魔法は急所に当たったはずだ。それでも効いていないってことは」


考えられる可能性は、ルークの魔法が当たってなかったってこと。

だがそれはない。明らかに当たっていた。


そしてもう一つの可能性に行き当たる。


「「魔法攻撃無効か!!」」


そう、このユニークオーガが、魔法攻撃無効のスキルを有している可能性。


「ユニーク」と呼ばれる個体は、二つの特性を持っている。

まず、体の色が普通とは異なるということ。そして、()()()()()()()()()()()()()ことだ。

ドラゴンやフェンリルなどの魔獣を除く多くの魔物は、スキルを保有していない。

しかしユニーク個体は、スキルを持っていることで有名である。


だが、何とも運の悪いことにこのユニークオーガとルークの相性は最悪だった。

これじゃあ俺一人で戦う羽目になっちまう。

今まではルークの魔法の頼っていた分、俺一人の実力はそんなに高くない。何とかしないとこのままじゃ勝ち目は薄いぞ。


「ソウレン!いったん引くぞ」


「ああ!」


ルークの言った通り、ここはいったん引くのが得策かと思われたが。

俺たちが駆けだしたのを見てオーガは俊敏な動きで入り口をふさぎやがった。

あいつ……


「どうするソウレン?」


「うーん……」


「ガウウゥ」


オーガはこっちを待つ気なんかないようで、まっすぐ突進してくる。


ちっ、そんな速度でまっすぐ突っ込んでこられたら、せっかく入り口が空いたってのにそっちにいけねえ。

振り下ろされた腕を半身になってかわし、カウンターに一撃お見舞いする。


「だめだ浅い」


反応速度がギリギリだ。これじゃあ体重が載せらんねえ。

反省する暇もなく連撃が来る。

避けて、逃げて、ときどきカウンターを入れるので精いっぱいだ。あっちにも少しずつ傷が増えてはいるけど、このままだったら俺の体力が先に尽きる。

その時だ。今まで端の方で逃げまわっていたルークが叫ぶ。


「ソウレン、策がある!

 あいつ、物理攻撃なら効いてる。ってことは、もともとある土を利用する土魔法なら有効かもしれない!だから合図したら離れろ!」


もう息が切れてきて、まともに会話ができない。そこに思考を割けるほど余裕がない。だからとりあえず返事をする。


「ああ」


「今だ!石針魔法(アーススパイク)


合図とともにオーガのところから飛びのく。それは隙をさらすことにもつながるため、滞空時間は最小限に。そして追撃に備える……が、その必要はなかったようだ。

俺が飛びのくとほぼ同時、ユニークオーガの下の地面が太い針の形になり、刺し貫いた。


「よし、やったか?」


ルークのほっとした声がする。

それでも警戒はとかずにしばらく様子を見てみるが、だんだんと動きが鈍くなり、ついに完全に動きを止めた。


「ああ、そうみたいだな」


警戒を解いて、カタナを鞘にしまう。ルークを振り返ってみると、疲労しているが、けがはないようだ。良かった。


倒したオーガを二人で解体して、魔石を取り出す。

オーガの肉は本当は食用なのだが、ユニークはどんな特性があるか分からないのでおいていくことが推奨されている。




「それにしてもすごかったよ、あの目にもとまらぬ猛攻をしのいで、あまつさえ反撃するなんて」


「いや、まだまだだ。ルークがいなかったら先に俺の体力が尽きて殺されてただろう」


帰りの森で、ルークは興奮冷めやらぬ口調でさっきの戦闘の事を喋っていた。

褒めてくれるのはうれしいが、俺的にはルークの魔法がすごいと思う。


街にたどり着くまでも何度かコボルトやゴブリン、トレントに遭遇したりもしたがユニークオーガとは比べるべくもない相手だった。




難なく街に帰り着いて、門番にギルドカードを見せて街に入る。

相変わらずうるさい冒険者ギルドに入り、受付嬢に依頼書を見せる。


「討伐証明をしたいんだが」


「はい。ユニークオーガの討伐ですね。魔石はありますか?」


「これだ」


しっかり拾ってきた魔石をを渡す。

これがゴブリンとかならいざ知らず、ユニークオーガと見慣れない魔石なので受付嬢はカウンターの中の機械で鑑定をしている。

ここで鑑定した情報は、奥の機械にも共有されて金額が決まるらしい。


実はこの魔石、ユニークの物だからか、その体の色と同じなんだ。今日初めて知った。

普通のオーガと色が違って、拾った時には驚いた。


「鑑定終わりました。確かにユニークオーガの魔石ですね」



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