魔力がないのはなぜですか?
「そんなことがあったの。雇ってあげたいけど……」
「うちもそんな余裕はないんだよ。ごめんな」
あー。断られちゃった。
それもそうか。別に僕がいなくても回るしね……
諦めるか。
「せめて魔力があればな。仕事の一つでも見つかっただろうに」
ラオバンさんの言葉を聞いて、いつだか会った薬屋さんとの話が耳によみがえる。
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「うーん…まず君の魔力がないことについてなんだけどね、君、もしかして、他の世界から来た人?
鑑定結果として出てるけど、まあそんな事ありえないわ「はい、そうですよ」……」
「はい?」
「転んで気がついたらここにいました」
「………………。
そ、そうなの。でも、だったら迷い人の称号にも納得ね。」
「あのー、迷い人って何ですか?」
「それは、神様から自分の使いと認められてこの世界に降り立った人の持つ称号。伝説ではね」
「そうですか、僕、そんなにすごい存在だったんだな……感動」
「そ。それで、君の魔力がないことについてなんだけどね、人は例にもれず魔力を持ってるの。
それは、この世界に漂う魔力を、母親のおなかの中にいるうちに体内に吸収しているとも、呼吸と一緒に取り込んでるとも言われてるわ。」
「!。そうか、僕は魔力のない世界から来たから、魔力を持ってないと、そういうことですか?」
「理解が早くて助かるわ、そういうこと。たぶんね。」
「じゃあ、魔力量を増やすにはどうすればいいんですか?」
「……さあ?普通の人は、限界まで魔力を使うと魔力量が増えるから、そうしてるわね。でも逆に言うと、それ以外の方法は知られていない。もともと魔力がない君が、魔力量を増やそうったって今の技術じゃ無理ね」
「…………………………。そうですか。」
「あらあら、そんなに落ち込まないで。魔力がないって、いいこともあるのよ。
例えば魔法陣型のトラップは、魔力を感知して発動するから、あなたはそういうものには引っかからないわ。
あと、<探知魔法>にもかからなくなる。索敵にかからないって、実は大きなアドバンテージよ」
「そうですか!」
「そうそう。君なりに頑張りなさい」
「はいっ!」
「付き合ってくれてありがとうね。おかげで迷い人が実在するって知れたし。
はい、これ。お礼のポーションよ」
「ありがとうございます。
これは?」
「強化ポーション。新作よ。これ飲んだら10分、疲れを感じずに全力以上の力を出せる」
「ありがとうございます!」
エルフのお姉さんに背を向けて、お店を出る。
さて、どっちに行けばいいんだろう?
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「あ、あの子に強化ポーションの効果が切れたら反動がえぐいって話してなかった。
まあいっか」




