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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
一章 異世界転移と同族のいる街
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雑談は大事でした。

鳥の声で目を覚ます。


あぁ…いつの間にか寝てたのか。

暖炉の火は消えていて、部屋は冷えこんでいる。

しんとした部屋から逃げ出したくて、宿を飛び出して、当てもなく街を歩く。

昇りたての太陽なのに、眩しいのは起きたてだからかな?


大通りに出て、朝早くからやっているお店の喧騒に耳を傾ける。


「らっしゃい、良いものが揃ってるよ」

「安いよ安いよー、捕れたばかりの魚だよ!」


それぞれのお店ごとに個性豊かな呼び込みが行われてるのはどこの世界でも同じなんだな。

昔っからこういうのを見るの、好きなんだよね。

なんか元気をもらえる気がしてさ。


歩いているうちにお腹が空いていることに気がつく。

そういえば昨日の夜ご飯食べ損ねたなあ。

母さんの料理、また食べたいな…


でも今はそんなこと言っててもしょうがない。

ご飯が美味しいって評判の宿だから、食べよう。



宿に戻ってきたはいいけど、昨日の店番してた人朝ご飯何時からか言わなかったんだよな……

今から行って、ご飯出てくるかな?


食堂には誰もいなかったので、厨房をのぞかせてもらう。


「すいません、朝ごはん何時からですか?」


「あ〜、あと三十分。三十分待っててくれ」


そしたら昨日の店番の人が料理作っててびっくり。


「もしかして店主さんですか?」


「ああ。オレはここの店主のラオバンだ」


なんか昨日と印象が違いすぎる……!

昨日、めっちゃ無口だったよね。とっつきにくい印象がなくなってる。


そう思って見てたら、視線に気がついたのかバツが悪そうにしながら教えてくれた。


「昨日は二日酔いで……久しぶりに友達と会ったもんだからうれしくてつい飲みすぎたんだよ、面目ない」


「⋯⋯」


「すまなかったな」


「はい…それは大丈夫なんですけど、フライパンから煙が出てるように見えるのは気のせいですか?」


「え、あっ!!ヤバい」


慌てて火を止めて、フタを開けたらこっちまで焦げ臭い匂いが漂ってきた。

中には黒くなっちゃった目玉焼きらしきもの。


「あらあら…ちょっと目を離したらこうなんだから」


若い女の人が宿に帰ってきて、すぐに状況を理解して、厨房に入っていた。


ってことはよくものを焦がしてんだな、ラオバンさん。


覗き込んだままそんな事を考えてたらさっきの女の人と目が合って、そのまま自己紹介。


「こんにちは。私はこの人の妻でミラよ。よろしくね」


「僕はメグルって言います。よろしくお願いします」

 

それにしてもミラさん若いね、ラオバンさんとつり合いが…


あれ?ラオバンさんのジト目がすごい。

声に出してないはずなのに。


「あのな、顔は口ほどに物を言うっていうだろ?

 お前すごくわかりやすいんだよ、顔が」


な、なんと。僕はポーカーに向かない人間だったのか!やったこと無いから知らなかった。


「私たち、同い年よ。冒険者を引退してからこの宿始めたからきみが思ってるより年は上だと思うわよ」


そうだったのか。ラオバンさんが40過ぎくらいで、ミラさんが20後半くらいかと思った。


そんな他愛もない話をしているうちに、自分の気持ちが落ち着いていくのがわかった。


こっちの世界でも同じように人が暮らしてて、自分が受け入れられているのかな、と思えると、不思議とこの境遇が受け入れられる気がしたんだ。


その後も少し雑談をして(ラオバンさんが厨房から追い出されたからね)、朝ごはんを食べてから宿を出る。

冒険者になり損ねたし、今日やることも特にないから、

武器屋のソウレンさんのとこへ行こう。

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