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幕間・飛び出す天使達
その日、天使族で構成された上位冒険者のパーティーが拠点としているハイドラ王国の王都に辿り着いた時、彼らは愕然とした。
「ヤツの……気配がない……?」
「まさかっ!?」
彼らがこの国にいた理由。
それは、とある少女の存在だった。
その存在は隠されていたが、天使族にとって彼女は重要な存在だった。
王城内の警備はとても厳しいため、会うことはできなかったが……同じ王都内にいれば、いつだって気配を察することができた。
だが、今回の件はまさに運が悪かったとしか言えないだろう。
ハイドラ王国の王都には、守護のための結界が張られているため、王都の外に出ると中の気配は把握できないこと。
彼らの気配察知能力は高性能な代わりに、範囲が狭いこと。
そして……指名依頼によって地下遺跡にいたこと。
その全てが重なり合い、彼らはこの国にいた理由を……見失ってしまった。
「チッ……あいつらっ……!」
「何をしている!それよりも先にヤツを探すぞ!」
彼らはその背に純白の翼を顕現させ、飛び出していく。
そこから、ハイドラ王国の衰退が始まった……。