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オネエ淫魔、邂逅する。


【注意】

作中、残酷表現&グロあります。

読む人を選ぶ作品ですので、苦手な人はお逃げください。自衛大事。

また、シリーズ物ですので、初めて読む方はご注意を。


【ご挨拶】

ローテンション気味な島田です。沢山ある作品の中から本作を選んでくれて、どうもありがとうございます。

最後まで少しでも楽しんでくださると嬉しいです。


では、よろしくどうぞ。


 




 ミュゼとラグナが、箱庭で暮らして数百年ほど経った頃。

 淫魔インキュバスのエイスは、気まぐれに人の世界へと来ていた。



 邪竜の眷属であるエイス達は、必ず邪竜ラグナの元にいなくてはいけない……と、いう訳では()()

 邪竜は基本的に、眷属らの行動に制限をかけない。何をしてもいい。しなくてもいい。自己責任である代わりに、自由が許されている。

 各自、自己判断に任されているがため……眷属によってはずっと人の世にいたり、ラグナが作った箱庭せかい──ではなく。魔物などが暮らす《魔界》に暮らすモノも少なくないのだ。



 まぁ、そんなこんなで。

 淫魔の癖に小綺麗過ぎる所為で淫蕩と廃退が漂う街並みに酷く似合わないエイスは、周りの獲物を狙うような獣の視線すら気にせずに……闊歩していた。


(ここら辺は治安も悪いのネ。どうやらいいカモだと思われているみたいだワ)


 周りの目的は、そこそこ身なりがいいエイスから身包みを剥ぐことだろう。

 それが分かっていながら彼はマイペースに歩み進める。

 ワザと路地裏に入って、()()を待ちわびる。


(ごめんなさいね?狩人はワタシの方ヨ)


 薄汚れた男達がエイスを背後から襲おうとするが、それをスルリと避けて彼らの皮膚に触れる。

 本当は粘膜接触をした方が効率がいいのだが……皮膚の接触でも精気を奪うことは可能だ。

 ゆえに、エイスは長い時を生きたことで上位淫魔(男女関係なしで精気を奪うことができる)となった、その能力を全開にして……一気に彼らから精気を奪った。

 パタリ、パタリと倒れていく男達。

 そんな彼らを見ながら……エイスは顔を顰めた。


「…………うげぇ……不味ぃ……」


 思わずオネエ言葉がなくなるぐらいには不味かった。

 奪ったはいいが、悲しいことに味が最悪だった。

 無垢な人間から奪う精気よりも、色々とスレた人間から奪う精気が不味いのは当たり前なのだが……それにしても最近は当たりが少ない。

 生きとし生けるものは、何かしらの欲望を持つもので。

 それゆえに無垢な人間が、少なくなってきているのが原因だった。


(あーぁ……どこかに美味しい人間はいないかし──………あら?)


 その瞬間、まるで天の采配かと思うかのようなタイミングで彼の鼻に芳しい香りがする。

 きょろりと視線を動かせば、その匂いが漂ってくるのは路地裏の更に奥。

 エイスは軽やかな足取りでそちらに向かった。

 建物が増築された所為で迷路になったような道を進み……数分ほど。

 道の行き止まりで、彼はその塊を見つけた。


「あら……」


 薄汚れたマントを纏った塊。

 団子のように蹲ったそれはサイズ感からまだ子供らしい。

 それに近づき、エイスはゆっくりと背に触れる。

 微かに動く背中から、生きているのは確認できた。


「……………うーん……コレ、どうしましょう?」


 エイスはゆっくりマントを覗く。

 すると、そこには薄汚れた顔。

 ……………というか、普通に汚過ぎて顔の確認ができないし、凄まじい汚臭がした。


(………精気の匂いが……汚臭に負けているワ……)


 淫魔が嗅ぐことができる精気の匂いと、体臭はまた別物なので……遠くにいた時は気づかなかったが、至近距離だとかなり酷い体臭だった。

 エイスは溜息を吐いて、その子供を脇に抱える。



(………仕方ないわネ。子供を放置して死んだら寝覚めが悪いし)


 こうして、エイスは拉致する悪党スタイルで子供を連れ、表通りに向かって歩いて行った………。





 これは、オネエ淫魔とそんな彼の最愛となるであろう少女の物語──。







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