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7つ星魔法使いの日常  作者: 四季
2章
24/30

ラースの森特別演習⑥

俺が、班員の待つ拠点に辿り着いた時には、アリアはすでに到着していた様で、皆から少し離れた場所で俯き気味に座っている。

皆は心配そうな顔で俺のところへ駆け寄ってきて、状況を聞いて来る。


「何かあったの?」

「いやあ、ちょっと色々あってさ」

「色々って……アリアちゃんさっき戻ってきたんだけど、全然元気なくって」


アリスが心配そうに状況を説明してくれる。


「俺が話して来るよ」


と言い、アリアの方へと近づく。

俺が近づいて来るのを、魔力感知を通じて気付いたのか、


「来ないで!!!」


と、周りも驚くほどの声量で怒鳴る。

俺はそれでも、アリアの手を引いて、班員達から少し離れた木の裏へとアリアを連れていく。

アリアの目には涙が浮かんでおり、目の下は赤くなっていた。


「なに? 話す気になったの? 信用できない私に!! 私があなたにどれだけ感謝してるのか知ってる? あの夜のことどれだけ嬉しかったか知ってる? 少しくらい信用しなさいよ。オースティンに入れてる時点で、校長には話してるんでしょ!? なのになんで私には話せないのよ」


溜まってた本音を一気に吐き出したアリアは、嗚咽を漏らして、目からは一気に涙が溢れる。


「話せないって訳じゃないのは確かに事実だ。でも、俺は別に協力して欲しい訳じゃないんだよ。俺の過去を知って、君が必ず俺の味方になってくれる保証もないんだ。普遍って言葉は、これまで通りの日々が続くから変わらないんだよ」


俺はそういい、アリアの頭に手を乗せようとするが


「触らないで!! もういい。1人にして……」


震えた声でそういうアリア。

俺は、「ごめんな」と言い、その場を離れた。


俺だけが戻ってきた状況に、皆、戸惑っていたが、あたりは少しずつ暗くなってきたということもあり、焚き火に火をつけたり、アリアが釣ってきた魚の下処理へと動く。


魚も無事に焼け、夜ごはんの時間にしようと話していたが、まだアリアは戻ってこなく、心配したシャーロットが声をかけに行くが、すぐに戻ってきて、夜ご飯をアリアの元へと運んでいった。


「イブ君、何があったのか話せる範囲でいいから話してくれない?」


ミーシャにそう言われるが、俺から話せる事はない。


「ごめん」


と一言しか言わない俺に、皆察してくれた様で、「話せる様になったら話して欲しいな」 と優しい言葉をかけてくれた。


その日は、火の番や、あたりの警戒のため、ローテーションで寝ようという事になったのだが、俺も思うところがあるので、一夜請け負うことを皆に話す。


皆は遠慮をしていたが、


「アリアと話せる機会があったらすぐ話せる様にさ」


と言うと、申し訳なさそうに了承をしてくれた。




時刻は26時を回り、星も見えない森で、1人天を仰ぐ続ける。

すると先ほどまで動かなかった、アリアが動き出したのが魔力感知を通じて分かる。

俺は慌てて、その場に立ちそちらの方向へと向かう。


森の奥地へと向かおうとするアリアの背中が見える。


「なに?」


先にアリアが話しかけてきた。


「こんな夜中にどこ行くんだよ」

「星を見たい気分なの。1人にして」

「単独行動なんて見つかったら怒られるんじゃないの」

「夜寝れなかったで済む問題でしょ」


そのまま1人で歩いていく。


俺は念の為、魔力感知の範囲を3キロに広げた。

再び、椅子へと腰掛け、警戒に戻る。


10分ほど経った頃だろうか、静寂に包まれていた森に、とてつもなく大きいサイレンが鳴り響く。


ヴーーーーーーーーーーー


班員の皆も飛び起き、慌てて天幕の外に出て来る。


「何!?」

「大丈夫、落ち着いて、すぐ指示が出るはず」


森から機械的な音が響く。


演習中止ーーー 演習中止ーーー!! 直ぐに近くのオースティン関係者の元は集合せよーー


どう言う事だ?と状況を理解できずにいたが、


ゾワッッッッッ


明らかな敵意と莫大な魔素をはるか後方から感じた。


「まじかよ」


先生方や軍の魔法使いは、この2日目以降は抑魔結晶を取り付けているため、あれほど巨大な魔素は纏う事はない。

それに……その魔素は上級魔獣の比じゃない、この間のレクイエムとだって……


俺は急いで、4人に、向かうべき方向を指示し、直ぐ進む様指示を出す。


「イブ君は!?」

「アリアを連れて直ぐ行くから先に脱出してくれ!」


と、言い、急いでアリアの元へと向かおうとする。

アリアのある場所の近くには、軍の魔法使いや教員は居ないのが魔力感知を通じてわかっている。


すると最悪な事態が起きる。

高速に動く、その魔力反応は、アリアの方向へと向かって行ったのだ。


俺は直ぐに、アレフ校長に渡された通信結晶を取り出し、アレフ校長を呼ぶ。


「イブどうした! 早く君も脱出をしろ! かなり強大な力を持った侵入者がラースの森に入ったんだ!」

「気付いてますよ。しかもそれがアリアの方へと向かってるんです!」

「なに!? 分かった、直ぐに教員に指示を出して保護をしてもらう」

「出したところで意味ありませんよ。侵入者の魔素は7つ星魔法使いレベルの化け物です! 俺が行くしかありません」

「バカなことを言うな!」

「俺とアリア以外の脱出を指示してください。他の教員達も軍の人たちも、強大な魔素がまた一つ増えたくらいしか思わないはずです」

「しかし……」

「もうアリアの元に到着しようとしてるんです! 指示を!」


アレフ校長は3秒ほど黙ったが、


「わかった、取り敢えずそちらは任せる。しかし、すぐに軍から7つ星魔法使いを派遣してもらう。そのものが到着次第、直ぐに脱出をしろ。いいな!?」

「分かりました。直ぐ向かいます」


俺は抑魔結晶を外し、アリアの元へと急ぐ。

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