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7つ星魔法使いの日常  作者: 四季
2章
20/30

ラースの森特別演習②

 [ラースの森]


 オースティン魔法学校所属の主な演習場として使用されている森。結界魔法や情報伝達結晶などが多く配置されているため、外部からの侵入を許したことは過去に一度も無い。

 水源地も多く、木には果実、林には山菜、更には魔獣も多く生息しており、食料には困らない。

 森に生息している魔獣は殆どが初級魔獣にも満たない。一部初級魔獣や、中級魔獣も生息しているが、定期的な掃討が行われているため、数は僅か。



 ――――――――――――――――――


 広場で今回の演習1日目の組となるクラス行動のため、俺たちアルバスは一ヶ所へと集まる。


 ダリア先生が


「それではアルバスの生徒は森へと入れ」


 その号令と共に俺たちは森の内部へと進んでいく。

 目視誤認の付加魔法が結界に貼られているため、外からは大きな森程度の認識だったが、中に入るとすごく綺麗な景色が広がってきた。

 目視できる範囲だけで考えたら、少魔獣もかなりの数生息してるっぽいな。


 俺たちのクラスの引率教師は、セルニョル先生だ。

 長い紫がかった髪をセンターで分けた爽やか青年で、妬ましいことに女性にモテそうな印象である。


 セルニョル先生は俺たちを、拠点となる地点まで連れていき


「それじゃあ皆さん。天幕を設営してしまいましょうか」


 と言った。

 それを聞いた俺たちは、男女に別れ天幕を展開していく。

 5日間みっちり練習した成果もあり、周りの生徒達も素早く行動をしている。


 チラッとセルニョル先生の方を向くと、流石は先生。1人用の天幕ではあるが、あっという間に設営を終えていた。


 1分もかからない時間で天幕を設営し終え、男子組のリーダーである ディエゴ が先生へと報告をする。

 女子達も設営を終えた様で、男女揃って次の指示を仰ぐ。


「優秀優秀!! それじゃ、初日は楽しみましょう。みんなで川にでもいきましょうか」


 わっっとあたりの生徒達が大盛り上がりをみせる(主に男子)


 俺たちの拠点の近くには大きな川があり、先生はその位置へと俺たちを引率をする。


 周りでは、


「やっぱり女子は水着だよな」

「あいつ絶対でかいぞ」


 など、不純なやり取りが聞こえる。全くけしからんな。俺も混ぜて欲しいもんだ。


 ごほんっ。そんな冗談は置いといて、みんな水着持ってきてるのかな?必要な道具に書いてなかったけど。

 え……書いてたっけ!?


 俺は慌ててミハに確認をとる。


「ミハ! 水着が必要なんて書いてたっけ?」

「え? なんか毎年、初日は川で泳げるから水着持っていった方がいいよって先輩に言われたらしくて」

「誰が??」

「特別訓練3日目の授業終わりにディエゴ君が言ってたよ?」


 3日目……

 そうだ!俺はアレフ校長から呼び出しがあったから直ぐ校長室へと向かったんだ。


「え……俺聞いてない」

「あれ!? でもディエゴ君が、イブ君今いないから後で同部屋の人が伝えてって……あ」



 ◇◇◇◇



 川から少し離れた岩場で体育座りをして皆んなの楽しそうな様子を眺める。

 まあ、忘れることは誰にでもあるしね。ミハは天然なところがあるから何も怒ってないよ。ほんとほんと……本当ですって………


 ていうか皆んな水着持ってきてるんだな。誰か1人くらい忘れてたらここで一緒に反省会を開けたというのに。


 とは言っても地の利はこちらにある!

 俺の座っている場所は岩場の中でも1番高いところにある。ここならクラス全体を見渡せるのだ。更に……視力強化を使えばこちらからの方が見やすい。

 ダリア先生も魔法は各人の判断と責任で使えって言ってたしね。はっはっは魔法はこう使うんだよ。


 俺は視力強化の魔法を使い、クラスメイト達を見る。

 すぐに目に映ったのがアリアだったので、肝心のボディチェックをするのだが……ものの見事にありませんな。5つ星魔法使い様……

 俺は寂しいアリアの胸を見ながら視線を顔へとずらすと。アリアが鬼の様な顔でこちらを睨んでいた。

 やべ。完全にバレてる。


 俺はすぐに視線をずらそうとするが、その瞬間。

 後ろからポンっと肩を叩かれた。

 びくっっとなり振り返ると、セルニョル先生がいた。

 え。バレてないよね……?

 俺は恐る恐る


「何か?……」


 と聞くと、セルニョル先生は俺の横に座って話し始める。


「残念でしたね。イブ君。水着を忘れてしまうなんて」

「はは、別にそこまで泳ぎたかった訳ではありませんでしたし」

「そうですか。」


 ん?それだけ?

 とか思ってたら


「イブ君。この間なぜ校長室に呼ばれていたんですか?」

「なぜって……編入用の資料に不備があったんですよ。それの書き直しで」

「そうですか、いやね、珍しいんですよ。アレフ校長はあまり生徒と話したりしない方だったので」

「へ、へぇ。そうなんですね」


 セルニョル先生は俺の目をじっと見つめ


「それがイブ君とは定期的に話をしているらしいですね」

「あっっと……編入生だからですかね」


 俺の目を見つめ続け、しばらくするとセルニョル先生はすくっと立ち上がり、他の生徒達に


「皆さんそろそろ戻りますよ」


 と声をかけ、俺の肩をポンっと叩いて


「さっ貴方も」


 俺も立ち上がり、セルニョル先生の後に続いて、岩場から離れる。


 俺の正体を知っているのはこの学園で 校長と副校長のみ。周りの先生達からも探られることもあるのだ。


 そうして、俺たちは川を離れ拠点へと戻った。


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