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7つ星魔法使いの日常  作者: 四季
1章
10/30

悪魔へのお誘い

 謹慎が解け、反省文を提出しにアレフ校長の元へ行き、軽く注意を受け終えた俺は急いで教室へと向かう。


 昨日のアリアの背中から感じた殺気は何だったのか。最悪の場合、魔法を使ってでも……


 アレフ校長の話が長引いたのもあるが、今日は作業時間ギリギリに教室へと着く。

 教室のドアを開け、すぐにアリアを探したが見当たらない。すると後ろから俺たちの担任であるシェリー先生が来ていた。


「イブ君! ちゃんと反省した?」


 と、いうシェリー先生の問いに答えることなく、直ぐに質問をする。


「アリアは!?」

「アリアなら体調不良で休むって言ってたけど…」

「あ、そうですか。ありがとうございます」


 くそ!やっぱりなんかあったのか?

 あのあと直ぐに動いておけば…

 とはいえ、寮内では先生や警備員はいないため、学校よりも魔法に対する警戒は強い。そりゃ万一喧嘩になった時に、相手の命を奪いかねない原因となる。昨日アリアが使ったような声真似魔法なんてのは、魔素の発生がほとんどない為、あれくらいはバレない。


「イブ君?大丈夫??」

「大丈夫です。戻ります」

「ホームルーム始めるよ」


 俺はそのまま席に戻り、再度考える。

 休み時間に彼女の自室へと行くことも考えたが、女子寮へ行くためには、男子寮よりももっと厳しい条件がある。

 アレフ校長に許可をもらうか?

 いや、そんなの断られるに決まっている。


 まずい。まずすぎる。


 自席で今後のことを必死に考えていると


「イブ君!」

「ん、あ!ごめんごめん。ちょっと考え事をしてて」

「ううん。ホームルーム終わったのにずっと動かないからさ、心配になって」


 隣の席のシャーロットに話しかけられても気付かないくらい集中してたみたいだ。

 シャーロットはクラスの中でも人気者で、よく周りから頼られているいい子だ。

 そうだ……


「シャーロット」

「ん?どうしたの?」

「今日、アリア体調不良でお休みらしいけど、昨日は元気そうだった?」

「うん? 話してないから分からないけど、体調悪そうって訳ではなかったと思う……」

「そっか。ありがとう」

「あ、でも」

「ん?」

「昨日授業が終わって、寮に帰るために歩いてたんだけど、アリアさん独り言を言いながら歩いてたと思う……帰り道に会ったことは何回もあるけど、独り言を聞いたのは多分初めてかな?」


 やっぱり何かはあったようだな。

 とはいえ、彼女が学校に来てない以上こちらから何かアクションを起こすにも起こし辛い。しかし、現状を放置しておくのも…


「そっか。ありがとうシャーロット!」

「いいえ〜」

 そういうとシャーロットは、座席を立ち廊下へと向かっていった。


 そのまま俺は普通に授業を受け、お昼ご飯を食べ、終業時間となった。


 色々考えてみたが、結論は見つからなかった。

 周りはまだ生徒たちが残っておりザワザワしていた。


 扉が開き、先ほど退出したはずのシェリー先生がやってきた。


「ごめーん! 女子生徒の誰かー。アリアに書類持っていってあげてくれないー?」


 というと、シャーロットが手を挙げた。

 シェリー先生はありがとうというと足早に教室から出ていった。


 ん、まてよ。これだ!


 慌ててシャーロットに声をかける。


「シャーロット!」

「え? イブ君どうしたの?」

「俺もアリアに伝えたいことあるから一緒に持っていってもらってもいい!?」

「うん。いいよ!」

「ありがとう」


 急いで紙に言葉を書いていく。


 今のアリアは、恐らく悪魔の依代として、呪いをかけられている状態だ。

 前にアイリスが言っていた 父親が悪魔となり母親を殺した じゃあその悪魔は軍が殺したのか?俺でも殺意を向けられるまでは気付かないほど自分を隠すのが上手い悪魔だ。死んだように見せかけて待機に紛れたのではないか。


 依代になるのにもいくつか条件はある。

 一定の魔素と魔力。

 あとはその悪魔との適合性だ。

 じゃないと体が耐えきれないからね。

 おそらくアリアはその水準を満たしているのだろう。

 とはいえ、アリアの身体を直接奪おうにも、今のような呪いではなく、実態をあらわにする必要があるのだ。遠隔で簡単にできるような儀式ではない。


 だからこそ、アリアの家に行き父親と母親を殺した。父親の方に記憶収集の魔法をかけ、そのまま魔力をわずかに残すことによって父親が悪魔に身体を憑依され母親を殺したと思わせるためのミスリードのためだろう。

 軍からしても、悪魔との適合に耐えきれず、死亡と思わせるためにね。


 オースティンを一度出たアリアにその情報が伝わり、アリアの精神に隙間を作った瞬間に自分の呪いをねじ込む。


 昨日アリアが途中で口パクのようになってしまったのは口封じの呪いが発動したのだろう。他の人に自身の存在を語らせないための。

今思うと、口の動きは


 おとうさん


 だった。彼女の中にいる悪魔は父親を扮してるのだろう。



 昨日の殺意は余計な真似をするなと言う牽制のつもりか?悪いけどお前からすれば、うざいほど余計な真似をしてやる。


 俺からアリアに伝える言葉は


 君の中にいる血気盛んなお友達に会いたいから、今日の8時にでも中庭に来てくれない?俺に任せて


 だ。外出門限は22時まで。

 中庭で待ち合わせて外に行く。


 シャーロットに「宜しくー」 といい。

 俺も寮へと戻る。

 何かと忙しい夜になりそうだ。

次回アリア視点のお話を書く予定です

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