終わりと始まり
――戦争が終われば、明日のことを考えられるようになる
――西暦1402年 ヘガドル国 首都ベリーサ
26年にも渡る戦争の終わりを祝うパレード、その戦争に参加した自分は賞賛の嵐を聞き流し祖母の言葉を思い出していた。
「明日……」
英雄 と呼ばれこのパーティの主役と称されるにはいささかパッとしない体躯である自分が小さく呟いても、周りの兵士達の呵呵大笑にすぐに掻き消されてしまい、誰の耳にも届くことはない。
自分は6歳の頃に圧倒的な魔法力を買われ、すぐに軍事用魔法使いとして雇われた。6歳から終戦までの7年間で、年相応の遊び 思考等とっくに捨ててしまっていた。第一そんなもの持っていたらこのパレードに自分が参加をしていることはなかっただろう。
――明日やりたいこと……
毎日命じられた事だけをやってきた自分にとっては無理難題もいいところだ。
やりたい事を探すにしても、自分に残されているのは、圧倒的な魔法力と魔法使いを殺す知識それと……
「無比」とかいう欲しくもない二つ名だけ。
普通になるのに、必要の無いものばかりだ。
「そうだ旅に出よう」
散々迷った挙句、これが自分の精一杯だった。
この長ったらしいパレードが終わり、次第すぐにでも……
無論そんな事は容易い、なんせ自分は世界1の魔法使いなのだから。