1-2 見返りあるなら話は別
「この世界は剣と魔法のいわゆる『ファンタジー』の世界です」
ミカエルのその一言は、まあ予想通りだと思った。
問題は次の一言だ。
「貴女には他の仲間とこの世界を救ってもらいます」
うん。なんで?
「そこを詳しく聞かせてくれないか?その、どうして世界を救わなくちゃいけないのかどか」
「そこは、今は言えません」
「どうしてだよ?」
「我らの神ヤハウェ様が、理由を簡単に明かしてはいけないと仰っているからです」
誰だよヤハウェ様。
「因みに、俺は絶対にその世界を救わなきゃいけないのか?拒否権とかはないのか?」
「一応、拒否権はありますけれど…」
「よし、俺は世界なんて救わない」
即答した。
「な、なんで!?」
ミカエルは驚いた顔で叫んだ。
なんなら一瞬こっちもビビった。
「だって、めんどいじゃん。こちとら社畜だぞ世界救う暇あれば仕事して少しでも金稼いでるわ」
そう言って、俺は背を向けて歩こうとした。
出口無いけど、まあ雰囲気作りみたいな感じで。
その瞬間、ミカエルは言った。
「まって、行かないで!」
俺はそれに対抗する。
「いーや、行くね。大体、金どか何も見返りなく人助けとかやってらんねーし」
「ほう…?では見返りがあれば救ってくれると?」
「ま、そういうことだ」
そう言うと、ミカエルは胸を張って宣言した。
「わかりました、用意しましょう。金でもなんでも言ってください、世界を救ってくれれば、ちゃんとそれらを手配して見せましょう!」
その発言で少し俺の耳がピクリ、と動く。
「……言ったな?」
「はい!女に二言は有りません!」
それを言うなら男なんだけどなあ…
ま、そんなどうでもいい事は置いといて、金をくれるなら話は別。それに、金以外もお願いすればくれそうだし。
「わかった。その話、乗ろう」
ミカエルの顔が急に明るくなった。
「その言葉を待っていました!では、早速下準備に向かいましょう!」
「下準備?」
「そうです。貴女ははこれから魔物と戦わなければいけませんのに、生身のままでどう戦うのですか?」
…確かに、なんか武器どか持たされるのか?
「…と、言いますと?」
ミカエルは笑顔で言う。
「魔物に対し有利な職業、つまりは『ジョブ』を選択してもらいます!」