表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/26

第四章 復活と土蜘蛛と ー中編ー

 季武は突然土煙に包まれた。

 咄嗟(とっさ)に煙の外に出ようと背後へ跳んだ。

 が、何かが足に巻き付いて煙の中に引き戻された。

 季武は地面に倒れたまま、ずるずると煙の中に引き()り込まれていく。

「くっ!」

 太刀を抜くと足に向かって刀を振った。

 だが煙が濃すぎて腰から下が見えず巻き付いているものは斬れなかった。


 不意に目の前に何かが突き出された。

 既所(すんでのところ)で身を(よじ)って(かわ)した。

 顔の真横に突き立った何かは()ぐに煙の中に消え、再度季武目掛けて飛び出してきた。

 (それ)(きわ)どい所で()ける。

 胴着が裂けて破れた。

 季武は太刀を何かが飛び出してきた方へ向かって投げ付けた。

 引き()られるのは止まった。


 だが足に巻き付いたものは緩まず膝から下が拘束されたままだった。

 行成(いきな)り地中から殺気を感じて咄嗟(とっさ)に身体を(ひね)った。

 地面から突き出した何かは即座に地中に消えた。

 季武は地面から()属性の槍を取り出すと勢いを付けて身体を反転させながら地面に深く突き立てた。


「ーーーーー!」

 手応えと共に叫び声が聞こえた。

 急いで半身を起こすと足に巻き付いているものを脇差で斬った。


 ()ぐに立ち上がると上に跳んだ。

 数メートルの高さから地上を見下ろしたが煙以外は見えなかった。

 (それ)でも背負っていた弓を手に取って煙に向け立て続けに矢を放った。

 一瞬、何かの気配がして消えた。

 着地の瞬間を狙われない(よう)、街灯の上に降り立つ。

 弓を持ったまま身構える。


 煙は徐々に薄くなって消えた。

 敵の姿も気配も無かった。


「季武! 無事か!」

 スマホから金時の声が聞こえた。

「取り()がした」

仕損(しそん)じた? そんな大物だったのか?」

「歩きながら話す。全員このまま都内を見回ってから帰れ」

 季武は街灯の上から辺りを見回してみたが異変は見当たらなかった。

 街灯から飛び降りると周囲を警戒しつつ歩き始めた。


 息を殺して様子を窺っていた()ぐれ者は季武が()なくなると身体の力を抜いた。

 季武に刺された脇腹が痛む。

 異界の者は怪我(ケガ)をしない。

 今も脇腹から血は出ていない。

 だが()の前も痛みが消えるまで時間が掛かった。


 やはり一人では無理か……。


 ()の小学生。

 異界の者が人間として()まれてきているのだとしたら(それ)は上の者でも容易に核を砕けないほどの力の持ち主だろうと覚醒するよう仕向けてみた。

 (それ)が茨木童子だったと分かった時は自分が手を下すまでもなく彼奴(あいつ)が四天王を始末してくれるかもしれないと期待した。

 (しか)し鬼の核を砕いて加勢を送って()ったのに頼光達にあっさり仕留(しと)められそうに()った。

 瀕死の状態で出ていっても負けるのは目に見えていたから助けてやったが茨木童子も回復に時間が掛かるだろう。

 全快したあと手を組むにしても圧倒的に戦力が足りない。

 仲間を集めた方が()(よう)だ。

 ()ぐれ者はそっと闇に消えた。


 翌日の昼休み、

「今日は民話研究会あるんだろ? 終わったら一緒に帰らないか?」

 季武が六花を誘った。

「民話研究会は無理に出席しなくて()いんだから休むよ」

「放課後、居残りなんだ」

「え! まさか日本史のテスト?」

 居残りを命じられるとしたらテストの点数が悪かったからだろうが、午前中に解答用紙が返ってきたのは日本史だけだ。

「点数悪かったの?」

 六花が信じられないという表情で季武を見た。

 季武は有史以前から人間界(こちら)で暮らしてきたのだ。

 授業で出てくる事は全て知っていると思っていた。

「平安時代だの鎌倉時代だのって時代区分が出来たのは明治からだし、鎌倉幕府成立も前は一一九二年だったし」

「前は?」

 六花も一一九二年と習っている。

「一時期一一八五年だった」

 何時(いつ)から幕府が始まったかに付いては研究者達の間でも諸説ある状態だから教科書の記述も何度か変わっているのだ。

「そっか、詳しい人の方が(かえ)って混乱するんだ」

 六花は教わった事を覚えてるだけだから(それ)なりの点数が取れているが、歴史に詳しいと教科書の内容は突っ込み所が多いのだろう。

「五馬ちゃんもそれで歴史が苦手なのかな」

「え?」

 別に歴史に詳しい訳ではなく、中央とは離れた場所に住んでた一介(いっかい)の村人だったから良く知らないだけだと説明しようとした季武は、六花の言葉に口を(つぐ)んだ。

「五馬ちゃんも歴史に詳しいのにテストでは()い点取れないんだって」

「……お前の友達のフルネーム、(なん)だった?」

「五馬ちゃん? 八田五馬だけど、どうして?」

「聞き覚えが有る気がするんだ」

「記紀は読んだ?」

「ああ」

「記紀に八田皇女(やたのひめみこ)とか『八田』って名前の人が出てくるよ。私も民話研究会で聞くまで忘れてたけど、読み返してみたらどっちにも『八田』って名前の女の人が出てたよ」

 イナは記紀を誰でも読める時代に()ってからは毎回読んでるから季武も話を合わせる(ため)に読んだ事が有る。

 イナは毎回記紀の内容に付いて聞いてくる。

 季武は実際の神の事など知らないから記紀の内容の真偽も分からないが、そう答えるとイナは(それ)で納得する。


 (それ)で聞き覚えが有る(よう)な気がしたのか?


 季武はイナと話したいだけで記紀に興味はないから内容は(ほとん)ど覚えてない。

 イナも記紀を読むものの(それ)ほど興味を()かれないのか毎回一読しただけで終わり、季武が知らないと答えると(それ)以上は話題にしない。

 六花も何時(いつ)も通り一回読んだだけで忘れていたから読み返したのだろう。

(それ)と今日は遅くなるから無理だが早く帰れる時はお前を呼べって言われてるんだ」

「私はいつでも()いよ」

()ぐに作れるものが()いんだが、何か有るか?」

「急いで食べたいって事? まさか、ご飯食べてない訳じゃないよね!?」

「いや、お前の帰りが遅くならない(よう)に時間を掛けずに作れる料理(もの)って意味だ」

「そう言うのは簡単な料理だから色々あるけど何が()いの? あ、材料見て決めれば()いのかな」

「いや、帰る途中に店に寄って買った方が()いだろ」

「それなら食べたいもの()げてくれれば私に出来るもの作るよ」

 そんな話をしている内に予鈴が鳴った。


 マンションのリビングに入った綱は、

「季武は?」

 貞光と金時しか()ないのを見て訊ねた。

「居残りだって」

「なぁ、季武(あいつ)ヤバくねぇか?」

 貞光が言った。

(なん)か有ったのか?」

()(めぇ)、六花ちゃんの居場所、GPSで調べてた」

「げ、(それ)六花ちゃんに知られたら食事作って(もら)えなくなるじゃん」

(それ)は問題ねぇよ。六花ちゃん、知ってっけど今まで通りだし」

六花(イナ)ちゃん、意外と神経太いとこ有るよな。()の前のビル崩壊見ても頼光様(あのひと)への態度、変わってないし」

「昔からそうじゃん。頼光様(あのひと)が何しても気にしないし、季武には甘いし」

「甘いのは季武に対してだけじゃないけどな。憧れの対象に()ったのは酒呑童子討伐後からだけど、()の前から俺達も色々世話に()ってたし」

「にしても季武はちょっと甘え過ぎだよな」

 金時の言葉に綱と貞光が同意する(よう)に頷いた。


 ()の晩、四天王の任地から遠く離れた場所で、ある討伐員が()ぐれ者の隠れ家を(うかが)っていた。

「まさか、こんなに沢山()たとはな。仲間に知らせないと」

 討伐員が静かに()の場を離れ(よう)とした時、()ぐれ者の一人が目の前に立ち(ふさ)がった。

「知らせられちゃ困るね」

 ()ぐれ者の言葉に討伐員は無言で刀を抜いた。

 討伐員が斬り掛かる。

 ()ぐれ者は土蜘蛛の姿になると刀を()けつつ脚を振り下ろした。

 討伐員が刀を斬り上げた。

 土蜘蛛の脚の一本が切り落とされた。

「ーーーーー!」

 土蜘蛛が叫び声を上げた。

 討伐員が近くの樹から(もく)属性の槍を取り出して一気に間を詰めた。

 土蜘蛛に避ける()は無かった。

 槍を突き立てられ(よう)とした時、何かがぶつかって討伐員が倒れた。

 土蜘蛛の糸だった。

 討伐員は糸で地面に貼り付いて動けない。

 藻掻(もが)いている討伐員に土蜘蛛の脚が突き立った。

 討伐員は核に()って異界へ戻った。


 討伐員に糸を飛ばしたのは仲間ではない。

 油断なくを辺りを見回していると知らない土蜘蛛が現れた。

 見知らぬ土蜘蛛は敵意が無い事を示す(よう)に少女の姿に()った。

 土蜘蛛も警戒したまま中年女性の姿に変化(へんげ)した。

「助けてくれた事には礼を言うよ」

()ぐに上の者から今の(ヤツ)の上司に連絡が行く。急いで移動した方が()い」

 中年女性は(わず)かに躊躇(ためら)った後、少女を連れて隠れ家へ向かった。


 其処(そこ)は廃工場だった。

 中年女性が入っていって皆を呼ぶと十人ほどの男女が出てきた。

 人間の姿をしているが全員土蜘蛛だ。

「メナ、其奴(そいつ)は?」

「討伐員に襲われた所を助けてくれた」

 メナと呼ばれた中年女性は少女を振り返った。

「サチ」

 少女はそう名乗ると中年女性に言ったのと同じ事を繰り返した。

「でも、何処(どこ)に……」

()ずは此処(ここ)から離れた方が()い。仲間は()の討伐員が連絡を絶った()の辺を最初に探す(はず)だ」

 場所が何処(どこ)であれ討伐員が一人という事は有り得ない。

 同じ地区の担当者が他にも()(はず)だ。

()いてきて」

 サチはそう言って隠れ家から出ていった。

 其処(そこ)()た土蜘蛛達は視線を交わした後、サチの跡を追った。


 サチは隠れ家から数十キロほど離れた山の中で立ち止まった。

「こんな(とこ)に連れてきて如何(どう)する気だ」

 土蜘蛛の一人が警戒心も(あら)わに訊ねた。

此処(ここ)なら()ぐには見付からない」

(それ)で?」

 メナが訊ねた。

「~~~」

 サチがある名前を言った。

 頼光の異界での呼び名だ。

 一同の間に緊張が走った。

 討伐員の中でも特に悪名高(あくみょうだか)いのが頼光だった。

 ()ぐれ者で()った事の有る者は()ない。

 頼光と顔を合わせて生き延びた者は()ないからだ。

「……あたしらが言うのも(なん)だけど……化物だろ」

「特別な時だけ此方(こっち)に来るって聞いてる」

 土蜘蛛達が口々に言った。

 だが(どれ)も噂だ。

「仲間が大勢殺された。彼奴(あいつ)に一矢報いたい。だから手を貸してくれる仲間を捜してる」

異界(むこう)には彼奴(あいつ)みたいな化物が大勢()るんだ。乗り込んだ所で何も出来ずに返り討ちにされるだけだろ」

異界(むこう)に行く気は無いし頼光(あいつ)に敵わないのも分かってる。でも手下なら?」

「え?」

「北山の仲間を殺した連中を見付けた。(せめ)て手下だけでも倒したい」

「あたしらに恩を売ったのは()の為かい? 化物退治に手を貸せって?」

「恩に着せる()もりは無い。()る気の無い者は足手纏(あしでまと)いにしか()らない。嫌なら他を当たる」

 サチの言葉に土蜘蛛達は再び視線を交わした。

 (おそ)らく彼らは長年一緒に行動しているのだろう。

 だから言葉にしなくても意志の疎通(そつう)(はか)れるのだ。

 サチにも(かつ)てはそう言う仲間が大勢()た。


 彼奴(あいつ)人間界(こちら)源頼光(みなもとのよりみつ)と名乗っている()の化物が()って来るまでは……。


()る!」

 若い女性が言った。

「ミツ、本気なのかい?」

「サチはハシを殺した討伐員を倒してくれた。ハシの(かたき)()ってくれた。だから手を貸す」

 ミツの言葉に土蜘蛛達は顔を見合わせた。

 ミツを含め土蜘蛛達は離れた場所で(しばら)く話し合っていた。

 (それ)からメナと数人の土蜘蛛が()ってきた。

此奴(こいつら)は、あんたに協力するそうだ。あたしらは少し様子を見させて(もら)うよ」

「そう。じゃ、行こう」

 サチが歩き出した。


 土曜日、六花は四天王のマンションに料理を作りに来ていた。

 放課後だと短時間で料理出来るものしか作れないので、ビーフシチューの(よう)下拵(したごしら)えだけでも時間が掛かるものは休みの日に作る事にした。

 四人にブランチを作って出した後、夕食の支度を始めた。

「六花ちゃん、明日(あした)は? 用ある?」

「特に無いですよ」

「なら明日(あした)も……」

「図々し過ぎだろ」

 季武が綱を睨み付けた。

「私は()いよ」

「甘い顔すると()の先ずっと(メシ)作らされ続けるぞ」

「今までもそうだったんでしょ」

「貞光や金時の妻が作ってくれた時も有った」

「綱さんの奥さんは?」

 声が分からなくて妻が怒ったと言っていたから()(はず)だ。

「綱の妻は三人とも(あんま)り……」

「三人!?」

「綱は決まった相手が三人()るんだ」

 季武が金時の説明を補足した。

「決まったって言えんのかよ」

 貞光の言葉に六花が首を(かし)げた。

「綱は他の女にも手を出してるからね」

 金時が言った。


 そう言えば何度も修羅場に巻き込まれたって言ってたっけ。


「エリはそろそろ十代後半くらいの(はず)なんだけどなぁ……」

「え、人間なんですか?」

「そうだよ」

 綱が答えた。

季武(おめぇ)話してねぇのかよ」

 貞光が季武を睨んだ。

「異界の者同士は恋愛感情って持たないんだよね。繁殖行為が必要ないからそう言う感情も無いんだよ」

「同じ人間と長く一緒に()っと似たような感情が芽生える(こた)ぁ有っけどな」

 金時と貞光が説明してくれたが(かえ)って分からなくなった。

 同じ人間と長く一緒に()る事で恋愛感情が芽生えるのなら何故(なぜ)()だ出会ってない人にそう言う感情を持っているのだろうか。

「イナちゃんもそうだけど、人間って生まれ変わっても中身は(あんま)り変わらないんだよね。だから決まった相手を想い続けられるみたいだよ」

 金時が六花の疑問を見抜いたらしい。

 と言うか恐らく毎回同じ説明をしてくれているのだろう。

「綱は決まった相手っつって……」

(それ)もう()いって!」

 綱が貞光を遮った。

 六花(イナ)が昔から変わってないらしいのは季武を始めとした四天王の(これ)までの話から(なん)となく分かった。

 性格がほぼ変わらないなら見た目以外は好みのタイプのままだろう。

「でも、私、前世のこと覚えてませんけど、綱さんの奥さん達は覚えてるんですか?」

「覚えてないよ」

「じゃあ、どうやって捜すんですか?」

(あと)が有るんだ。六花の首の後ろに有る(よう)なのが」

「生まれ変わると顔も名前も変わっちゃうし、向こうは此方(こっち)を覚えてないから分かり易い(よう)に。(それ)に出会う前に鬼とかに襲われたりしない(よう)にする為にも」

 綱が言った。

 そう言えば季武が(アザ)前世の六花(イナ)が鬼を怖がっていたから付けたと言っていた。

 今世(こんせ)で六花と季武が再会した時の(よう)な大物には()かない(よう)だが。

「全然分かり(やす)くないだろ。着物で隠れる(よう)(とこ)に付けるから捜すのが大変なんだ」

「でもイナちゃん、江戸の頃とか結構からかわれてたじゃん」

 六花は訊ねる(よう)に季武を見た。

「女性が髪を結う習慣が有った頃の話だ。髪を上げるとお前の痕は見えるから」

 ()の辺りの生まれで見鬼で(うなじ)(あざ)が有るというのは分かり(やす)い目印だったそうだ。

「何度か場所を変えようかって言ったんだが、(これ)で早く見付けて(もら)えるならって言うから……」

「イナちゃん性格が可愛いよな」

 金時が羨ましそうに言った。

「キツい女ばっか選ぶからじゃん」

「ミホちゃん、(すっげ)ぇキツかったよな」

「お前、良くミホちゃんと喧嘩して家追い出されて季武んちに転がり込んでたもんな」

「お前らが入れてくれねーからだろ! 追い返さないの季武だけだったし」

「イナが可哀想だって言うから仕方なくだ」

(それ)でイナちゃんがミホちゃんに取成(とりな)しに行ってたんだよな」

「金時が()ると二人きりに()れないからな」


 二人きり……。

 初めて会った時は夫婦になったって言ってたけど、もしかしてそのとき以外にも恋人になった事があったって事かな。

 いつもわざわざ捜してくれてるみたいな感じだけど。

 それともイナって言ってるから最初の時の話かな?


流石(さすが)に三日連続で泣き付いた時は季武にも追い返されたけどな」

()んとき俺んちに来たんだよな。金時に頼まれて仕方なくキヨが取成(とりな)しに行ったら何故(なぜ)かミホちゃんとキヨが意気投合して俺まで家追い出された」

 綱が言った。


 季武君に追い返されて、綱さん()から二人で追い出されたとしたら……。


「貞光さんの家に行ったんですか?」

「いや、金時はミホちゃんに謝って家に入れて(もら)ったけど綱は他の女ん()に行った」

 貞光が答えた。

「そう、(それ)で更にキヨちゃん怒らせたんだよね」

丁度(ちょうど)(ふみ)貰ってたから顔を見に行っただけだよ。次の日帰ったし」

「良く他の女の家に泊まった足で帰れるな」

 季武は視線も声音(こわね)も冷ややかだった。

 激怒したキヨは綱を家に入れなかった。

()したら(また)他の女の家に行ってさぁ」

「謝れよ、そう言う時は」

「結局どうしたんですか?」

 何時(いつ)まで()っても家に入れて(もら)えないのは何故(なぜ)かと金時に訊ねて「他の女の家を渡り歩いてたら当然だろ」と言われ慌てて頼光の(やしき)に転がり込んだ(他の三人には断られた為)。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ