詩ん 新世界へ
(皆が救われる世界があるなら…)
道を右から左へ歩いていく人達
ただ 日々を何気なく過ごしている
それらすべての人達が救われたら
果たして世界は綺麗になるのでしょうか
――少女が祈る
(この世界が救われますように)
この薄汚れた世界で生きていかなければならない
誰かを切り捨てて 何かを忘れながら
道端に転がっている誰かに 視線を向ける余裕すらなくて
(みんなが救われる世界がどこかにあるというのなら)
(今すぐ その世界に行きたい)
(私だけじゃなくて 皆で行きたい)
――捨てられるばかりの世界で
――失われるばかりの世界で
(果たしてここに生き 残る価値はどこにあるのだろう)
「ストーリー」
彼女の命はもうすぐ尽きるだろう。
けれど、道端に身を横たえた少女に、視線を向ける者はいない。
一人の少女が救われない、残酷な世界。
彼女には、そこにしがみつく理由がない。