第7話 あさの少年は朝食を採りにいく
サブタイトルの付け方が苦しくなってきた今日この頃。
翌朝。
日の出とともに起きた僕は1階に降りて顔を洗うと台所に顔を出した。
「おはようございます」
「おや、おはよう。早いね」
先に起きていた女将さんと挨拶を交わす。
ちらっと女将さんの足元を見れば、特に違和感なく歩けているように見える。
「足の調子はどうですか?」
「ああ。お前さんのお陰ですっかり良くなったよ。
むしろ怪我をするより元気なくらいさ」
「それは良かった。でも病み上がりな事に変わりは無いですから。
もう何日かは走ったり重いものを運んだりするのは控えてください。
僕が居る時で良ければお手伝いしますから」
「ありがとうよ」
そうお礼を言ってくれる女将さんの後ろがちらっと目に入る。
テーブルの上にはパンと牛乳と卵。多分朝食の準備だろう。
ふむ……。
「あの、女将さん。まだ皆が起きてくるまでに時間ありますか?」
「ん?そうさね。一番早いレグンでもまだ1時間は起きてこないはずさ」
「それなら、僕。ひとっ走りして野菜を採ってきますよ。それで朝食にサラダを追加しましょう」
「ああ、それは良いね。昨日の炒め物も美味しかったし、頼もうかね」
「はい、じゃあ行ってきます」
台所を出た僕は自分の部屋に戻って荷物を取ると、そのまま宿を飛び出した。
日の出直後の街は、朝日が道に連なる家の壁を照らして綺麗だった。村だとこんなに家が並ぶことはないからね。
ただ、村と違って通りにはほとんど人が居ない。
「街の人はみんなお寝坊さんなのかな?」
そんな疑問を抱きつつ、昨日通ってきた街の外へと通じる門へと向かう。
門は……良かった、開いてた。
門にたどり着くと昨日と同じように衛兵の人が4人警備に当たっていた。
「おはようございます」
「ん?おお。お前さんは昨日の。無事に冒険者にはなれたのか?」
そう応えてくれたのは昨日対応してくれた、えっと、そうだガルダさんだ。
優しそうに聞いてくれたガルダさんに対し、僕は首を横に振った。
「いえ、年齢的に無理だって言われました。
その代わり、冒険者見習いにはしてもらえました。ほら」
胸元から冒険者見習いの証の木札を取り出して見せる。
それを見たガルダさんは大きく頷くと僕の頭に手をやってガシガシと撫でた。
「最初はそんなもんだ。
それに初日からこんな朝早くに出るなんて働き者じゃねえか。
で、何の依頼を受けてきたんだ?」
「いたた。依頼はまだ受けてないんです。
宿の朝食用に野草を取りに行くだけなんです。
じゃあ行ってきます!」
ガルダさんのガシガシ攻撃から逃れて街の外に走る。
と言っても、今朝は時間もそんなに無いし出来るだけ近場で済ませよう。
さっと森に入って辺りを見回せば……あったあった。
そこかしこに手付かずの食用に適した薬草が生えている。
やっぱり誰も採りに来てないっぽいな。
念のため近くの魔物の気配も確認して、おっ。
「……っ!」
よし、ウサギ1匹確保。
他には近くには居ないか。
じゃあ、血抜きをしながら手早く採集を済ませて帰ろう。
そうして30分程森の中を歩けば、今朝の分だけじゃなくて昨夜出した分まで採れてしまった。