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異世界では経験値が必要です。  作者: きうろ
第一章 -幼少ー
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子守唄から始まる魔法習得

 (ミーリ)の腕の中、子守唄のような鼻歌が眠気を誘う。

 この体はすぐに睡魔に誘われるので、とても不便だ。


 しかし、全く泣かない俺を家族はどう思っているのだろう。

 困ったような顔を見たことがないので俺はいい子で居られているのだろうとは思うが。


 ミーリは28歳と結構若い。俺と同い年だから若いという事にしておく。てか若いよね?

 顔は美人系で、声もとても綺麗だ。俺とロイゼは母親の髪が遺伝したのだろう。(グエン)とは2歳ほど離れている。グエンの方が年下なのに、グエンに対して笑顔を絶やさずペコペコと腰を低くして接している姿が印象的だ。性格なのか、亭主関白なのかはまだ言葉をあまり理解していない俺には分からない。

 たまにミーリが本を読み聞かせてくれる。

 ソファーに座りながら俺を膝に乗せ、本を見えるように腕を廻してくれる。その時に胸が頭に当たるのだが、ほぼ毎日見ているので全くムラムラしない。で、本の読み聞かせしてくれる時が俺の勉強の時間だ。

 何を言っているのか分からないが、鑑定が日本語表示なのを利用してタイトルや言葉の意味を理解していく。ミーリが読んでいるのを邪魔して、文字を指でなぞったりもした。そうして邪魔していると、決まってミーリが「ふふっ」と笑うのだが、なぞった箇所を見て、何度も同じ言葉を繰り返していた。読み方を教えてくれているのだろう。たまに言葉を繰り返したあとに長く喋っている時はその言葉の意味を説明してくれているのだと思う。とても良い母親にめぐり会えた。ミーリの顔を見て「ありがとう」と言葉にならない言葉で感謝を伝える。

 今日は勉強は出来ないみたいだが。


 ミーリの子守唄がとまる。

 なにかあったのか?と周囲を見ると、部屋の扉からロイゼが顔を覗かせていた。

 ミーリとロイゼが少し話をしたあと、ミーリは俺をベットに戻し俺の額にキスをして部屋を出て行った。

 ロイゼがミーリを見送ると、ゆっくりと俺のベットへ近づいてくる。ロイゼは上から俺を覗きこみ、周囲を確認したあと、ぺチンっと1回頬を引っ叩いた。他の人からみたら、これは立派な暴力、虐待なのだろう。俺もそう()()()()()

 だが、今は違う。

 ロイゼは引っ叩いた手を俺の顔から30cmほど離し(ベットの柵の高さ的にその位置が楽なのだろう)、風魔法を発動させた。そう、ロイゼ師匠による魔法の授業の始まりの合図だ。


 ロイゼは最近魔法を発動する時妙な動きをする。もちろん、顔を叩くわけではない。

 手はそのままの位置で固定しているのだが、目を瞑り口をきゅっと萎み頭を左右に振り、その動きを少しずつ小さくしていき、止まったと同時にパッと目を開けながら魔法を発動する。[魔法版いないいないバァ]と俺は名づけたが、初め見たときは、こいつ頭イッてんじゃねえのかと本気で心配した。

 あまりにそんな動きばかりしているので、呆れて相手にもしていなかったのだが、最近ではなにか意味があるのでは?と思い真剣に見ていた。


 今日は少し動きが変わっていた。というより、付け加えたようだ。

 いつもは動かす事なく空いていた左手の人差し指を、振っている頭に向かってつついている。そして振れが止まると同時に指を止め、パッと目を開いて火魔法を発動させた。


 開いた口が塞がらなかった。


 俺の頭はこいつ(ロイゼ)と同レベルなのか、と一瞬残念な気持ちになったが、先ほどロイゼに教えてもらった恩を返さなくてはいけない。

 俺はロイゼに右手を向けて、ニヤッと笑い、バケツ一杯分ほどの水を被せた。


 そう、()()()で。




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