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異世界では経験値が必要です。  作者: きうろ
第0章 -女神?ー
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スキル選び、転生へ



    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



『たいていの事は時間が経てば笑い話になるとか…そんな無責任な事言えるのは何も経験した事ない奴だけだ!!』 Y・S




    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



 

『おお、田中よ。死んでいるのに倒れるとは何事じゃ。』


 頭のなかで変な爺さんが哀れむような目で見ている。

 おそらく女神の仕業だろう。しかし、死んでいるのに倒れるってあるんだな。

 死んで初めて知った。


「目が覚めましたか?」


 女神が頭の中に居た爺さんと同じ目で見ている。

 体を起こし、ふらふらしながら椅子へと向かう。

 俺が座って数秒経ったあと、女神が決意したように口を開ける。


「田中さん。一応、今の28歳からスタートすることは出来ます。ですが、浄化が不十分なため、レベルもステータスも今のままスタートです。伸び代に関しても、この世界の住人のようにはいかないでしょう。それでも良ければいたしますが、どうでしょう?」


 少し考えた後、気になることを聞いてみた。


「聞きたいんだが、さっきから言ってる浄化ってなんなの?しないといけないの?」


 女神がしまったっという顔をしていた。

 説明し忘れていたのだろう。


「すみませんでした。説明します。 浄化と言うのは、魂をまっさらにすることを言います。田中さんは地球の人間です。この世界とは異なる、いわば異星人なのです。この世界にはこの世界の法則があり、地球には地球の法則があります。」


 女神がどこからか真っ白なスーパーボールのようなものと、星がたくさん付いた黒いスーパーボールを取り出した。


「白いのがこの世界の魂とします。黒いのが地球の、田中さんの魂だとします。この世界の魂は白くなくてはいけません。黒い魂を持つ田中さんがこの世界に来たとしても、白くはなりません。この世界とは相容れない存在なのです。それが、ステータスに影響を及ぼしている状態です。無理やり白く見せることはできますが、魂の表面だけです。中身までは白く染まれません。ここまではいいですか?」

「なんとなく…分かるような分からないような…。」


 女神が頷く。

 なんとなくでも分かればいいのだろう。


「そこで、私が提案しているのは、この黒いボールについてある星。田中さんの記憶や感情、これらを白いボールに移す、というものです。」


 そう言いながら器用に黒いボールから星をはがし、ペタペタと白いボールに付けていく。


「真っ白いボールはすでに浄化された魂ってこと?」

「ですです!」

「つまり俺が浄化されるんじゃなくて、浄化された魂に俺と言う意思を貼り付けるってことか。」

「そういうことです!!」


 と、女神は親指を立ててサムズアップするが、スーパーボールを落としてしまいあたふたとしている。

 それを無視して腕を組みながら静かに女神に言葉を放つ。


「俺がなんで赤ちゃんになるのが嫌なのか、分からないんだろ。」


 スーパーボールを追いかけていた女神がピタッととまり、こちらを見てくる。


「俺はな、赤ちゃんが嫌いなんだ。」

「ど、どうしてですか?あんなに可愛いのに…。」


 驚いた顔でこちらを見てくる。よほど不思議なのだろう。

 ならば答えてやろう、その理由を。


「赤ちゃんはな…うるさいんだ。よく泣くんだ。それにな、おしっこやうんてぃーを垂れ流すんだ。」


 あれは忘れもしない小学生の頃の思い出。

 産まれて間もない従兄弟を見に行こうと叔父の家に遊びに行った日。


「赤ちゃんはな、人の顔におしっこをかけながら泣くんだ!!こっちが泣きたい!!家族は笑っている!!なぜだ!!わかるか女神!!あれは、純粋な、悪の化身だ!!」

「いや、あんたが赤ちゃんになるんだからかける側でしょ。」







「で、ジョブはいいとして、次はスキルなんだけどさ。」

「するっとスルーしましたね。 ではこの件は片付いたと言うことで…。そうですね、なにか欲しいスキルありますか?」


 女神はほんと優しいんだなぁと、心から思った。


「鑑定は欲しい。あと、どんなのがあるか分からないから例を挙げてくれると助かる。」

「そうですねぇ。HP自動回復とかどうです?MPは少しずつですが、元々自動で回復するものなので、そういったスキルはありませんが…。」

「いいねそれ!使用するとき何かしないといけないの?」

「いえ、これはパッシブみたいな感じで、常にON状態です。自動ですから。」


 最高じゃないか!と心の中で叫び、ニヤッと笑いながら頷いた。

 女神は察したようで、これも入れてくれるらしい。

 あとは色々話し合い、結果全部で8つのスキルを手に入れた。


【スキル】

 [鑑定][HP自動回復]

 [獲得経験値大UP][歩くと経験値獲得]

 [魔力操作][魔力感知]

 [見切り][敵対感知]


「気になったんだけどさ、スキルってその職の人が頑張ったら取れるって認識でいいんだよね?そう説明してたよね?」

「いえ、厳密には誰でも取れることは取れます。才能ある人はいくつも違う職のスキルも持っています。というより、スキルも経験値によって取得するって考えた方がいいですね。」

「経験値UP系も?」

「いえ、これは私特製の田中さんの為だけに作るスキルです。」

「へぇ…すごいね。」

「もっと驚いてくださいよ。そして喜んでください!」


 椅子に座り、のんびりと紅茶を飲みながら質疑応答を繰り返していた。

 どうやら経験値は魔物だけでなく、虫や動物、あまつさえ人間を殺しても入手できるらしい。

 ただ、人間を殺してしまった場合は『禁忌』というスキルが手に入るらしい。

 この『禁忌』を負ったものは町に入れないらしい。

 それだけ?と思ったが、他にもブラックな特典が付いてくるそうだ。

 スキルも、暗いところに居たら『夜目』を獲得する為の経験値が入手できる。ただ、明かりがあれば経験値の獲得量は少なくなる。当たり前のことだがその経験値は『夜目』だけに入るので、他のスキルには経験値は入らない。



 これでジョブ、スキル共に決定したので、後は転生するだけになった。

 女神に身体能力もサービスしておきますね。と笑顔で言われ、感謝の一言しかない。

 これで新しい自分へと生まれ変わる。



 ありがとう、女神さ……



 じゃない、こいつ俺を殺したんだった。

 そのことを思い出した頃にはもう魂は抜かれていた。



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