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異世界では経験値が必要です。  作者: きうろ
第一章 -幼少ー
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想像を、創造へ

 

 俺は半泣きのリリアを慰めていた。


「…どうして…どうしてなの…?」

「大丈夫だよ。きっと見つかるからさ。俺も頑張って見つけるから…な?」


 別に大事なものを無くしたわけではない。

 ではなぜ半泣きなのかと言うと、リリアは未だ特化した魔法が見つからないのだ。それどころか、何1つ魔法を使う事が出来なかった。

 リリアと同じく魔法を使えなかったライト、ルードはほとんどの魔法を使え、特化した魔法を見つけた。

 ライトは[火][光][重力]、ルードは[風][水]。2人は今それらを鍛えている。

 その光景を見て落ち込んでしまったのだ。


 俺は急いで本屋に行き、ユリーさんに『最新の魔法の種類について詳しく載っている本』を探してくれと頼んだのだが、昨日読んだ本が出てきた。

 その事をリリアに話すと、本格的に泣いてしまった。

 本気で魔法を使いたかったのだろう。


「リリア、今俺が考えてる魔法あるんだけど、一緒にやるか?もしかしたらそれが適合した魔法かもしれない。」

「……。」

「リリアはステータス見るに、魔法使えない事はないと思うんだ。でも、それでも使えないって事は何か特別な理由があるかも知れない。」

「なによ…呪いでも掛けられてるの?」

「ち、違います!強力な魔法に特化し過ぎてそっちに才能を喰われてる…とか?」

「なんで疑問系なのよ…じゃあその魔法教えてよ!」


 というと、リリアは体操座り(体育座り・安座)のまま目を伏せてしまった。


(やべぇ…マジで怒っちゃったかも…元々嫌われてるぽかったからなぁ…。 本気で探してみるか…。)


「わかった。じゃあリリアは待っててくれ。俺がリリアに合った魔法を絶対見つけるから。」


 と言い、リリアから少し離れ背を向けるように胡坐(あぐら)を組んで座った。今まで試した事なかった【転移魔法】【結界魔法】【空間魔法】【次元魔法】に挑戦した。

 結論から言うと、全て失敗だった。


【結界魔法】は魔法防御に影響するので、[魔防5]の俺には喉から手が出るほど魅力的だったのだが、全然イメージが湧かなかった。

【転移魔法】は目を瞑り、想像した場所に俺が移動しているイメージをしたのだが、無理だった。しかし、過去に見つかっている魔法なので絶対に出来るはずなのだ。と頑張ったが無理だった。

【空間魔法】と【次元魔法】に関しては、よく考えたら同じ魔法…だよな?と少し前の自分を鼻で笑い、ドラ〇もんの4次元なポケットをイメージしたが、ダメだった。


(んー…やばい…。何か他に試してない魔法は…。想像しろ…どんな魔法を使えたらかっこいいか、役に立つか…想像しろ……。想像、ソウゾウ、創造?魔法で何かを創る? いや、これは召喚魔法…か? 違うな…召喚魔法は魔法を具現化して命を吹き込む魔法だ…。それを前の、具現化の段階で終わらす。そうだ。無機物を産み出す(創造する)イメージ。)


 イメージに魔力を込める。

 グンッと魔力が減ったのが分かった。と今まで瞑っていた目を開けると、巨大な鎌が目の前に浮いていた。


(あ…。なんか成功しちゃった。)


 立ち上がって大鎌を掴む。そのまま振る。特殊な効果はイメージしてないのでビュンと音がするだけだった。とても軽く、持っている事を忘れてしまう程だった。


(とりあえず、これをリリアに教えてみるか。召喚魔法無理だったけど、これならいける…かな?)


 大鎌を吸収で消し、リリアの元へ歩いていく。リリアはまだ目を伏せているままだった。


「リリア」


 俺が呼ぶと、ビクッと体を強張らせた。

 俺は横に座り、新しい魔法を見つけた事を報告した。


「召喚魔法の1段階前の魔法なんだ。もしかしたらリリアも出来るかもしれないから、挑戦してみない?」

「……。」

「また失敗するのが怖いかな?」

「……。」

「前にさ、ある偉い人が俺に言ってくれた言葉があるんだ。その言葉があるから、今俺は挑戦し続けられている。」

「……。」

「『諦めたら、そこで試合終了だよ。』 安〇先生の言葉さ。」

「誰よそれ…。そもそも今試合じゃないよ。」

「っ!!」

「でも、いい言葉だね。」


 リリアが顔を上げた。涙はもう乾いていて、しっかりと前を向いていた。


「やってみる?」

「うん。グレン、ありがとね。」

「別に礼を言うほどの事じゃない。さ、なにか道具を具現化する『イメージ』して!」


 リリアは頷き、目を瞑って少し下を向きながら手を前に出した。

 魔力が減っているのが分かった。リリアの手が薄く発光し、いつの間にか手には石ころが握られていた。


「……石?」


 俺の言葉に反応し、リリアが目を見開いた。手に握られた石を、俺を交互に見た。


「え? ……あ。出来た。出来た………できたよぉぉおおお!!!!」


 と、リリアが俺に抱きついてきた。突然のことだったので俺は硬直してしまった。

 リリアは「やったよ、出来たよ」と何度も繰り返し、俺は「うん、そうだね、おめでとう」としか言えなかった。

 リリアは少しして、俺から離れた。


「ね、ねぇリリア…。その石って…いったいなんなの?」


 なぜ石を創造したのか俺には分からなかった。もっとすごくて出来た!と喜べるようなものなら納得なのだが・・・。


「これはね、鑑定石だよ。」

「え、マジで?鑑定できるの?」

「うん。なんか出来た。それにね、どこに投げても絶対に手元に戻って来るんだよ。」


 そう言って、石を投げる。石が転がり終えると、その場から消え、いつの間にかリリアの手に握られていた。


「マジか…!すげぇオプション付いてんな!!」


 本気で驚いた。鑑定の出来ないリリアが鑑定石を創造し、更には自動で戻ってくるという高性能。というより、見るからに【転移魔法】だった。【能力付与】がなくても別の魔法を付与出来ているのは、自身の魔力から作り出した物だからだろうか…? リリアはこの【創造魔法】にかなり特化しているのかもしれない。というより、()()()()()()()()

 リリアのジョブは【発明家】。他の魔法が使えない変わりに、そのジョブに相応しい超万能な魔法を手に入れたようだ。


 リリアは他のみんなのところに走って行き、創造魔法を見せ、みんなを驚かせた。

 と、同時にぶっ倒れた。


(回数制限は2回、と。)




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