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異世界では経験値が必要です。  作者: きうろ
第一章 -幼少ー
30/101

おーが

「トゥインテはここに来る途中にあった森にあるって。」

「オーガもそこだ。」

「ワーウルフは?」

「それは別の場所。ちょっと遠いね。」

「んじゃ、とりあえず『トゥインテ採集』と『オーガ退治』いきますか!」


 話はまとまった。早速クエストをクリアしようと意気込む。


「リリアとライトはお留守番でいい?」

「うん。私は待ってるよー。」

「俺も行きたい!!」


 リリアは残るのだが、ライトは行きたがっていた。

 オーガの強さが分からない以上、ライトを連れて行くのは危険だ。

 先日の魔物のような強さならなおさら連れて行けない。

 しかし、連れて行ってあげたい、とも思う。


「マイム。ルード。ノウ。どうする?もし凶暴な魔物なら、連れて行くのは危険だと思うんだけど、本人の意思も尊重させてあげたい。」

「僕は、やめたほうがいいと思う。」


 マイムがそう言うと、ルードとノウも頷いた。


「ライト、ごめん。また今度一緒に行こう。俺は今回ライトを守れる自身がない。」

「俺は…お前と同い年だ。お前に守ってもらわなくても行ける。」


 言葉が出なかった。

 確かに同い年だが、俺は中身が30歳過ぎてるから、なんて言えるはずも無い。

 だが…


「ライト、俺はお前のジョブをなんて教えた?」

「戦士だ。」

「ああ。お前は戦士だ。だけど、その戦士の武器はどこにある。」


 ライトはハッと驚いた顔をしていた。


(いや、君最初から持ってないから…。)


「今回のクエストで、お金が大量に手に入る。そのお金で武器を買うつもりだ。それまではここで鍛えて待っていてくれ。」

「わかった!!任せとけ!!」


 すごい茶番劇を演じたような気がする。


「さて、行こっか」

「う、うん…」






 町を出て、飛んで森まで移動する。

 一度森を上から見てみたが、森は大きく、花もオーガも見えなかった。

 断念して正面から入る。


「まさかライトがあんな事言うとは思わなかったよー。」

「そうだねぇー。…素だったのかな、アレ。」


 ルードとノウがしみじみと話していた。

 あれには俺も驚いた。あそこまで天然だったとは思わなかった。


「反抗期かな?」

「というより、嫉妬に近いんじゃないかなー?」

「え?嫉妬?」


 俺はつい口を挟んでしまった。

 あの天然が嫉妬なのか?と


「いや、だって同い年のウエンチがバンバン魔法使って、しかもリーダーなのに、ライトは武器が無いから何もできない。」

「あぁ…。なるほど。」


(そうか、ライトは活躍したいのか…。いい武器を買ってあげないとな。)


 森を歩き続ける。

『鑑定』を発動し続け、トゥインテを探すが、見つからない。

 一応、ハリさんにトゥインテの絵を描いてもらったのだが、正直子供が描いたチューリップにしか見えなかった。その紙は今、ルードのポケットの中に厳重に閉まっている。




「待って。今何か聞こえなかった?」


 ノウが耳をピクッとさせながらみんなを止める。

 みんなは歩くのをやめ、耳を澄ませる。だが、俺には何も聞こえなかった。


「やっぱり…あっちからだ。」


 ノウが歩き出す。

 俺はマイムの方を向いたが、マイムも聞こえなかったようで、首を振った。

 どんどん森を駆け抜けていく。

 いつの間にかノウは走っていて、俺達は必死で追いかけていた。


 ノウがピタッと止まる。

 俺とマイムは止まりきれず、倒れてしまった。


 俺は立ち上がり、マイムに手を貸す。


「ノウ、止まるならなんか言って…く…デカっ!!」


 ノウの方に振り向き、注意しようと声を掛けたが、ノウには目が行かず、その奥、数十メートル先で横になって眠っている巨人を見つけた。


「ウエンチ、鑑定して。」


 ノウが小声で鑑定を促す。

 俺は即座に鑑定した。


「ビンゴだ。因みに、その周りに咲いてる花。あれがトゥインテみたいだ。」

「ウエンチ、どうする?」

「どうするって?」

「先に倒すか、トゥインテを取ってから倒すか。だね。」

「正直、オーガを起して暴れられて、トゥインテが踏み潰されて取れなくなる。ってのは、避けたいよな。」

「ん?それは大丈夫じゃない?」


 マイムが俺の発言を否定した。

 俺は首を傾げた。


「え、なんで?」

「オーガの周りを見てみなよ。1つも踏み潰されてない。あんな大きなオーガなのにさ。」


 確かに、言われてみればその通りだ。でもなぜだ?オーガはトゥインテが好きなのか?


「先に花を取って、オーガの怒りを買うって可能性もあるわけだねー。」


 その可能性があるうちは、トゥインテを取りにいけない…。だが、その前に確認しなくてはならない。


「オーガってこの1匹だけだよな?」

「たぶん…」

「確認するか…。」


 マイムに頼んで上から見てもらう。

 マイムは上から手を大きく丸めた。


「1匹だけか…。オーガには申し訳ないけど、俺達の生活の礎に…。」


 と、手を合わせる。

 そして無言で風魔法でオーガの顔周辺を囲む。

 オーガは途中目を覚ましたが、数十秒後、倒れた。


「へ?」


 マイムが降りてきた。と同時に倒れたオーガを見る。


「何したの…?」

「息の根を、止めました…。」

「いや、だからどうやって!!」

「呼吸を、止めました…。」

「…真空状態にしたの?」

「うん。」

「えげつな…。」


 ノウとルードがちょっと引いたように俺を見てくる。

 生臭い戦闘よりこっちの方がまだ良いと思ったのだが、2人はそうではなかったらしい。


 4人でトゥインテを根から取り除く。

 今更だが、トゥインテはハリさんが描いた絵にそっくりだった。

 数十本取った後、オーガをどうするか話し合う。


「冒険者ギルドにそのまま持ってくのかな?」

「うーん。それはないと思うんだけど…。」

「どこか一部を取るとか?」

「一部って?どこ?」

「耳とか…目とか?」

「目は嫌だよ…。」

「私だって嫌だよー…。」

「まぁ、全部持っていけばなんとかしてくれるだろ…。」

「だね。ウエンチいける?」

「うん、大丈夫。」


 と、動かないオーガを町の前まで持って行き、冒険者ギルドに行き、報告する。

 ギルドの人が数人オーガを見にきて、すごく困ったような顔をしていた。




 商人ギルドに行き、トゥインテを渡す。1つで良かったそうだが、複数持ってきたというと全て買い取るといい、相場の2倍の金額で買い取ってくれた。

 その後、もう一度冒険者ギルドに寄り、クエスト報酬を受け取る。「オーガの目と睾丸は高く売れるから」と、その分の金額ももらえた。だが、「あんな大きなオーガ処分に困る。」と言われ、処分費用を少し差し引かれた。


 元々持っていたお金は、50(シルバー)

 宿屋、服屋で使い、残り約4Sだった俺達は、23(ゴールド)34(シルバー)と、結構な大金を手に入れた。



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