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異世界では経験値が必要です。  作者: きうろ
第一章 -幼少ー
20/101

ノウ

 

「いやいやー、寝ないでよー。」


 また体が揺らされる。

 目を半開きにし、すっごい嫌な顔をして「なに?」とノウを睨んだ。


「ねぇねぇ、私にも魔法教えてよー。」


 すっごい小声で俺の耳元で囁く。

 監視役には聞こえないだろう。けど、恐らく見られているはずだ。


「今度でいいじゃん。寝てんだけど。眠たいんだけど。」

「お願いー!じゃないと毎日起こしに行くよ?!」


 最低だな、こいつ。と、顔を崩さないまままた睨んだ。

「ふぅ」とため息をつき、周囲に魔法を放つ。


「もう普通に喋って大丈夫だぞ。みんなに聞こえないようにしたから。でも、姿は普通に見えるから布団に入ったままな。」


 と言い、上布団を2人の頭まで隠す。


「すごい!どうやったのー?!」


 まだ小声で喋るノウに「風魔法」と簡単に説明する。「そんなこともできるんだねー!」と驚いていた。


「いや、ノウさ・・・お前、魔法使えるだろ。」

「へ?」


 俺は鑑定でノウのステータスを知っている。俺の今のステータス程ではないが、MPや魔攻、魔防が異常に高い。魔法を使えないとおかしいレベルだ。それに、他にも異常な部分はあった。

 だがノウはきょとんとしていて、よく分からないといった顔をしていた。


「ん?使えないの?」

「え・・・使えないけど・・・もう使えるの?私。」

「へ?」

「え?」

「いやだって・・・お前・・・あれ? 今30歳過ぎてんだろ?」

「え・・・えええええ?!!!!!」

「ええええええ?!!!!」


 ノウが本気で驚いて大声で叫んでいた。

 そのノウの反応に俺も驚いてしまった。



  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


  【ノウ・ノウ】女 亜人族  Lv22  35歳

  [治療師]

    HP 244/244

    MP 757/757

    攻  34

    防  57

    魔攻 268

    魔防 470  


  経験値あと2721でレベルアップ。


   【能力(スキル)

  [治療Lv9][魔力操作Lv5][料理Lv2]


   【特殊能力(アビリティ)

  [嗅覚]



    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ノウのステータスを再度確認する。

 どう考えても魔法を使えないとおかしいのだ。


「私は・・・4歳だよ・・・?そんなに、おばさんじゃないよぅ・・・。」

「あ・・・でも・・・あぁ・・・分かったから泣かないで、ごめんな。」


 俺をジッと見つめ、涙をぽろぽろと流しだした。

 流石に嘘をついているようには見えず、申し訳なくなって謝った。しかし、おばさんて・・・子供から見たらそうなのか・・・な? 中身30歳の俺には少しきつい一言だった。

 でも、なんで泣いたんだこいつ。


 目を腕でごしごしと拭き、涙を払う。涙で腕が濡れ、毛と毛がくっついている。それを魔法を使い、「ごめんな、俺の勘違いだった」と言いながらドライヤーのように乾かしてやる。


 謝罪ついでに、俺がなぜ魔法を使えると明言したのかを説明する。『鑑定』を持っている事を話したのはノウが初めてだ。「俺のこのスキルがおかしくなったのかもしれない」と付け加えると「絶対そうだよ。」と少し睨まれた。



 なんとか機嫌を直したノウに魔法を教えてやる、つもりだったのだが、布団の中では練習になるような魔法を思いつかない。

 なのでノウに素直にここ(布団の中)では魔法は使えないと説明し、明日ちゃんと教えるから、と言い諦めてもらった。


 ノウと世間話をした。というより、質疑応答だろうか。割合を言えば、2:8でほとんどノウの質問攻めだったが。

 俺は、『キビッシュ』について大人も知らない動物について聞いた。どうやら、外で飼っていた(仲良くなった)猫の名前らしかった。しかし、飼っている猫と同じ種類の亜人種て・・・と少し笑ってしまった。ノウは捨て子のようだった。気付いたら外にいて、彷徨っていたとこを人攫いにここに連れて行かれたそうだ。


(というより、記憶喪失なんだろうな。)


 とそう思うようにした。


 ノウはかなり質問してきた。

 鑑定結果、魔法について、俺自身について、そもそもなぜ知っているのか、ほとんどの質問はちゃんと答えたが、言えない事ははぐらかしたり、素直に言えないと答えた。

 話をしているうちに口数が少なくなり、お互い目が半開きになり、何を喋っているのか分からない言葉をぼそぼそと言い合う。




 そしてそのまま2人眠りに落ちた。








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