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美少女はじめました  作者: 針山田
137/154

137話 彼女の目論見とは


 楽しい時間はとても早く過ぎ去るもので。

 今は親睦会の片付けを、決めた役割に分担して行なっていた。

 その中の一ペア、食器洗い兼片付けを任されていた湊とカメリアは、厨房の洗い場で二人肩を並べていた。


「悪かったわね、湊。なんの相談もせずに、急に隊長なんて大きな責務を任せちゃって」

「いえ。正直嬉しかったです。カメリアさんに、そこまで期待されてもらってるんだって。けど……」

「心配?」

「……はい。私たちは今までカメリアさんの後をついて来ました。ですが、これからは私がみんなを引っ張っていかなければいけません。カメリアさんみたいに、正しく引っ張っていけるか。それに私なんかに、みんながついて来てくれるのかなって」

「別にあたしみたいにならなくてもいいのよ。湊は自分が正しいと思うやり方で隊長を(まっと)うすればいいのよ」


 誰かのやり方が常に正しいとは限らない。自分が思った道で、自分が正しいと思ったやり方を貫けばいい。


(……ま、湊の気持ちもよくわかるんだけど。かく言うあたしだって、隊長になる時あの人を目標にしたんだし)


 カメリアにとってあの人は自分の全てであった。今だって、あの人は自分の中で、カメリア・フルウという存在を築いている。

 けど、自分は自分。湊は湊だ。


「湊、いい言葉を教えてあげる」

「いい言葉、ですか?」

「——リーダーたる者、隊員のことを尊重すべし」


 その言葉は、どうしてか、とても重みを感じた。


「カメリアさん、その言葉は?」

「あたしの姉の言葉よ」

「カメリアさんってお姉さんがいたんですか⁉︎」


 カメリアと知り合ってしばらく経つが、そんな情報初めて知った。おそらく、萌香でも知らないのではないだろうか。


「昔にね。あんたたちが新鋭隊に入る前の話よ。姉と言っても、実の姉というわけじゃないけど。ちょうど、萌香があたしを慕ってくれてるように、あたしもあの人のことを慕ってたわ」

「今その方は……?」

「しばらく会ってないわね。遠い場所に行ってしまったから」


 それ以上、湊はその人物について問うてはいけないような気がした。

 そう思ってしまうと、次の言葉が出てこなくなってしまった湊に、カメリアは何を言うでもなく話を元に戻した。


「それに、あの子たちなら大丈夫よ。湊について来てくれるし、間違った方向に進もうとしていたら正してくれる。湊は確かにあの子たちの隊長だけど、それ以前に仲間なんだから」

「そう、ですよね。ありがとうございます!」

「礼を言われるような事はしてないわ。それに、何かあったらいつでも相談に乗るから。あたしは、別にこの街を離れるわけじゃないんだし」

「そういえば、親睦会の前にも似たような事萌香に言っていましたよね。あの時聞きそびれてしまったんですが、カメリアさんがやろうとしている事は何なんですか? どうやって研究所の調査を?」

「簡単なことよ」


 ——すぐに分かるわ。

 そうカメリアは続けた。


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