ある日、ある人は
全学連の学生と国鉄職員が駅前の歩道橋で小競り合いをしてるころ
ヒッピーは階段下の日陰で芝生に横になって古新聞を傘にして昼寝をしていた
都心の国立大学に通う体育会系学生が就職先をダーツで決めてるころ
地方の生真面目な高卒公務員は根暗なオタクだと揶揄されて軽蔑を受けていた
カルト教団によって日比谷線に猛毒ガスが撒かれたころ
広尾に住む有閑マダムは銀座で百貨店をぶらぶらしていた
福島の原子力発電所で想定外の放射線漏れが発生したころ
広島と長崎の老人は路面電車の座席に腰掛けて舟を漕いていた
なべて世は事も無し