女神の凡ミス
初めての小説なのであまり自信はありませんが、気軽に読んでもらえると嬉しいです。
自分の頬は何回もつねった…痛い
「夢…じゃない?」
昨日は確実に自分の家の、自分の部屋で寝た。考えられる原因は一つしか思い付かない。
「あれは夢じゃなかったってことか?」
寝起きの頭であの夢の会話を思い出す。魔族と人間が争う異世界、そこの王国に勇者として…召喚?
「…ここは異世界?」
しかし何か変だ、何か忘れてる気がする
「そう言えば王国に召喚って言ってよな」
辺りを見渡す、しかし人が居そうな建物は見当たらない。しばらく辺りを見渡している時にふと思い出した。あの時、女神が最後に発した一言…
[あっ!ヤバっ]
意識が無くなる直前に聞いた一言を思い出し、愕然とする
「あの瞬間に何か想定外のことが起きたのか!?」
これからどうするか何も分からず、途方に暮れ、足下に視線を落とすと、1枚の紙が落ちているのに気が付く
「ひょっとしたらあの女神からのアドバイスか!」
紙を拾い目を通す
勇者へ
まず、あなたが現在居る場所は大陸のほぼ中央に位置する辺境の大森林です
そこから北東に魔族の支配する領域、北西に帝国、西には王国があります
まずはこのどちらかに向かえばいいでしょう
残念ながら私はこの世界にあまり干渉できません
勇者達が互いに協力しこの世界を平和に導いてくれることを願います
PS
ごめんね、召喚の際に座標を設定するのを忘れ、座標がランダム設定になっちゃいました(´▽`;)ゞ
「ふざけんな!」
あの最後の言葉は女神が自分の凡ミスに気付いたからだった
紙を破り捨て、青い空を見上げてため息をつく
「…あの時なんで断らなかったかな…」
そう言えば魔術がどうとか言ってた気がした。とりあえず目を閉じ、手を前に伸ばし、炎の塊が飛び出す様子を想像してみる
「ファイアーボール!……って出る訳無いか」
手を降ろそうとした瞬間、手がほんのり暖かくなり、直後にバスケットボール程度の炎が飛び出し、木に直撃し爆発した
「うおっ!?」
炎が直撃した木は折れ、辺り焦げ臭くなった。
「…マジで魔法出たんですけど」
自分の手のひらを見つめてみる、特に痛みも火傷も無い、随分と簡単に魔法が使え呆気に取られる
「があぁぁぁっ!!」
「!?」
突然の鳴き声に驚き咄嗟に後ろを振り向く
「嘘だろ……」
そこには大きな狼の様なモンスターが3匹、こちらを睨み付けていた