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ガーディアン・チルドレン

神話・事の始まり

作者: 夢野 幸

〇神話・創世記第一、白い柱と黒い柱


 神がこの世界を創った時、在ったものは神が住む天と、その下にある地。それらを世界の中央で支えている大きな一つの柱だけだった。

 柱が一つでは、天と地が傾いたとき、支えられなくなってしまう。

 そう考えた神は大きな柱を、半分の大きさの白と黒の二本に分けた。そしてそれぞれの柱を支えるよう、両隣に同じ色の柱を、更に半分の大きさにして一本ずつ建てた。


「あぁ、これで世界は安定するだろう。崩れることはないだろう」


 神が願ったように、柱は天と地を支え、その間には生命が繁栄していった。神の声は天から地上を駆け、生きるモノはその音色に心を安らげた。


 そうしている間に、生命はますます増えていった。これでは今度は、彼らが住む場所が足りなくなった。強き者が弱き者を追い詰めていき、彼らの場所がなくなった。


「あぁそうだ、二つに分けよう。力なき者を護れるように、力なき者が平和に暮らせるように」


 そうして神は、大地を二つに分けた。決してそれらが触れあわぬよう、しかし双方に自身の力が及ぶよう。

 二つ目の大地に移り住んだ力なき者は次第に知識を蓄え、全く別の世界を組み立てた。神はそれを良しとし、一つ目の大地と同じよう愛した。


 交流はなくとも、どちらも愛する大地だと。 


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


 〇神話・再生記第一、柱を護りし子供たち


 時は流れ、生命は争いを始めた。地上は削れ、生命は散り、真紅は柱をも巻き込んだ。


 それを見た大きな白い柱は「愚かである」と生命を嘲った。

 それを見た大きな黒い柱は「哀れである」と生命から離れていった。


 白い柱は嘲るたびに、自身が黒くなっていくことに気づかなかった。

 黒い柱は離れていくたびに、自身が大きくなっていくことに気づかなかった。


 「このままではいけない、天と地が支えられない」


 それでも神は、天から見ていることしか出来なかった。

 神の力では、地上に与える力が大きすぎる。直に力を加えれば、生命はそれに耐えることは出来ないだろう。


「そうだ、私の力を地上の生命に分け与えよう」

「そうして、世界を支える柱を守れるようにしよう」


 そう言って、神は自身の力の欠片を六つ、生みだした。一つ一つの欠片に触れていくと、欠片は色を変えていき、違う輝きを発していった。


「子供たちよ、世界の光よ。地上を回りなさい、回り回って今以上に力をつけて、ここに戻ってくるのです。白い柱を支えられるよう、新たな柱となれるよう」


 言の葉に乗り、欠片は魂になると地上へ向かって行った。


「あなた達に世界を委ねる、頼みました。世界の守り子、ガーディアン・チルドレン」


 神の言葉を届ける風はもはやない。ただ、彼らの御魂に刻まれるのみである。

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