プロローグ
二つの国があった。どちらの国も決して豊かでない国であったが多くの市民と領地を抱えていた。
一つの国の名は「エイン」
絶対王政からなる国家であり王は代々強大な権力と軍を用いて国を支配している
隣国との小規模な戦争の度に国は疲弊し、市民に重い税を課すなど国内では王政に対する不満が徐々に高まっていた。
そんな中でエイン国が誇る最大の軍隊「エイン騎士団」の団長を中心とした精鋭部隊であり
エイン国の要となる存在。
市民は度重なる圧政のなかで騎士団に対して希望を抱くようになる。
それはなぜか。
答えは騎士団の団長であるロレン団長にある
彼は平民から団長となった人物で市民に対しての理解もあり強さと優しさを持つ人物であったため市民からの人気が高く期待の声も上がっていた。
また副団長であるビーチェは彼の婚約者であり、彼女は没落寸前の貴族で市民と協力して生活を送ってたこともあり、彼女もまた市民に対しての理解が深く、エイン団長と共に市民の為に精力的に行動していたのである。
この二人の活動もあり騎士団の人気は高まり期待の声も次第に大きくなるにつれて王政も無視できない状況にまで発展し、後に悲劇と共に孤独王が生まれる事件へと繋がる。
もう一つの国の名は「ギーファ」
王政ではあるが権力は大きいものではない。
幾つかの理由があり常備軍の規模や経済的理由も影響しているがその最大の理由こそギルドである。
ギルドには多くの冒険者が所属しておりその冒険者が様々な国の問題を解決しているため市民はギルドを頼って生活をしている。
過去には王政とギルドの争いが起きたが、市民がギルド側についたため王政側は苦戦を強いられ長きにわたって国内の混乱を招いた。その間にエイン国との争いもあり国の存続を優先した王政側が一歩引く形でギルドに休戦協定を申し出た。
そのためギーファ国ではギルドの力が王政よりも強い。
そしてギーファ国の要であるギルドのエース ディアス
彼は多くの仲間と共に各地の問題を解決してきたギルドのエースである。
整った顔立ちと愛嬌のある性格から市民にも慕われる人物でありギルドの人気を象徴する存在である。
しかし彼には野望があった。
その野望を叶える時に備え彼は着々と準備を進めていた。
ギルドの活動も野望を叶えるための準備に過ぎない。
彼はただその時を待つ
野望を確実に叶えるために
そしてある事件をきっかけにして歴史は大きく動き出す
二つの国、二人の人物
動き出した運命は止まらない
これから始まるのは二人の人物
いや、二人の王
孤独王と仲間王の物語である。