表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ライフ〜自由気ままな逃亡ライフ〜  作者: コウムラ リョウヤ
2/4

第2話 もうちょいマトモな奴に会いたい…

前回のあらすじ


ていっ!で殺されかけた。



光に飛び込んだ紫苑はその際に身体に暖かい何かを感じた気がしたが今は無視してガーゴイル(仮)を警戒するが、見えない壁に阻まれているかのようにぶつかるガーゴイル(仮)を見て安心して軽く息を吐く。すると、さっきと同じ声が頭に響く。


『よくぞここまで辿り着きました、勇者殿』


その声に紫苑は振り向くも目の前には誰もいない。と、また声が響く。


『此方へ』


そこで初めて地面が少しせり上がった所にまるでゲームに出てくる聖剣のように刺さっている漆黒の剣に紫苑は気が付いた。そして、何を思ったのか大人しく指示に従って剣の方へ歩いて行く紫苑。そして、剣の前まで辿り着き立ち止まったところで、少々気を良くした感じの謎の声が、話し出した、


『さて、貴方に伝えたいことが、って…え?』


正確には話し出そうとした。何故、話し出せなかったかというと、理由は簡単、無言無表情で歩いて来ていた紫苑が剣先数センチ埋まっているそれの柄をいい感じの笑みで掴んでだからだ。正直、不自然なくらい目元に影が差しているためなんか怖い。そして、なにをしようとしていたのかを察した謎の声=謎の剣は、


『ちょ、ちょっとまだそれはマズイって!まだ抜いちゃ……』


ダメ、と言い切る前に紫苑は剣が危惧した事の逆を行った。


つまり…埋めたのだ。かなり勢いよく……


ズゴッ!と大きな音を立てて剣身が柄まで全て埋まる。そして紫苑は大きく息を吸って言った。


「いきなり天井落とすとか危ねぇだろが!ていっ!じゃねぇだろ!死にかけたわっ!つーかあのガーゴイル(仮)はなんなんだ!来いって言っておきながらあれは無いだろ⁉︎馬鹿なの⁉︎馬鹿でしょ⁉︎馬鹿なんだよね⁉︎それとも殺す気だった⁉︎この大馬鹿駄剣がーーー‼︎」


一息に言いたいこと捲し立てた紫苑は相手の返事を待つ。


『あっ、え、えっと、その、ごめんなさい』


と、地面に埋まったまま戸惑いながらも、自分の非を認め謝る剣、なんだかんだで良い子(?)である。実際は9割近くこの剣に非があるのだが、天井落下に関しては半ば冗談とはいえ声を無視して反対へ進もうとした紫苑にも非が無いとは言えない。まぁ、だからと言ってあるてい安全を考慮していたとしても天井を落とすのはやり過ぎってレベルを越えているが。


「で?言いたいことって?」


一応謝ったのでそれで良しとして本題へと入ろうとする紫苑。そもそも紫苑は下手したら命に関わることだったのでここまで怒った(?)のであって基本ここまで怒ることはない。無論、通常運転でもこの容赦のなさは健在なのだが…。まぁ、それは別にしてもこの状況で相手の主導権を握っていまっていることは異様な光景といえる。


『えっと、言いたいことというかお願いなんですけど…』


と、やけに物腰が低くなりながら続きをいう。


『紫苑さん貴方が気に入りました。此処から逃がしてください!いえ、一緒に連れて行ってください!』

「は?」


それしか言えなかった。

紫苑は此処が異世界なのだと何と無く検討は付けていた。そして、その理由がおそらく勇者として魔王を倒せとかそんなとこだろうと。この喋る剣にしてもこれを使ってだとかその辺りの定番を予想していた。実際には、召喚された理由に関しては概ねあっているのだが、この駄剣が横やりを入れたことでややこしくなっているだけなのだが紫苑は当然それを知らないため予想の斜め下を行きすぎてしまったため少々困惑している。


『あの、返事の方は?』


既にキャラ作りを諦めた剣が聞いてくる。


「ん、まぁいいんだけど…なんでおれ?後、どうして『逃げる』なんだ?」


困惑して惚けていた紫苑だが元々、これを持ち歩くことも考慮していた為、連れて行くことに関しては置いといてもどうしても聞いておきたいことをいう。この剣が紫苑を召喚したと思い込んでいる紫苑はたかがそれだけのために呼ばれたのかと少し呆れながらではあるが。

それを察した剣は大まかに事情と状況について話す。



概要はこうだ。逃げると表現したのは実際そのままの意味だ。この剣はここに封印されており紫苑を襲ったガーゴイルたちは剣を護るためにいたのだ。そもそも大きな力を持っているのだから自分でというのは愚問だろう。何故なら、力の及ぶ範囲は洞窟内だけだし、そもそも剣である以上持ち主がいなければ何も出来ない。そして、状況に関してはまず前述にあるように某王国が神殿にて勇者召喚を行った。その時に起きた時間やら空間のねじれの様子を偶然目撃し、紫苑をみつけた。そこで、横やりを入れた為本来神殿に出てくるはずだった紫苑は此処に飛ばされ今に至る。ついでにいうと、紫苑を選んだ理由については何度問い詰めても『気に入ったからです!』としか答えないので既に聞くのを諦めている。



「………なるほどね」

『余り驚かないんですね』


一通り説明が終わって、静かに呟いた紫苑に柄を含めて全て埋まった剣が語りかける。ちなみに剣が全て埋まっている理由はこの状況の原因が横やり所為とわかったからだ。


「まぁ、半分くらい予想してたし、驚くにしても今更だしな」


などとなかなか肝のすわったことを言う紫苑。


「さてこっからどうするかな」


と、埋め込んだ剣の横に座りながら中々切実な問題を口にする。呼ばれたであろう神殿に行くにしても方角も分からなければ道も塞がっている。と、そこまで考えてから一応駄目元で剣に聞いてみる。


「お前、塞がってる道なんとか出来る?あと、神殿の方角分かる?」


『え?あぁ、洞窟内なので岩くらいならどうとでもできますよ?それに某王国の位置も一応把握してますから』


あ、解決した…などと考え一応剣に感謝し、


「よし、じゃっ、行こっか。……そういえばお前の名前なに?」


と聞いた瞬間、


「ようやく見つけました。召喚勇者の紫苑さん」


と、上から声がかかり妙齢の美女という表現がしっくりくるような女性が降りてくる。


「申し訳ありません。急な事態な為捜索が遅れてしまいました。」


と、いきなり謝る謎の女性に困惑しつつ彼女の正体を何と無く察する紫苑。それにしても、現れて真っ先に謝り、物腰が柔らかいのに滲み出る雰囲気等があり、神聖さを醸し出している。どっかのキャラ作りのポンコツとは大違いだ。などと呑気に考えながら紫苑が問う。


「それで、その、どちら様で?」

「一応、女神です。」


即答だった。そして、女神様が今度は問う。


「ええと、すみません、あなたはどこまで状況を把握してますか?聞いておけば色々短く説明できますし。」


ということなのでここまで自分の聞いたことを話す紫苑。



少したってから、説明を終えた紫苑は人差し指でもみあげの辺りをかきながら目の前の状況から目をそらす。結構困惑気味の紫苑である。何故なら、


「くくくっ…くっ………っ……はぁはぁ…くっくくっ埋めたって(笑)」


と、女神様が紫苑が剣を埋め込んだことを聞いて爆笑しているのだ。正直若干引いている。未だ、埋まったままの剣からも何かバツの悪いといった感じの雰囲気が伝わってくる。

なので、


「あのそろそろいいですか?」


と本題に入ろうと口を挟む紫苑。


「ええ、そうですね、余りにも可笑しくてつい、折角なのでその剣について話しておきます。いいですね?」


と、剣に確認をとる。


『まぁ、いいですけど』


けんの了承を得て女神様が説明しはじめる。


「まず、その剣は、所謂妖刀、魔剣といった類のものです。それも最悪と称される類のです。」

「ほぅ」


まぁ、妖刀、魔剣の類である事は定番と言えるので特に驚きはしないが、最悪の剣というのはこのポンコツからは想像しにくい。そんな紫苑の疑問を解消するように続きを説明する。


「この剣は銘が無く、製作者もいつ作られたかも不明の剣で、強大な力を持っています。そして、この剣の特殊性は持つ者の実力に応じて力を発揮することなのですが、そもそも最低ラインの実力を持たないと所持者が狂います。狂った持ち主は剣の力で暴れまわります。そのせいで国一つを滅ぼしたこともある。ここまで話せば、お解り頂けますよね。最悪の剣とまで呼ばれる理由が。」


と、女神様に言われ紫苑はポンコツ剣もとい最悪の剣を見る。

『………………』

なにも言わない剣を見て(未だ埋まったままなので柄の先しか見えないが)紫苑は何と無く叱られた後の子供をみているような気がした。そして、何も言わず、


柄を握りしめ、一気に引き抜いた。


『なっ⁉︎』

「なっ⁉︎」


今の話を聞いてたのかと聞きたくなる紫苑の行動に2人して驚きの声を上げる。しかし紫苑は2人の反応を完全に無視して自分がどうもなっていないのを確認し、告げる。


「よし!これでお前と一緒に出られるな!」


『え?うん、でも、なんで?』


引き抜かれた剣は戸惑いつつも疑問を口にする。普通は最悪の剣などと呼ばれる、持つ者を狂わすようなものを持とうなどとはおもわなだろうと。だが、紫苑はまるで、イタズラ小僧の様な、そんな不敵な笑みを浮かべ高らかに言う。


「俺は、自身の眼で見て耳で聞いた現実、そして何よりここで感じたもんを信じる!まぁ確かにホント、メチャクチャやられたけど、お前とのやり取り結構楽しかったぞ?」


と。


『ホントに今の話を聞いても側においてくれるの?』


「おう!」

剣の疑問に対して即答する紫苑。

そして、嬉しそうな声で言う。


『やっぱり君を選んで正解だったよ。』


顔があれば最高の笑顔を見せていたであろう剣に顔を綻ばせる紫苑。そして、剣は続けて、

『ちなみに剣としての銘は無いけど、私が自分で付けたクロネって名前があるからそう呼んでね!』


記述が少ない為忘れそうだが剣=クロネは光を反射せず、吸収しているかのような全体が漆黒の剣である。まぁ、その外見も忌み嫌われてきた理由の一つであろう。そんなことを思いつつ、


「また、安直な…」


と苦笑しつつ、「よろしくなクロネ、俺は紫苑だ。」と返す紫苑。


「あの…そろそろいいですか?」


と今まで蚊帳の外になっていた女神様が口を挟む。


「あ、どうぞどうぞ」

『すみません』


完全に女神様のことを忘れていたことにバツが悪そうにいう紫苑達に対して、あまり気にしていないかんじで、寧ろ良いものを見せてもらったという体で微笑んでいる。流石神様器が大きいね。これ以降出番殆ど無いのに。


「とりあえず、クロネさん?の封印を解いてしまったので洞窟が崩れる前に説明を終わらせましょう。」


いきなりの爆弾発言である。


『あ、忘れてた』


知っていたのにすっかり失念していたポンコツ魔剣ことクロネ。


「おい…」


と割と冷静に半眼で突っ込みを入れる紫苑。


『なんで紫苑はそんな冷静なのさ?』


そんな紫苑の様子にもっともな疑問を持ったクロネが聞く。


「だって、女神様が説明を先にするってことはその後でもなんとか出来る確証があるってことでしょ?」


と一応納得できる返事をする紫苑。しかし普通はそんなトコに思い至っても冷静でいられる人は少ないだろうと考えるクロネ。内心でクロネと同じことを考えながらも肯定する女神様。(何故か、若干顔が引きつっている)


「ええ、まぁ本来なら神殿で説明する筈のことをここでしてから、直接王宮へと転移させる予定でしたので洞窟が崩れて潰されるのは回避出来ます。まぁ崩れるまでまだ半刻(1時間)ほど時間がありますが」


と、懇切丁寧に説明してくれる。


「それでは、本題に入りましょう。と言ってもそんなに時間が無いのでステータスあたりの説明だけにしましょう。それでは、紫苑さん目を瞑って、自分のイメージしやすいステータスの表示を浮かべて下さい。上がった身体能力が数値化されているはずです。」


女神様に言われた通りしてみると、自分のステータスが浮かんでくる。


「出来ました。」


紫苑がいうと、女神様は

「それが、ステータスの確認の仕方です。そして、そこに表示されている筈の『ボーナスポイント』は私からの餞別です。人によってポイントの量は人それぞれです。今回の件に関しては私の不注意もありますのでお詫びとして少しだけポイントに色をつけておきました。そのポイントでスキルを今選んで下さい。ポイント分ならいくらでも選べます。一度使ったポイントは戻らないので慎重取ってくださいね?他に質問は?」

此処まで一気に説明した女神様が紫苑に問う。


「このスキルの量多くね?」


と紫苑が言う。

「まぁ、ポイントが高いものから低いものまで作るとこうなります。何と無く、洒落で作ったものとかもありますし…」


と答える女神様。その他の必要最低限の説明をしてから20分くらい経ちそろそろ、洞窟が崩れ始めてきたところで、


「終わりました。」


と報告する紫苑。


「意外と早かったですね。」


と言いつつ転移の準備を始める。


「よし!行くか!」『はい!』


そんなやりとりをしながら光に包まれ転移する紫苑達。

目を開けると目の前にいたのは、豪華な椅子に座った偉そうなおっさん(多分、玉座に座った王様)と、紫苑と同年代くらいの男女3人だった。



次回予告?

紫苑が選んだスキルやステータス、色をつけて貰ったボーナスポイントはいくつだったのかその辺は次回書く予定!


※女神がちゃんと仕事(説明)している描写を追加。

※セリフの所に間隔を作りました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ