s終わる世界 4u
<――あの娘は……――この奥に……――早く、孤独から……――救ってあげて……――〉
終焉を迎える世界を
紡がれざる物語たちに
導かれながら
駆け続けていた青年は
ようやく、旅の目的地であり
世界の意思が叫んでいる
嘆きの始まりの
入り口を隔てた
枯れかけの大樹の前に辿り着いた
「ここまでボクを導いてくれてありがとう」
青年は紡がれざる物語たちに
礼を言った
もうすぐ消えてしまうとしても
感謝することは大事なことだから
「さて、それにしても大きいなぁ……」
紡がれざる物語たちが
導いたのは
かつては世界を覆うように
葉を広げた大樹の根元
しかし、現在は
巨葉も枯れかけ
大幹も朽ちかけて
力をかければ呆気なく
崩れてしまいそうな
危うい状態で佇んでいる
紡がれざる物語たちの言葉が正しければ
世界の意思は大樹の中に
いることになる
「とりあえず、入り口はどこだ?」
青年は大樹の周りを見て
中に入るための
入り口を探し始めた
朽ちかけの大樹に
不用意に触れてしまえば
中にいるであろう
世界の意思に
余計な危機を与えかねない
それゆえに、触覚ではなく
視覚のみで探っていく
「……ここ、かな?」
大樹の周りを歩いていた青年は
大樹の一部分が
扉のように窪んだところを
見つけた
そこ以外に窪んだところは
見かけられないため
青年を意を決した
「……不安だけど、触れてみよう」
青年が窪みに
手を触れると
そこから温かな光が生じて
青年の身体を包み込んだ
そして、青年は出会うだろう
孤独に覆われて嘆き叫ぶ
世界の意思に――
明日の投稿で、この話は終わります。




