終焉の真実 後編詩
最後です。
第五幕 [物語と詩と言葉たち]
想造主は本を開き
綴られた詩を
物語を
読み始めた
かつて自分が
紡いだ詩
かつて自分が抱いた想い
それを綴った詩
それらの他には
管理者たちが
予め用意した物語たち
敵である者を愛した
少女を中心とした物語
仲間たちとの出逢いと
日々を過ごす物語
滅んだ世界に対する
思いを綴った詩
犯した罪に対する
懺悔と救いの言葉たち
仲間を守る思いと
嘲笑者たちへの怒りが
込められた言葉たち
大切な物を
奪われたことに対する
嘆きの言葉
仲間たちへの感謝を
綴った話
種々様々な本を
想造主は読む
それは、自身が紡ぐ
物語の糧とするためにだ
第六幕 [物語の欠片たち]
物語を詩を言葉を
読み終えた想造主は
心の中に描いた
物語たちの欠片を
近くにあった
白紙の本の一頁を破って
羽ペンで書き始めた
それは複数に分けられたもの
記憶の結晶
かつての詩たち
救えなかった罪の解放
断罪という名の殺戮
紡げなかった物語たち
それらを
ただ書き殴ったもの
物語と呼べぬ
単なる言葉の羅列
それらを想造主は
ただ書いただけ
そして、今度は
書き殴った言葉の羅列を
暗記する
滅んだ世界のものを
想造主がいる空間には
持ち込めないから
抜け道はただ一つ
あちらの世界で
暗記したものを
こちらの世界のもので
記憶を頼りに
再構築するだけである
第七幕 [滅びゆく部屋]
想造主は
先ほど書き殴った
言葉の羅列を
暗記し終えると
一度だけ深呼吸して
扉に向かうと
滅んだ世界の部屋から
出て行った
別れを告げるように
最後の仕事を
――取り出した本の
片付けを――
済ませたから
想造主が部屋を
出て行くのを
見計らったように
軋みの音を
徐々に慣らせて
砂で造られた城が
ただの砂山へと
還るように
派手な音を響かせながら
終焉の黒嵐に
呑み込まれていった――
最終幕 [世界の喪失と暗記の再構築]
想造主が
滅んだ世界の扉から
一つだけ扉がある
小部屋に戻り
背後にある扉に
身体ごと振り向くと
そこに映ったのは
ボロボロと崩れ去った
扉の残骸であった
それを視た想造主は
瞳から数滴の
涙を浮かべると
一筋の涙を頬に流した
己の若い時を
彩ってくれた世界に
その喪失に
悲しむように
そして、数刻後
涙を流し終えた想造主は
指を一回鳴らして
元の場所へと戻った
そして、一枚の紙を
手に取ると
いつも物語を綴るために
使っている羽ペンで
滅んだ世界で得て
脳内に暗記した
物語の欠片たちを
書き出した
序文にこう書き添えて
『かつての想いと
果たせなかった約束を
紡がれた言葉たちを
それらをまとめた
物語の欠片たちを
ここに記す』と――
《終》
これで[以前やっていたオンラインゲーム]をモチーフにした話は終わりです。
オンラインゲームをやっていて思いついた話は、いくつか[ゾンビもの]や[魔王もの]にアレンジとして組み込んだりします。
それ以外も、短編集的な感じなものの中にやろうと考えてはいます。
先だけ見て、足元は固まっていませんがね。
ではでは




