侯爵とドワーフ。
翌日、会議を開いた。
現在、渓谷ルートの確保が進んでいるとは言え、いつまでも終わる気配がない。
渓谷に巣を持つ飛竜を狩ると、縄張りを広げようと周りから他の飛竜が集まってくる。
ある程度は予想されていたし、別に無尽蔵に湧いてくる訳ではないのだが、現場では厭戦ムードが流れてきているそうな。
そんな状況で、ドワーフとの共闘は非常に魅力的だ。
なにせ、山脈に住まう一族で、対竜戦闘に優れた集団だと予想できるからだ。
ルートの確保に、大きく貢献してくれるのは、想像に難くない。
また、後々建設する事になる様々な施設や、それを作る為の道具なども、ドワーフ製のモノは質が非常に高い。
何らかの素材が発見できれば、うちの特産品として高いレベルの加工も可能になる。
まさしく、夢が広がる話しであるのだ。
初めから、協力を仰ぐのは確定事項だった。
「問題は、どうやって協力を仰ぐか、ですな。」
難しい顔をするフィリップ。
「王国領内にいて、今まで知られてないと言う事は、かなり偏屈な者達かも知れませんね。」
わかりきった事を言うハリー。
「酒を土産に持って行けば、なんとかなるんじゃないですか?」
アホのパウロ。
「話しはできるだろうが、問題はそこではない。」
優しく突っ込むキートス。
「相手に利点がないとな。俺達につく利点が、相手にないと話しをして終わり、と言う事になる。」
「それに、どういった協力を依頼するのかも、問題です。傭兵のような扱いを彼らが受け入れるのか、わからない事が多過ぎますな。」
うん。確かに現状では、話しを聞いてくれるドワーフがいるってこと以外、わかってる事がないんだよな。
「フィリップ、一度向こうの長と会ってきてくれ。協力だとか、そういう話しはしなくて良い。まずは、相手を知り、相手に俺達を知ってもらおう。」
人材や物資の調達は、マンシュタインの三男、ファーブルが代わりを務める事になった。
今まで、フィリップは家宰としての権限の中でそれをやっていたが、今後はキートスがそれらを完全に掌握する事になる。
パウロは俺の護衛に戻る。
今回の話が上手くいけば、俺は領地に本拠地を移すつもりなので、この機会に武芸の稽古をつけてもらう事にした。
あちらでは何があるかわからない。
自分の身を、自分で守れればそれに越した事はないのだ。
ハリーは、フィリップについて行く事になった。
彼の教育の為だとかフィリップが言っていたので、まぁそういう事だ。
屋敷の方は、ハリーがいなくても回る事は回るらしい。
財布の管理だけは俺がやらなきゃいけないんだけど。
やる事が決まったので、会議は解散である。
皆、俺に一礼してそれぞれの仕事にとりかかった。
しかし、ドワーフか。
未だに亜人を見た事がない俺は、できれば自分で彼らに会いに行きたかった。
いやほら、せっかくのファンタジー世界転生なのに、そういう事にあんまり縁がないんだもん。
せいぜい、ちょっとした手品レベルの魔法を日々、使用人達が使っている程度である。
あ、そういや最近魔法使ってねーや。
後で練習しとこ。




