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やえの詩集

死神は甘く囁く

作者: やえ



夢を見る。

帳の降りた毎晩の寝床で、私は自分を殺しにかかる。

何度も何度も。



だけれどおまえは、いつになったら成功するんだ?

呆れた囁きが耳に響いた。



あぁ、そうか。夢の中でさえ、自分は自分らしく不甲斐ないのだ。



憎らしく、その呼吸する喉元に手をあてる。


思考するために酸素がめぐる。涙するために血がめぐる。


憎らしく、その手に力は入らない。




夢から覚めて、確実な死が目の前にあるだろう?



「飛び降りてしまえばいい」


淡く光る羽衣は柔らかく舞い、美しい手をこちらへ広げる。なんて優しい招きだろう。


「何もかもがそこで終わる」


雄々しく羽ばたき舞う風は激しく、急かすようにこの身を煽る。なんて甘い誘いだろう。



心地好い誘惑に酔いながら、深い呼吸が鼻を抜けて目をつぶる。朝露を自らの糧にして、陽光で身体を解し、私の頬は知らずにゆるむ。


そうして、変化のない日常をやり過ごしてゆく。




いったい何度繰り返すのだ。


「私を責めるな」憎らしい。



死の前には生があり、死を感じればそこに生があらわれた。



いったい何度繰り返すのだ。


「私を責めるな」憎らしい。



私は握られた手を振りほどくこともできず、かと言ってこの身をゆだねてもあげられない。

死は、無で。死の先には何もないから。




今宵もまた、私は私の夢を見る。






最初にもどってループしましょう。

いつまで読むかは読者さま次第。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 十回程ループしました。 [一言] ループして、自らのことと重ね合わせて。 涙する素晴らしい詩でした。
[一言] 何度もループしました。 生も死も隣り合わせです。私もなんとか生きています。 いい詩だと思いました。
[良い点] 2どめです。 意味がよく伝わって、表現豊かに言葉を使っています。 [気になる点] 無いですよ。 私はこういった詩が好きですし、とってもいいと思います。 [一言] 絶対あなたなら賞を取れ…
2013/04/03 13:43 退会済み
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