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辿条院
いつぞの時代かわかってる 残る記憶の奥底にある
触る間もなく解けていく 雪を染める君の赤
覚悟をしていたことであり 知っていた未来と理解する
それでもまだ息のある その命を抱いて涙をする
君は言う 「幸せなんだ」
最期のときも 他人が大事
わかっていない 最期までも
僕を不幸にするのはその人だけ
赤子の鳴き声響いたら 守っていたのは
なんだったんだ
置いていけ 私の亡骸は
目を瞑った命は白くなる
いつかこの子が大人になり いつか君がまた笑うなら
そのときは再び繰り返す
記憶の輪廻は終わらない




