表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
片想い  作者: 夜風
18/33

なみだ

ある日誘われた映画のこと 涙誘うラストシーンで


周りの人が泣いている中 隣の君は大爆笑


これのどこのなにが愉快で そんなに笑うのかと思ったら


君は僕が聞く前に言う 今年の抱負は「泣かないこと」



だったらどうして こんな悲しい話の映画に僕を誘ったんだ


わざわざなんで 涙する場面で大笑いする必要があったんだ


意図が見えずに 唖然とする僕に君はまた笑っていた



いつだって 君は笑う


毎年の抱負が「泣かないこと」


君がいつも 笑っているから


僕も一緒に笑うんだ



ある日君の飼っていた猫が 病気で死んでしまって


それを僕に手渡しながら 君は清々しい笑顔


なにかこの猫にされたのか 自分が飼っていた猫なのに


君は僕が聞く前に言う 「幸せだったんだよ」



いつだって 君は泣かない


いつからだろう いつからなんだろう


君が泣かなくなったのは



大切な人が亡くなったときも 大事なものを壊されたときも


他人が不幸で悲しんでるときも 泣いてもいいと思うようなときも


君はいつだって笑い飛ばして だから僕はいいと思っていた



もう 泣いてもいいんだよ


もう 笑わなくていいんだよ


悲しいことに素直になって


もう 泣いてもいいんだよ


もう 泣いてもいいんだよ


泣きながら君は言った



大切なものを亡くして 大事なものを壊されて


泣かない僕と一緒にいて


君は教えてくれた 僕はいつも笑っていた


気づくのが遅くて君は ずっと笑っていてくれた


涙は笑顔の何倍も 大切な人の特別な形で


僕らは二人で泣いた 二人で笑って泣いていた






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ