「夏朽ちる花」
「風鈴」
心地好い 音は風鈴 夏休み
姿かたちのない風の 来訪知らせる ノックの様に
懐かしい 音は風鈴 蝉しぐれ
遠い記憶を呼び起こす 大きなきっかけ 小さなカラダ
夏過ぎて タンスに風鈴 音胸に
夏との別れ告げる午後
「泥棒」
ジリジリジリジリ
僕の思考を奪ってく
ムシムシムシムシ
僕のやる気を奪ってく
ミンミンミンミン
僕の心を奪ってく
夏は泥棒
僕の全てを奪って消える
「思い出」
気が付けばあの季節
アイスが恋しかったり セミの声が五月蝿かったり
強い陽射しに照らされて
また、君を思い出す
太陽高く 気温高く
麦わらの帽子がよく似合う 愛しい君がいた
海行けば刺激的 祭りの日にはしとやかに
ショートの髪を踊らせる
美しい君がいた 僕の隣に君がいた
いつの間にかあの季節
屋台が並んだり 金魚を掬ったり
夜空に華咲けば ほら・・・
気が付けばあの季節
笑い合ったり 泣き明かしたり
強い陽射しの向うに
君の笑顔思い出す
「プレイヤー」
黄金の街道を走る 紅のマントをなびかせて
太陽よりも熱い熱気を放つのは僕
さぁ、行こう
果てしない冒険の旅へ
平凡な世界を飛び出して 波乱万丈冒険活劇
広大な大地と七つの海 立ちはだかる無数の敵をなぎ払い
僕は黄金の街道を走りぬけ 栄光をこの手にする
ゴールのファンファーレ 平凡の再開
寝巻きを脱ぎ捨て顔を洗って出かけよう
アスファルト蹴って走りだす 地味なネクタイ上下に揺らし
太陽よりも熱い夢を抱くのは私
「海」
地平線いっぱいに広がって
空を喰おうと手を伸ばす
空の蒼さに憧れて
空の自由に心を惹かれ
求めて願って伸ばす その手はいつも空を切り
掴めず届かず 飲み込めず
それでも伸ばす今日もまた
いつの日か
空より蒼くと 願う海
「オープンカフェで彼を待つ」
いつもと同じアイスコーヒーを注文して
氷が溶け切るまでアナタを待つの
夏の午後 天気は晴れ 制限時間は短いわ
でもこれ以上は待てないの だって私は多忙な女の子
ねぇ 聞いてよ
彼ったら薄情なの
メールが届いたの
『今日は会えない』って・・・
夏の午後 天気は晴れ 私はブルー
本当にイヤになっちゃう 哀れ 私は不幸な女の子
ため息 ひとつ コーヒーにブレンド
今日の午後 予定は空白
夏の一日 ひとりぼっち 悲しくなんてないわ
だって私はモテモテ女の子
夏の一日 ひとりぼっち 悲しくなんてないけど
氷が溶けるまで待つの だって私は彼の女の子
「朽ちるキミ」
コップに汲んだ水 飢えた土に根を張るキミ
この水が欲しいかい?
そう、問いかけたくなるほどに
今のキミは美しくも儚くて
僕に水を与えるなという欲求を駆り立てる
僕は魅了さている
朽ちかけのキミに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今後、詩集は「季節」や「行事」をテーマにシリーズ連載する予定なので、よかったら今後覗いてみてください。
これからも頑張りますので、ご意見・ご感想よろしくお願いします。