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三題噺もどき5

帰宅

作者: 狐彪
掲載日:2026/02/13

三題噺もどき―はっぴゃくにじゅうよん。

 




 思わず目眩を覚えてしまう程に晴れた空。

 今日はいい天気だ。これで風がなければ完璧なのに。

 まぁ、もう家の中に入るので関係ないのだけど。

「……」

 ガチャ―と玄関のドアを開ける。

 視界に入るのは、靴が端の方に並べられた土間。

 暮らしている人数の倍くらいはあるのではないかと思ってしまう。

「……」

 これでも、減っている方ではあるのだ。

 母以外は大抵2足ずつ、玄関に出してある。

 一応、靴棚はあるのだけど、それはシーズン中には履かないものが入れられている。

 2足あるうちの1足は、学校用の靴なのでこの時間にあることがない。

 ……だからまぁ、減ってはいる。人数分並んではいるけれど。

「……」

 後ろ手にドアを閉めながら、片手に持っていた鞄を置く。

 上下2つある鍵の内、上のひとつだけを閉めながら靴を脱ぐ。

 これ、間違えて下の鍵を閉めてしまうと、次に帰ってくる人が家の鍵を開けられなくなってしまう。我が家の鍵は、下の方は壊れているもので……。閉められるけど、外から開けられない。防犯にはいいかもしれないな。

「……」

 適当に脱いだ靴を並べようと思ったが、面倒になって辞めた。

 置いた鞄を持ちなおし、リビングへと続く扉を開く。

 部屋の中はシンとしており、時計の針の音が聞こえる。

「……」

 この家は、外からの光が入らないせいで、日中も変わらず冷えている。

 この時間なら、外の方が多少温かいのではないだろうか……風さえなければ、外でのんびり過ごしたいものだ。

「……」

 鞄と、ずっと背負いっぱなしになっていたリュックを適当に床に置いておく。

 とりあえず、着替えて、昼食を摂りたい。お腹がすいた。

 今日はテスト最終日だったので、残ることはせず、真っすぐ帰路についた。

 明日が休みなので、本音を言うと昼食くらいは一緒に食べて帰りたかったが、まぁその辺はあの子が帰ると言えば、帰るし、残ると言えば残る。

「……」

 もちろん、一緒に帰った。

 途中までだけれど。

 家まで送りたいところではあるけれど、気にしてしまうので。

「……」

 制服の上着を脱ぎながら、台所へと向かう。

 一応、今日は家で昼食を食べることを伝えてはいたけれど……まぁ、朝に食べたご飯がまだ炊飯器に残っているから、それと。

 適当にインスタントの味噌汁でも食べるとしよう。

「……」

 電気ケトルにお湯を入れ、スイッチを入れておく。

 それが終わるのを待ちながら、脱衣所に向かい着替えをする。

 ジャージとパーカーが常にそこに置かれているので、適当に。

 邪魔だから部屋に持っていけと母には言われているのだけど、休みの日も大抵この格好でいるし、いちいち選ばなくて済むのだから、許してほしい。……そういえば最近言われなくなったな。

「……」

 制服をハンガーにかけ、3人分の制服が掛けられたハンガーラックにかけなおす。

 私の分と、妹2人の分。1組ずつ減ってはいるけれど、予備というモノがあるからな。

 まぁそれなりにパンパンに掛かっている。もう少し大きいのがよかったが、そうなると脱衣所が狭くなってしまうので、仕方ない。

「……」

 着替えを済ませ、台所へと戻る。

 まだお湯は沸いていないので、ご飯の準備をしよう。

 冷蔵庫に張り付けられた箱の中に入っている、サランラップを取り出す。

 適当に広げて、その上にふりかけを広げる。今日はカツオの気分なので、それをすこし多めに。

「……」

 しゃもじを濡らして、炊飯器の中から、ご飯をその上に盛っていく。これをそのままおにぎりにしてしまうのだ。楽でいい。

 そこまで多くなくていいが……まぁ、このくらいで良いか。中途半端な量が残ってしまったが、どうせ夜にでも食べるのでいいだろう。

「……」

 そうこうしているうちに、カチ―と電気ケトルのスイッチが戻った音がした。

 インスタントの味噌汁は……いつもの場所には無い……という事はストック。

 食器棚兼ストック場所となっている棚の扉を開ける。

 奥の方に入っているのか、立ったままでは見えなかったので、棚の前にしゃがみ込む。

「……」

 が。

 どこを探しても見つからない。

 あまり触って、中身を崩すのも嫌だし、大抵味噌汁は手前に置いてあるはずなので、ないと言うことだろう。残念だが、今日はおにぎりだけで我慢だな。

「……」

 まぁ、いいか。

 この後は別に何をする予定もないし。

 夕食までこれで保つだろう。それにこの家にはそれなりにお菓子があるから、それでも適当に摘まめばいいや。












 お題:目眩・台所・明日

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